スポンサーインタビュー:EF「教育には世界を救う力がある」語学を通じて平和の実現へ

「教育を通じて世界への扉を開く」。これは1965年の創業以来、グローバル教育機関として、画期的なプログラムを提供してきたEF(イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社)(別ウィンドウで開く)の企業理念です。海外に飛び出し、その国の文化に浸かりながら言葉を学び、現地の人々と交流することがいかに人としての成長を促すか。ひいてはそれが世界の平和の実現につながる、とEFは考えています。
東京2020オリンピック・パラリンピックの期間中は、日本にもこれまでに以上に多くの外国人が訪れることが予想されます。約1年後の大会開幕に向け、語学トレーニングパートナーとしてEFが取り組んでいること、2020年に向けて目指したいこと、そして彼らが考える教育の力について、お話しいただきました。

EFのサンチョリ・リーさんとクリストファー・クレングレンさん

「平和」という共通のミッション

「オリンピック価値教育の基礎」をもとにした、選手村とオリンピック休戦に関する英語授業を見学させていただいたのですが、私自身も受けていてとても楽しかったです。

イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社 代表取締役社長 サンチョリ・リー(以下、サンゲ)

EFはこれまでの複数の大会をサポートしています。東京2020大会を含め、EFがなぜオリンピックとパラリンピックのスポンサーをするかというと、大会が目指すミッションと、企業として目指すミッションが同じだという理由が大きいです。それは「平和」というミッションです。オリンピックとパラリンピックはスポーツを通じて平和を実現しようとしていますよね。同じようにEFも教育を通じて、平和につなげる活動をしています。私たちの教育というのは国際教育が一番大切で、それは語学学校でも高校や大学でも同じで、学校という「箱(場)」を通じたものであるか、留学という「イベント(体験)」によるものかの違いだけではないでしょうか?

EFのミッションを説明するサンゲさん

そうしたEFの教育理念を表している例を挙げると、Boarding Schoolという全寮制の学校の取り組みです。アメリカで一番大きいニューヨークの学校では、中学3年生から高校3年生まで80か国800人の生徒が寮生活をしながら勉強しています。寝食を共にし、勉強して遊んでというのを4年間行います。もちろん全員と友達にならなかったとしても40か国くらいの友達はできる。Boarding Schoolを終えて自分の国に帰った時、例えば日本とスウェーデンが戦争をするという話になったとします。その子はスウェーデンに友達がいるはずで、その友達のことを考えたら戦争をするなんて発想にはならないですよね。そういう考えを目指すのが私たちの基本的なミッションです。オリンピックとパラリンピックはスポーツを軸に、EFは教育を軸にしているだけで、根本は同じなんです。

東京2020大会に向けて現在取り組んでいらっしゃることを教えていただけますか?

イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社 アカデミック・ディレクター クリストファー・クレングレン(以下、クリス)

東京2020教育プログラム「ようい、ドン!」の一環として全国の小・中・高校生へ、オリンピックおよびパラリンピックの精神を英語で学んでいただけるインタラクティブな教育プログラムを提供しています。提供するプログラムは、「1. オリンピック精神を英語で学ぼう、2. パラリンピック精神を英語で学ぼう、3. 選手村について英語でプレゼンしよう、4. オリンピック休戦について英語で学ぼう」を用意しています。EFは過去のオリンピックで語学サービスを提供してきた経験と実績を活かし、「グローバル人材」に必要とされる英語力とコミュニケーション能力の二つの要素を伸ばす環境を提供しています。

現在取り組んでいる教育プログラムについて話すクリスさん

教育プログラムについてはすでに来年3月の予約が入り始めており、私は休みなしです(笑)。同時に大きく動いているのは警察学校。警視庁警察学校に向けては、交番に立つ警察官に向けたコミュニケーションの授業を作りました。よくあることですが、EFにはまず「英語を教えてください」という依頼が来ます。学生時代に6~7年は皆さん勉強されていると思いますが、それで英語が話せるかというとそうではない。「では、その7年間でできなかったことを1時間でできると思いますか?」と。ですので、「最初は英語を一度忘れましょう」と伝えます。携帯を落としたとか、ホテルが見つからないとか、そういう実際的なコミュニケーションをボディランゲージも交えて伝えられればそれでいいのです。
ただ、EFだけでできることは限られています。私は、様々なスポンサーや組織委員会、関係団体も含めて、オリンピックとパラリンピックをなぜ開催するのか、根底のミッションは「平和」なんだ、ということが、より多くの人から伝わっていくとよいなと思います。

子供たちに自信をつけさせることが大事

オリンピック休戦をテーマにした公開授業の様子

子供たちに自信をつけさせることが大事だとサンゲさんは説きます

御社ではその「平和」という部分で、スポーツの力と平和をテーマとした「東京2020高校生英語スピーチコンテスト」(主催:東京2020組織委員会、共催:EF)にもご協力いただいています。若者世代における「平和の祭典としてのオリンピック」の認知拡大および普及促進を目指すこのスピーチコンテストの意義はどういったところにあるのでしょうか?

東京2020高校生英語スピーチコンテストとは(別ウィンドウで開く)
「平和の祭典」としてのオリンピックの価値やスポーツの持つ力について、高校生が自ら考え、自らのことばで世界に発信することができるよう企画された英語によるスピーチコンテスト。生徒がオリンピック教育から得られた学びの成果を披露する機会でもある。

サンゲ
平和というのは弊社の企業理念にもともと組み込まれていたものなので、テーマとしてはふさわしいと思いますし、オリンピックには「休戦」というテーマを特別にプログラムに組み込んでいます。大会の前年に、国連総会において、オリンピック・パラリンピック大会期間及びその前後1週間の休戦を宣言する決議を行います。それは言葉にすると「オリンピック休戦を守りましょう」というだけかもしれませんが、そのことに非常に深い意味があると思っています。今回のスピーチコンテストも東京2020組織委員会と相談したうえで、このテーマが一番ふさわしいのではないかという話になりました。

授業のプログラムはどうやって作られるのでしょうか? 公開授業を見学させていただきましたが、楽しさが先に来て、結果的にテーマを学ぶ(この場合オリンピック休戦)という順番になっていますよね。

クリス
私は17歳で日本に来て、日本語が全く話せなかったので、言葉がわからないつらさは知っているつもりです。子供たちも本当はわかっているのですが、それを表現する言葉を持たないというだけです。あとは言葉を少しずつ教えていけばできるようになります。よく先生たちに話をするのは、「なぜ英語だけを独立して学ばせるのか」ということです。社会の授業で日本の政治について英語で勉強してもいい。英語の授業でやるような、ハンバーガーを英語で頼む、というシチュエーションは、子供たちの実生活であまり見られませんよね。オリンピック休戦の中にも細かい話題はたくさんありますが、それを取り上げてしまうと、実感のわかない情報ばかりが出てきて、子供たちもよくわからないまま授業が終わってしまった、という結果になってしまうので、知っている情報に少し新しいことをプラスして、英語で楽しむということをメインに据えています。

過去大会でも同様の取り組みはされていたのでしょうか?

クリス
リオデジャネイロと平昌では少し異なりますが、同様の取り組みをやっていました。でもこの規模でやるのは東京が初めてです。また、平昌でうまくいったことといかなかったこともあり、それも参考にしています。

サンゲ
これまでも同様の取り組みはしていますが、東京2020大会に向けては、子供の目線に立ち、子供たちの自信につながる取り組みを心掛けています。子供同士は言語など関係なく遊べるものです。5歳や6歳の子供が遊ぶとき、国籍は関係なく遊んでいますよね。大人になると、言語を話せないと遊べない。それはなぜかというと社会のルールや、これをやってはいけない、こうなると失敗など、様々な制約が出てくるからです。赤ちゃんは一歩歩いて転ぶことが多い。でも親は一歩歩けたということに対してたくさん褒めます。でも大人になると、ずっとちゃんと歩いているのに一回転ぶと、「あっ、転んだ。ダメじゃない!」という風になってしまう。英語とか関係なく子供たちに自信をつけさせることが大事だと思っています。

英語教育をツールとして、きっかけを与える

「教育には世界を救う力がある」と信じるサンゲさんとクリスさん

東京2020大会まであと1年と少しです。大会までにやりたいこと、大会後の展望などを教えてください。

サンゲ
弊社のミッションは教育を通じて世界を開く、です。東京2020に向けて、だけでなく、大会後も世界の平和や子供たちの自信につながるような教育の場の提供を続けていきたいです。そのためにも、今こそ東京2020大会後の取り組みを積極的に進めていきたいです。東京2020大会を通してEFからのアウトプットだけではなく、様々な団体との相談の中でいろいろなことをやっていきたいと考えています。

クリス
オリンピックの価値は、「Excellence(卓越性)、Respect(敬意/尊重)、Friendship(友情)」ですが、それがしっかりと残っていくといいなと思います。私はExcellenceというのは、つまり目標やゴールだと思っているのですが、日本にはそれを持っている人が少なすぎると思います。何も大きなゴールを持てというのではありません。ささいなことでもいい。夢を持ち目標を持ってそれに向かって頑張っていく、進んでいく。そしてそれを後押しする社会であってほしいと思います。Respectはもしかすると日本人が一番できていることかもしれません。相手を尊重するということです。Friendshipの理解はいじめなどの社会問題の解決にもつながっていくと思います。

サンゲ
いじめというのは何も学校の中だけとは限らないのではないでしょうか? いくら勉強ができても、いくら能力が高くともいじめられてしまったら自分の力を発揮できません。教育とは、いかに自信をもって取り組めるか、自信の問題だと思うので、その子一人ひとりに自信を持たせるような環境を作ることが何より大切だと考えています。

御社は「教育を通じて世界への扉を開く」を企業理念とされていますが、お二人が考える「教育の力」とはどのようなものでしょうか?

サンゲ
繰り返しになりますが、教育を通じて自信をつけさせること。それに尽きるかなと思います。

クリス
教育には世界を救う力があると思っています。事例を挙げると、アフリカのある池の水が干上がってしまった。その池は生活のために必要で、下流に住んでいる方々は困り果ててしまった。研究者が何千キロと調査していくと、川の上流に住んでいる部族が草を燃やしてしまうことが原因だったそうです。草が水を含んで川になっていたというのです。上流に住んでいる部族は獲物が捕れないからといって草を燃やしていたのですが、それも大きく考えれば教育の有無という話につながってくると思います。
私たちは英語教育をツールとして、きっかけを与えているにすぎません。いろいろな国の人が混ざって話し、友達になって友達の国について調べ始めて……そういう人たちが増えることで世界はもっと良くなっていくのかなと思います。

お二人の言葉からは、教育に対する思いや、平和を願う気持ちがひしひしと伝わってきました。「教育」と「スポーツ」という軸が違うだけで、「平和の実現」というミッションはオリンピック、パラリンピックも同じです。それを改めて考えさせてくれるインタビューとなりました。

東京2020教育プログラム「ようい、ドン!」(別ウィンドウで開く)
オリンピック・パラリンピックは、チャレンジ精神やフェアプレー精神などのスポーツの価値を理解したり、障がいのある方や海外の文化などの多様性に関する理解を深めるきっかけになるなど、将来、国際社会や地域社会で活動していくための貴重な機会となります。東京2020組織委員会は、東京2020大会が子供たちにとってかけがえのない財産となるように、東京2020教育プログラム「ようい、ドン!」を展開しています。

国際オリンピック委員会(IOC)公認教材「オリンピック価値教育の基礎(OVEP)」(別ウィンドウで開く)
本教材は、オリンピックの5つの教育的価値「努力から得られる喜び(Joy of effort)」「フェアプレー(Fair Play)」「他者への敬意(Respect for Others)」「卓越性の追求(Pursuit of Excellence)」「肉体、意思、精神のバランス(Balance between Body, Will and Mind)」を柱とし、オリンピズムの教育的価値の伝え方、学習方法を示しています。
本インタビューで触れられた「オリンピック精神」や「オリンピックの価値」についての解説もありますので、ご参照ください。

EF東京2020公認教育プログラム(別ウィンドウで開く)
イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社の提供する、オリンピック及びパラリンピック精神を英語で学んでいただけるインタラクティブな教育プログラムです。