「福島の魅力を東京2020オリンピックを通じて伝えたい。」元メジャーリーガー:現福島ホープス岩村明憲監督インタビュー

東京2020オリンピック競技大会において野球・ソフトボールが開催される福島あづま球場。
その福島あづま球場を本拠地の一部として活動する野球チーム「福島ホープス」の監督は、元メジャーリーガーの岩村明憲監督です。
岩村監督はアメリカでプレーした後に日本球界に復帰し、その後福島ホープスに選手兼監督として移籍。現在は選手を引退、監督業に専念し、福島から野球やスポーツの魅力を全国に、世界に届けるため日々奮闘されています。

海外での経験を持ち、福島県とはこれまで関わりがないにもかかわらず福島県で活動を続ける岩村監督に、福島県で野球や東京2020オリンピックを通じて果たしたい役割や、福島県ならではの魅力についてお伺いしました。

日本球界復帰直後に被災。当時の経験が今の活動につながっている

日本球界に復帰されて宮城県のチームに所属されたばかりの2011年に東日本大震災が発生しました。その時の経験で今につながっていることはありますか?

震災発生時はオープン戦の期間だったので遠征していて、宮城に戻れたのは震災発生1ヶ月ほど経ってからでした。ただ、宮城に戻った直後に震度6強の余震があって、私たちもこれほど大きな地震を経験したのは初めてだったので、不安になって球場に来て夜を明かした選手もいました。

あの震災では地震や津波の被害も大きかったことに加えて、ここ福島では原発の問題も出てきてしまって、自分はプロ野球選手として、被災された方が野球の力で、その瞬間だけでも笑顔になるように何かできないかと心がけていました。また、宮城のチームにいた2年間は不甲斐ない成績で心残りしかなかったこともあって、それが今、自分が福島で監督をしている大きな理由です。

インタビューに答える岩村監督

震災時はアメリカでともにプレーした多くの選手がメッセージをくれた。同時に、震災の大きさも感じた。

震災のことはアメリカでも大きく報道されました。当時プレーされていた時のチームメートやご友人の反応はどのようなものでしたか?

私がメジャーで所属していたタンパベイ・レイズの当時監督だったジョー・マドン(現シカゴ・カブス監督)が震災発生時、近くの日本人記者に「アキは大丈夫なのか」と聞いてくれたり、直接連絡もくれてうれしかったですね。同時に、アメリカの人がこれだけ心配してくれるくらい大きな震災が日本で起こったんだということも実感しました。
他にも、メジャーで活躍する選手たちがSNSを通じてたくさんメッセージをくれたので、周りの人たちにそれを見せて、「これだけ有名な選手をはじめとした海外の人が日本のことを思ってくれているよ、みんなは1人じゃないよ」と伝えていました。

逆に、海外の方による誤解に基づいたネガティブな反応もありましたか?

宮城のチームに所属していた時はそこまでなかったですが、福島に来てからは、「福島第一原発」という名前がついているだけに、福島県の名前が有名になってしまって、風評被害も耳にしました。ただ、だからこそ、日本以上にシビアな目で見ている外国人の中で、今福島ホープスに所属してくれている外国人選手に心から敬意を表したいと思っています。
実際、今所属している外国人選手も、帰国した選手もすごく福島のことを気に入ってくれていました。おそらく彼らは自分の国に帰って、「福島はすごくいい所だったし、原発なんて全然気にならなかったよ」と言ってくれていると思うんです。海外の人の誤解を解いたり風評被害の払拭には、海外の人がポジティブに発信してくれることが一番いいと思いますね。その延長線上というか、それには、東京2020オリンピックがすごくいい機会になると思っています。

福島県を分かつ3つの地域、いい意味での地域性が魅力

「おらが村のヒーローを作りたい」と話す岩村監督

福島に来られて4シーズン目になりますが、福島に留まる理由は何ですか?

福島は元々3つのエリアが1つになってできた県なのですが、今もその地域性は残っていて、仲が悪いとかではなく、お互いに切磋琢磨して成長しているところに魅力を感じるからですかね。また、独立リーグであっても、「おらが村」のヒーローを作ってあげたいと思ったんです。みんなが応援できるものを作ることによって、みんなが熱中できる。それが根付くまでここにいたいとは考えています。簡単ではないですけどね。後退するのではなく、一歩でも前に進むことができれば、福島県民の方も応援してくれるのではないかと思っています。

東京2020大会において、自分の海外での経験を伝えることが役割

2年後にオリンピック競技がこのあづま球場で開催されます。海外を経験された岩村監督だからこそ、東京2020大会で果たしたい役割などはありますか?

自分の海外での野球の経験がダイレクトに生かしていければと思っています。といっても、メジャーだけではなく、マイナー時代の経験もそうです。例えば、日本のグラウンドは内野が土で天然芝は外野だけっていうのが多いですが、国際野球だと内野も天然芝であることがほとんどです。日本にはいろいろな園芸屋さんがあるので、オリンピック期間に1人でも2人でも来てもらって、内野の天然芝も維持していくことができるんではないかと思います。日本の球場がオリンピックを通じて国際基準になればいいですね。

注:あづま球場は東京2020大会開催までに全面人工芝化される予定です

オリンピックを通じて海外の方に伝えたいことはありますか?

東京から新幹線で(最速で)1時間20分で来られるので、海外の方にはぜひ、オリンピックをきっかけに福島県に来てもらって、魅力を感じてもらいたいですね。福島県の人は国際交流がしたいはずですし。

岩村監督がスポーツの力を感じる時はどんな時ですか?

スポーツって音楽と一緒で国境を作らないので、違う国の出身や違う言語を話す人同士が通じ合ったりできるところが魅力だと思うんです。自分が縁もゆかりもない福島の人たちに受け入れてもらっているのも、野球という競技を通じて自分を知ってもらったことだと思いますし、それもスポーツの力だと思っています。そのスポーツの素晴らしさを福島の人に感じてもらいたいですし、オリンピックを通じて福島の人が世界中の人と触れ合うことができることを本当に楽しみにしています。

あづま球場外観

福島県で生まれ、育ったわけではなくても、福島の魅力を感じて今も活動を続ける岩村監督。東京2020大会が福島県の人たちのためになるようにはどうしたらよいか、とても真剣に考えていただいていることが伝わってきました。東京2020大会で来日した外国の方に、魅力ある福島を伝えるためこれからもご協力ください!

インタビュー動画

インタビュー動画(別ウィンドウで開く)

関連情報