パートナーインタビュー:ANA「すべてのひとに優しい空」を実現し、世界と東京を結ぶ懸け橋に

「HELLO BLUE, HELLO FUTURE~2020をみんなの滑走路にしよう。〜」。これは全日本空輸株式会社(以下、ANA)が東京2020大会に向けて掲げているキャッチコピーです。2020年、アスリートはもちろんのこと、大会関係者、観客など多種多様な方々が世界中から日本にやってきます。東京2020オフィシャルエアラインパートナーとして、ANAはその玄関口である空港や機内でのサービスを考え、提供します。今までにない体験を企業としてどのようにとらえ、準備を進めているのか、そのおもてなしの裏側に迫ります。

東京2020大会に向けて掲げた四つの活動方針

東京2020大会に向けたANAの取り組みについて教えてください。

全日本空輸株式会社 企画室企画部 東京2020企画推進チーム マネージャー 小成 卓也(以下、小成)

ANA全社員で共有しているコミュニケーションブランドとして、「HELLO BLUE, HELLO FUTURE~2020をみんなの滑走路にしよう。〜」があります。BLUEは青い地球、つまり世界を意味すると同時に、ANAのブランドカラーを表しており、ANAが懸け橋となって世界と東京、日本の各地を結んでいくという思いを込めています。国籍・年齢・性別などを問わず、「すべてのひとに優しい空」を実現していくことを大切なメッセージとして込めており、全ての人が笑顔になれる未来を創っていく、そうした観点から東京2020大会に貢献していきたいと思っています。これまで様々な活動を通じて社内外へメッセージを発信し、少しずつですが認知が広がってきています。

東京2020大会に向けてANAが掲げた四つの活動方針を説明する小成さん

ANAは大きく分けて四つの東京2020オリンピック・パラリンピック活動方針を掲げています。一つ目はオフィシャルエアラインパートナーとして、安全かつ快適な旅客航空輸送サービスの提供を通じて東京2020大会の成功に貢献するということです。二つ目は、「すべてのひとに優しい空」をキーワードに、ハード・ソフト両面からユニバーサルを推進し、共生社会の実現に貢献すること。三つ目はANAの全社員が活動に参加することで社員の総力を発揮し、チームとして成長を遂げて大会の成功に貢献することです。そして四つ目は、その結果としてANAブランドの価値を向上させ、2020年以降もANAが社会の発展に資する企業で在り続けられることを目指して参ります。
これらを実現するためにインナーコミュニケーションに力を入れており、スポーツや文化を切り口に様々な企画を設定し、社員が参加しやすい機会の提供に注力しています。ジャパンウォークなどの東京2020オリンピック・パラリンピック関連イベントへの参画もその一つです。

企画室企画部 東京2020企画推進チーム 諏訪 自子(以下、諏訪)
私はジャパンウォークに運営側として参加しました。パラリンピック競技はルールや選手について広く知られていないこともあり、まずは競技を多くの方に知って頂きたいとの思いから、ANAのブースではパラリンピック競技を題材にしたクイズを出題し、楽しみながら興味を持っていただけるように工夫しました。ジャパンウォークは幅広い年齢層の方が参加できるとても良いイベントだと思います。

「HELLO BLUE, HELLO FUTURE~2020をみんなの滑走路にしよう。〜」から生まれたコンテンツとして、「HELLO 2020 JET」があります。デザインの公募から始まって、投票、機体の塗装、就航と様々な過程があったかと思いますが、お話を伺えますか。

マーケティング室マーケットコミュニケーション部 橋口 直美(以下、橋口)
最初、特別塗装機をやろうとなった時、大きな機運醸成になるという期待感と共に、これは大変なことになるぞ、覚悟が必要だなと感じたことを覚えています。特別塗装機のプロジェクトは作るだけ作ってただ満足するだけではいけないと思っていましたから。就航は2018年1月だったのですが、募集開始の2016年10月時点では東京2020大会への機運はまだそれほど高まっていませんでした。「HELLO 2020 JET」の取り組みを通して少しでも東京2020大会の機運醸成になればと思いデザインも公募にしましたし、一般の方に投票してもらうことにしました。お客様の反応としては「乗ってみたい」「夢がある」というようにやはり前向きなコメントが非常に多く、デザインを応募してくださった方はもちろん、投票してくださった方、実際に飛んでいる飛行機を目にした方、というように少しずつ機運醸成の波が起こっていったように思います。当時中学3年生の方がデザインされたということで、私たちも夢をもらいながら取り組ませていただきました。

特別塗装機のプロジェクトについて話す橋口さん

内装に関してはエプロンとヘッドレストカバーを特別仕様にしました。外装に合わせるなどいろいろなアイデアが出ましたが、最終的には東京2020エンブレムを基調にするというオーソドックスなデザインになっていまして、評判もとてもよいです。

特別塗装機

特別塗装機

エプロンとヘッドレストカバーが特別仕様になった

パラリンピックをきっかけに共生社会の実現を

諏訪
オリンピック・パラリンピックの担当になって以来、私は東京2020パラリンピックの成功が大会の成功につながるとの想いで仕事に取り組んでいます。パラリンピックは障がいのある方の特別な大会というように捉えている方もいらっしゃると思いますが、もちろん障がいのある方だけのものではありません。ゆくゆくは私たちも年齢を重ねていくと様々なサポートが必要になると思いますので、パラリンピックをきっかけに全ての人が暮らしやすい社会について考える機会になれば、と思っています。

パラリンピックの成功が東京2020大会の成功につながるとの想いで仕事に取り組む諏訪さん

「すべてのひとに優しい空」をスローガンに、サービスについてもユニバーサル化を推進されているとのことですが、取り組みを教えてください。

諏訪
私たちは空港や機内など一部分を切り取らず、ご旅行前から到着後までお客様の体験をシームレスに捉えています。ご旅行の計画から、予約・発券・搭乗、そして目的地への到着までを一連のシーンとして捉え、そのシーンごとにお客様視点に立ったサービスを検討していきます。空港においてはお身体の不自由な方やお子様連れの方など、ご旅行に際しお手伝いが必要な方の専用カウンターとして「Special Assistanceカウンター」を設置しております。2016年の羽田空港を皮切りに、現在は成田、新千歳、中部、伊丹、関西、福岡、那覇にも展開しています。ローカウンターを導入していますので、多様なお客様に安心してサービスをご利用いただけると思います。
また、ANAではお客様との接客を担当する直接部門の社員が多いのですが、多様なお客様の視点から商品やサービスを企画できる様、間接部門の社員にもe-ラーニングや体験型教育の展開を広げています。

アスリートをサポートする価値、スポーツが持つ力

ANAで現在雇用しているアスリートは21名と伺いました。来春にはまた4名増えるということですが、アスリートをサポートする価値をどのようにお考えでしょうか?

橋口
様々な企業が色々なことに挑戦されていますが、ANAグループは二機のヘリコプターから始まっている会社ということを常々忘れないようにしています。国際線も当初は飛ぶことはできないと考えられていたところ、チャレンジを重ねて今ではそれが当たり前になっています。今では当たり前のことも新しいことへのチャレンジから始まっています。努力を重ねる中ではきっと失敗もあったでしょう。アスリートの姿は、そうやって未来を切り拓いていこうとする姿と重なります。ANAの行動指針のキーワードに「努力と挑戦」がありますが、それを体現してくれているのがアスリートだと思います。その姿を社員や世の中の方々が見ることによって、自分たちも挑戦すればこんな風になれるというイメージを抱けるようになるのではないかと考えています。また、本業を通したサポートというところでは、飛行機は試合に挑むアスリートを乗せて、彼ら彼女らの覚悟を乗せていく大切な場所、ととらえています。また、試合後のアスリートをすぐお迎えできる場所でもあり、そういった意味で私たちの仕事は非常に恵まれていると思いますし、それを誇りとしています。

一昔前は、企業がアスリートを雇用してもどう使ってよいかわからないという声もあったようですが、今はアスリートの魅力を企業も理解し始めているのではという感覚はありますか?

人財戦略室 人事部 社員アスリート 山下 航平(以下、山下)

4月に入社したばかりの私にとって、今は恵まれた環境にいるのではないかと思います。試合会場で社員の皆さんの応援があったり、大会の結果を知って社員の方から直接声をかけてもらったりすることなども多くなりました。東京2020大会では少なくとも8位入賞は狙いたいですし、メダルも視野に入れているつもりです(山下選手は陸上競技の三段跳でリオデジャネイロ2016大会に出場)。

東京2020大会ではメダルも視野に入れているという山下選手

橋口
スポーツやアスリートの持つ力は、私が想像していたよりもずっと大きなものでした。そうした存在が身近にあることによって社員が奮い立ちますし、その力が企業には必要だと思います。アスリートをただサポートするより、最大のパフォーマンスを発揮できるように、我々ができることで貢献していきたいと考えています。

東京2020大会以降も、社会全体の課題を解決する一助になりたい

現在行われている次世代サポートプログラムについて教えてください。

橋口
事の発端は若年層の方々が東京2020大会をどう捉えているんだろうという問いがあり、世界のリーディングエアラインを目指す企業として、同じようにこれから世界を目指して未来を切り拓いていこうとする、世界トップレベルを目指す次世代をサポートするところから始めてみようとなりました。会社としては非常に意義深いことだと考えています。なぜなら、国籍や言語を超えてコミュニケーションをとることができるのはスポーツだけではなく文化・芸術も同様で、特に文化に関しては日本の文化を世界に発信できるという点からしてもグローバルにコミュニケーションを展開していこうとする会社のビジョンと合致するところがありました。そのため、アスリートへのサポートだけではなく生花や音楽等の文化・芸術サポートプログラムを設けています。

東京2020大会に向けた新たな取り組みや2020以降の目標など、それぞれの立場からお聞かせください。

山下
東京2020大会に関しては非常に高い目標を持っているため、それに向けて「努力」「挑戦」の精神を持って自分を成長させていきたいと考えています。その過程を多くの皆さまに応援していただきたいです。また、ANAの社員にも何かを感じとってもらえるような最高のパフォーマンスを実現したいです。何よりも応援にこたえられるように頑張っていきます。

橋口
ANAが東京2020大会を通じて、そして大会を超えてどういうことをやっていこうとしているのかを世の中に伝えていくのが私の役割だと思っています。大会1年前になると、国内外の機運がさらに高まると思いますが、ANAが何を目指しているのかということを絡めてしっかりとお伝えしていきたいです。まずは、スポーツは世界を一つにする力を持っているということを海外に向けても発信していけたらと思っています。もう一つの観点はユニバーサルです。ANAは「すべてのひとに優しい空」を目指して進化していきますが、社員も含め、東京2020大会をきっかけに、もう少し視野を広げて周りの人に目を向け、そこから新しいコミュニケーションが生まれたり、真の共生社会が実現するアクションにつなげられたりするような、レガシーともなる取り組みができたらと考えています。

諏訪
航空業界だけでなく、社会全体の課題を解決していく一助になりたいと思っています。2016年から東京2020オリンピック・パラリンピックを担当してきましたが、パラリンピック競技に初めて触れたとき、非常に面白いなと感じました。当初はなかなか周囲の機運が高まっていかないことに難しさも感じていましたが、今では社内の認知や機運もかなり高まってきた印象を受けています。この機運が消えないように継続して活動を続けていくことと、社員にも正しくしっかりと発信しコミュニケーションを図っていくことが重要だと思っています。2020年には海外からのお客様を最初にお出迎えするのが私たちエアライン業界です。ANAらしいおもてなしや心遣いをアスリートや関係者の方、海外からのお客様にお届けして楽しんでいただきたいと思います。また、同時に選手にとっては最高のパフォーマンスにつながるようなサポートを目指します。東京2020大会は、もう一度日本を世界に発信していく素晴らしいチャンスになるはずです。

小成
まずは、スポンサー企業の立場から東京2020大会に携わることができて光栄に感じています。スポーツの持つ力やユニバーサル推進の必要性など、私も担当として新たに得られた気づきを、多くの社員に体験を通じて伝えていきたいと思います。そして、この推進活動を通じて社員個々人の成長やチーム力の向上に少しでも繋がり、仕事のパフォーマンス向上へと繋がっていくことを信じています。結果、東京2020大会時には世界中のお客様へ「日本にはこんな航空会社があるんだ!」という驚きを与えることができる取り組みへとしていきたいです。

東京2020大会に向けてのそれぞれの想いを語ってくれた4人

特別塗装機の模型

2020年、世界中からのお客様が初めて触れる日本を作り出すのは航空業界の方々です。インタビューではその責任感とともに、東京2020大会に向けて「努力」と「挑戦」を続けていこうとするANAの熱い思いを感じることができました。「すべてのひとに優しい空」の実現に向けて歩み続けるANAの取り組みに今後も注目していきたいと思います。

HELLO BLUE, HELLO FUTURE~2020をみんなの滑走路にしよう。(別ウィンドウで開く)