パートナーインタビュー:NTT「通信サービス」で新しい観戦スタイルを

スマートフォンで何かを調べる、電話やSNSで離れている人とコミュニケーションを取る―私たちが日常生活を楽しく快適に過ごすためには、今やネットワーク環境は無くてはならないものになっています。「見えない」ネットワークが私たちの生活を支えているといっても過言ではないでしょう。今回お話を伺ったのは、日本の通信サービスを支える、日本電信電話株式会社(以下、NTT)吉川勲さん、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)古野徳之さん、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTTコミュニケーションズ)川浪実紗さん、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)鈴木美羽さんの4名です。「通信サービス」をカテゴリーに持ち、ICT(情報通信技術)によって人と人、日本と世界をつなげてきた経験を持つNTTグループ(NTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ)。開催まであと2年を切った東京2020大会に向けた思いを伺いました。

(左から)古野さん、吉川さん、鈴木さん、川浪さん

NTTのサービスを活用することでいかに大会を成功に導くか

まず、NTTグループとしての東京2020大会に向けた取り組みを教えてください。

日本電信電話株式会社 新ビジネス推進室 2020渉外担当 担当部長 吉川 勲(以下、吉川)

NTTグループ(NTT、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTT東日本、NTT西日本)が東京2020大会のパートナーになったのは2015年の1月。東京2020ゴールドパートナーの第1号だったと記憶しています。2020年に向けて最も重要だと考えているのは、私たちのサービスを活用することで東京2020大会をいかに安全かつ確実に成功に導くか、ということです。安心安全なネットワーク環境の提供とともに、大会時の保守作業にも最大限力を割き、万が一の事態には瞬時に復旧できるよう24時間体制で対応することになります。長野1998冬季大会では約1500名、リオ2016大会では約1000名もの方が通信サービスの保守・運用などの作業にあたったと聞き及んでおり、東京2020大会ではサイバーセキュリティ対策の課題もあることから同規模かそれを超える体制で臨み、大会の成功に貢献したいと思っています。

日本電信電話株式会社新ビジネス推進室2020渉外担当
担当部長 吉川勲さん

東京2020大会では、データ系ネットワーク・インターネット・携帯電話・固定電話・Wi-Fiなど様々な通信サービスの利用が見込まれていますが、その中でも特に重要ととらえているのが「放送」を支える通信サービスの部分です。OBS(Olympic Broadcasting Services:オリンピック放送機構)が世界各国に映像配信をすることになりますが、我々は通信キャリアとして全国の競技場から寸分の遅延もなく高品質な映像を通信サービスによってIBC(International Broadcasting Centre)に伝送する使命があります。ロンドン2012大会では全世界で48億人のテレビ視聴者がいたと言われており、東京2020大会ではそれを超える視聴者を想定しています。世界中の関心が集まる瞬間ですので、トラブルが起こることのないよう着実に準備を進めているところです。また、目に見えるレガシーとして、新国立競技場の存在があります。新国立競技場全体のネットワーク基盤関連設備を、NTTグループで受託するなど、携帯電話のネットワークインフラなども含めて現在整備を進めています。新国立競技場は東京2020大会において開閉会式の会場でもあり、大会後も日本のナショナルスタジアムとして後世に残っていく施設です。東京2020大会のビジョンにもあるように、史上最もイノベーティブで世界があっと驚くようなことが行われる場所になりますが、その基盤を支える確固とした通信サービスやネットワーク基盤を提供したいと思っています。

株式会社NTTドコモ 東京2020推進室 室長 古野 徳之 (以下、古野)

観客席にいながら選手目線で競技を観戦できる、自宅にいながらまるで競技場にいるかのように試合を楽しめる、そういった「新しい観戦スタイル」を通信サービスを通じて提供していきたいと思っています。また、それらを実現していくために通信インフラの整備も合わせて進めています。
競技場に訪れなくても臨場感あふれる観戦が楽しめる「新しい観戦スタイル」はすでに他スポーツイベントで実証済みであり、インターネット上で競技のリプレイを観られるサービスの提供も始まっています。東京2020大会では新しいエンゲージメントの試みを実施していきたいと思っています。

株式会社NTTドコモ東京2020推進室室長 古野徳之さん

吉川
オリンピックとパラリンピックの取組をその後の日本にどうつなげるかというのが非常に重要だと思います。単に大会が終わったら忘れられてしまうものではなくて、そこがスタートだったね、と後で振り替えられるようなターニングポイントにしていきたい、2020年のその先の世界を我々の分野でサポートしていきたい、というところは強く意識しています。一過性で継続性が見えないものではなく、夢物語でもいいからこういう世界につながったらいいな、ということを意識しながら常に動いています。

東京2020大会を5Gの最大のショーケースに

1,500万人という推定も出ている訪日外国人観光客に対する施策はどのようなものがあるのでしょう?

古野
NTTとしては「旅前・旅中・旅後」で快適な通信サービスを提供したいと考えています。
旅中を例にあげると、ドコモでは、訪日外国人観光客向けに「Japan Welcome SIM&Wi-Fi」という、日本滞在中に利用できるデータ通信専用プリペイドSIMサービスを昨年から展開しています。「Japan Welcome SIM&Wi-Fi」は、訪日前に専用サイトでお申し込みの上、訪日後に空港内の施設等でSIMカードをお受け取りいただき、ドコモのデータ通信を20日間ご利用いただけるサービスです。SIM認証によってシームレスにドコモのネットワークを利用したデータ通信とWi-Fi機能が切り替わるため、複雑な設定は不要で、簡単・快適にドコモの安全な公衆無線LAN「docomo Wi-Fi」もご利用いただくことが可能です。
また、事前に広告閲覧等のミッションを達成することで、無償で一定量のデータ通信を利用できる「Plan0」というプランも提供しており、東京2020大会時に訪れる外国人観光客が、大会情報等の必要な情報をストレスなく確認できるような通信環境も提供していきたいと思っております。
「Japan Welcome SIM&Wi-Fi」は一例ですが、通信サービスを通じて、日本のおもてなしの素晴らしさを感じていただきたいと思っております。

4Gの後に訪れる5Gとは?また、そのコンテンツはどういったものになるのでしょうか?

古野
5Gは、LTE-Advancedの次の世代となる第5世代移動通信システムです。ドコモは2020年のサービス開始を目指して研究開発に取り組んでいます。そのため、5Gサービス提供後、東京2020大会が初めてのビッグイベントということになりますので、私たちNTTグループとしては、東京2020大会を5Gの最大のショーケースとしたいという思いがあります。
1964年の前回東京大会では、戦後の復興という色も強く、新幹線、首都高などのインフラ整備が大きなレガシーだったかと思います。東京2020大会のレガシーとして、5Gを提供していきたいと考えています。5Gの取り組みはドコモ単独ではできません。NTTグループのみならず、パートナー様にも協力いただきながら、総力を挙げて展開していくことになります。日本の技術は素晴らしい、それを支えているのがNTTグループなんだ、と感じていただきたいです。2020年を楽しみにしていてください。

5Gについて熱く語られる古野さん

東京2020大会のパートナーになった2つの目的

ドコモにはパラ水泳のアスリートである山田拓朗選手も在籍しています。NTTとしてのパラリンピックへの取り組みについて教えてください。

古野
2018年9月22日(土)から24日(月)にはパラ水泳の国内大会も行われましたが、ICTの会社であることを活かして社内サイトで山田選手への応援メッセージを募集しました。結果、社員から2,000件もの応援の声が集まりました。
東京2020大会が終わったとき、社員がその会社の一員でよかったと思えるように、というのが目指すべきところなのですが、同じ会社の社員が頑張っていると思えれば、社員一人ひとりのモチベーションも上がると思っています。そういう意味で山田選手をはじめ、グループに所属する社員アスリートの存在は大きいと考えています。

ドコモシンボルアスリート山田拓朗選手(パラ水泳)を社員やその家族で応援

吉川
東京2020大会のパートナーになったときの目的は二つありました。一つ目はやはりビジネスの成長、我々のテクノロジーを社会実装することによって世界中へPRし2020年以降のビジネスにつなげること。もう一つは社員の意識醸成を図ることです。少子高齢化が進展、様々な国からの訪日される外国の方の増加など、今後の日本においてはユニバーサルデザインの思考、共生社会に関する理解がまずます重要となってきます。そのような観点から、社員個々の幅広く社会を見る力を養う目的で、グループ横断でのボランティアシステムを立ち上げました。登録者は8月末で約9000人に上っており、多くの社員が、障がい者スポーツの体験や応援、大会運営支援などに参加しています。年休を取得し、交通費も会社からは一切支給しない完全なボランティアですが、例えば東北から東京のボランティア活動に参加する社員もいます。

東京2020大会のパートナーになった目的は2つと話す吉川さん

障がい者スポーツの応援にはお子さん連れで参加する社員もおりますので、お子さんをレポーターにして社員アスリートにインタビューし、ホームページに掲載するなど、家族も含めて楽しみながら共生社会を考える機会を作っております。社員個々の意識改革や視野の拡大もグループにとってのレガシーとして残していきたいと思っています。
また、パラリンピックへの気運を高める一環で、弊社も参画しているオリンピック・パラリンピック等経済協議会では企業対抗ボッチャ大会を全国で開催しています。今年9月に東京スカイツリーで行われた大会には89の企業・団体が参加しました。NTTグループには昨年ボッチャの日本チャンピオンになった蛯沢文子選手が社員として所属していますので、蛯沢さんに「チームNTT」の監督になって頂き、結果ベスト8まで勝ち残ることができました。このように、様々なグループの社員がスポーツを機に一つにまとまっていけることにも大きな魅力を感じています。

障がい者スポーツを通して社員の意識醸成や視野の拡大について語る吉川さん

「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の取り組みについて教えてください。

古野
東京2020大会で使用するメダルを使用済み携帯電話等の小型家電から製作する国民参画型のプロジェクトです。このプロジェクトを通じて、オリンピックとパラリンピック合わせて約6,000個の金・銀・銅メダルを製作する予定です。過去にもメダル原材料の一部としてリサイクル金属が含まれた例はありましたが、国民が参加し、メダル製作を目的に携帯電話を含む小型家電の回収を行い、集まったものから抽出された金属でメダルの製作を行うプロジェクトはオリンピックとパラリンピックでは史上初めての取り組みです。持続可能な社会を実現し、レガシーを残すことを目的として、東京2020組織委員会、NTTドコモ、一般財団法人日本環境衛生センター、環境省、東京都と官民連携で進めているものです。

ドコモショップに置いてある絵本「ケータイりさいくるって?」

絵本「ケータイりさいくるって?」内、リサイクルされた携帯が金・銀・銅・パラジウムに分類されている様子

オリンピックとパラリンピックはテレビでしか観られないけれど、表彰式のアスリートのメダルがもしかしたら自分が出した携帯電話からできているかもしれない、そう思えることは、東京2020大会への参加意識の高まりやリサイクルへの興味関心という観点からも素晴らしいことだと思います。ドコモは2018年7月末で約432万台の携帯電話を回収しました。製造工程等があるため、来年春くらいまでを目指して回収していく予定です。

東京2020大会のレガシーとして何が残るのかといわれたときに、先ほどの5Gがテクノロジー面でのレガシーだとすると、みんなのメダルプロジェクトは、循環型社会、ひいては地球環境について考えるきっかけになり、心のレガシーとなると思っています。
また、世界各国もこのプロジェクトに大きな関心を持ってくれています。パリの市長が小池百合子都知事に会った際もこれは本当に素晴らしい取り組みだとお褒めの言葉をいただいたと聞いています。

通信の力はすごいんだとわかっていただけるように取り組む

東京2020大会に向けた意気込み、思いをお願いします。

東日本電信電話株式会社 東京オリンピック・パラリンピック推進室 プロジェクトコーディネーション部門 総合調整担当 鈴木 美羽

現在私は、各競技会場等に通信環境を整備していくためのマネジメントを担っていますが、古野が申し上げたとおり、通信サービスは、今後の日本を背負っていく若い世代にハード面以外のレガシーも残す力を持っていると感じています。そのような大きな影響力のある東京2020大会に携われることは誇りにもなり、モチベーションにもなることです。まだまだNTTグループは電話やインターネットの会社というイメージが大きいと思いますが、通信の力はすごいんだ、ということをもっとわかっていただけるように、グループ一丸となって取り組んでいきたいと思います。

通信サービスが日本のレガシーになると語る鈴木さん

吉川
会社としての想いは申し上げたとおりですが、私個人としても、純粋にこの仕事に携われて幸せだと日々思っています。世界中が注目するイベントに携わることができる充足感はさることながら、個人としても非常に学ぶことが多く、特にユニバーサルデザインや共生型社会については自分自身も日々勉強です。そして、いまの仕事を通じて自分が学んだことや感じたことは、社内はもとより、自分の子どもに伝えるようにしています。自分の気づきは、子ども達にも気づいてほしい、感じてほしいと思いますし、それらを伝えられるのは非常に価値がある、ありがたいことだと思っています。

NTTコミュニケーションズ株式会社 東京オリンピック・パラリンピック推進室 担当課長 川浪 実紗

プロジェクトが立ち上がった当初から関わっているため、感慨も深いです。オリンピックとパラリンピックはこれだけ大きなイベントなので、すべてが新しいチャレンジです。普通に考えたら関わることのできないような人々とコミュニケーションをとりながら一つのイベントに向かって目標を達成していこうとするのは非常に大きな経験です。自分は現在中間管理職の立場にいますが、後輩にもオリンピックとパラリンピックを経験してもらうことによって、将来様々な形で経験を伝えていくという意味で彼ら自身がレガシーになりうるのではないかと思っています。また、そこに関わることに喜びを感じています。

東京2020大会に関われることに喜びを感じるという川浪さん

古野
東京2020大会が終わったとき、社員がNTTグループの一員でよかったと思ってもらえるように、というのが目指すところです。自分のことで言いますと、平成3年初任地の2年目に赴任先で初めて障がい者国体を知りました。その時から障がい者スポーツ支援のNPOに参加しています。そういった経緯もあり、東京2020大会に関わることは個人的に非常に運命的なものを感じています。自らの意気込みとしてはパラリンピックを盛り上げていきたい思いがあります。周囲にはとにかくパラリンピックスポーツの応援に行こう、と言っています。パラリンピック会場を満員にするというのが私の夢です。

「見えない」、でも無くてはならない通信サービス。東京2020大会の安心安全のために、訪日外国人観光客へのさらなるおもてなしのために、新しい競技観戦の楽しみのために、NTTグループは動き続けます。2020年、私たちの前にあっと驚く世界が広がるかもしれません。どうぞお楽しみに!

ミライトワとソメイティの人形

2020NTT「2020年、そしてその先へ」東京2020オリンピック・パラリンピックスペシャルサイト(別ウィンドウで開く)
NTT公式ホームページ(別ウィンドウで開く)