「まさに夢」ハンマー投げのレジェンドが語るオリンピック

オリンピックについて語り合った(左から)室伏広治 東京2020組織委員会スポーツディレクター、菅原武男さん、室伏重信さん

先日、日本の陸上競技男子ハンマー投げで数々の歴史を刻んできた菅原武男さん(東京1964大会などオリンピック4大会に出場)が東京2020組織委員会オフィスを訪問し、同競技でオリンピアンの室伏重信さん、室伏広治 東京2020組織委員会スポーツディレクター(以下、室伏ディレクター)とオリンピックの思い出を振り返りました。オリンピックを「夢」と表現した菅原さん。東京1964大会にも出場したレジェンドは、東京2020大会への期待も、室伏親子と共に語ってくれました。

悔しい思いをしたから「もう1回チャレンジしよう」と思った

皆さんにとってオリンピックの思い出は?

菅原武男さん(羽村市在住)
ローマ1960大会、東京1964大会、メキシコ1968大会、ミュンヘン1972大会

オリンピックは「まさに夢」と話す菅原さん

オリンピックはまさに「夢」ですね。地元東京の大会では、やはりプレッシャーはありました。地元だからこそ、出るからには成績を残したいという気持ちはありましたが、ローマ、東京ともに怪我などで思うような成績は残せませんでした。ただ、そこで悔しい思いをしたからこそ、「もう1回チャレンジしよう」という思いでメキシコに出場し、4位になることができました。

室伏重信さん(中京大学名誉教授)
ミュンヘン1972大会、モントリオール1976大会、モスクワ1980大会(※代表)、ロサンゼルス1984大会

考えながら練習することで強くなったという室伏重信さん

菅原さんのメキシコで4位という成績を見てすごいなと思いました。私はメキシコの最終選考会で菅原さんに大差を付けられ、その後、菅原さんや先輩たちを見ながらとにかく強くなるために猛練習をしましたが、しばらくは成果が出ませんでした。ただ練習するのではなく、ハンマーを投げる時の動きの効率性、投げる技術など、さまざまなことを考えるようになり、その後、ミュンヘンから4大会(※モスクワはボイコットのため出場せず)に出場することができました。

室伏広治 東京2020組織委員会スポーツディレクター
シドニー2000大会、アテネ2004大会(金メダル)、北京2008大会、ロンドン2012大会(銅メダル)

年齢を重ねてからは技を極めることに楽しさを見いだしていたという室伏ディレクター

アトランタ1996大会にも出たかったのですが、記録が少し足りなかったんですね。ただ、そこで次に向けて頑張ることができたからよかったと思います。26歳になる年に初めてオリンピックに出場し、最後にロンドンでメダルを獲ったのが38歳になる年でした。僕にとっては金メダルももちろんうれしいけれど、年を重ねてからのメダルというのはすごく価値がありました。年齢とともにコンディショニングはすごく難しい。ただ、逆にその中で技を極めることに、面白さも感じました。

オリンピック・パラリンピックは人を結びつける力がある

東京2020大会に期待することは?

菅原武男さん
やはり気になるのは陸上、ハンマー投げですかね。オリンピックという体験をしてほしい、その体験を次につなげてもらいたい。また、これを機に、若い世代、小さい子にまずはハンマーを見て、触ってもらう、そういう体験ができるといいかなと思います。

室伏重信さん
暑い中での大会、特に陸上競技、8月のマラソンなど厳しい戦いになると思いますが、まずは何とか大会が無事に終わって欲しいと思います。
海外から来る人だけでなく、日本の子供たちが実際に会場で競技を見て、自分もやってみたい、そういう気持ちを持ってくれる子が一人でも増えるといいですね。
もちろん、自分の専門であるハンマー投げを見たいという気持ちもありますが、まずは大会そのものが成功してほしいですし、東京、そして次の大会に結び付ける、いいオリンピック・パラリンピックにしてほしいと思います。

室伏広治 東京2020組織委員会スポーツディレクター
東京2020大会では、陸上、体操、水泳のような伝統的なスポーツだけでなく、現代の若者に合うようなサーフィン、スケートボード、スポーツクライミングなど、新しいスポーツも加わり、これまでにない大会の雰囲気を味わえると思います。
オリンピック・パラリンピックは、スポーツの側面だけでなく、国際交流もあり、普段ないような出会い、人を結びつける力があるなと感じます。東京2020大会がなければこのように3人が会う機会もなかったですからね。言葉も年齢も関係ない、オリンピック・パラリンピックというテーマでみんなが一つに、新しい価値を体験することができるいい機会だと思うので、ぜひ、楽しみにしていただきたいですね。

日本におけるハンマー投げの歴史を作ってきた3人のレジェンドたち。お話から伝わってきたのは、オリンピックに懸けてきた熱い思いでした。東京2020大会でも彼らが期待するような熱い戦いを見たいものです。