地域巡回フォーラム in 奈良(奈良女子大学)

概要

日時:平成27年11月5日(木) 17時00分~19時00分
会場:奈良女子大学 奈良女子大学講堂
主催:公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
共催:国立大学法人 奈良女子大学
参加者数:520名

参加大学(35大学)

■滋賀県
滋賀大学、びわこ成蹊スポーツ大学
■京都府
京都教育大学、京都工芸繊維大学、京都大学、京都外国語大学、京都ノートルダム女子大学、明治国際医療大学
■大阪府
大阪教育大学、大阪大学、追手門学院大学、大阪経済大学、大阪歯科大学、大阪商業大学、近畿大学、四條畷学園大学、阪南大学
■兵庫県
神戸大学、大手前大学、関西福祉大学、関西学院大学、神戸親和女子大学、神戸山手大学、武庫川女子大学
■奈良県
奈良教育大学、奈良女子大学、奈良先端科学技術大学院大学、奈良県立医科大学、畿央大学、帝塚山大学、天理大学
■和歌山県
和歌山大学
■茨城県
筑波大学
■東京都
上智大学、東洋大学

参加自治体・行政

■京都府
京都府
■奈良県
奈良県
■和歌山県
和歌山県
■広島県
広島県
■山形県
山形県

学生運営ボランティア

奈良女子大学

フォーラム会場の様子 立ち上がって発言する女性参加者 立ち上がって発言する男性参加者

プログラム

■主催者挨拶
布村 幸彦(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長)
■共催者挨拶
今岡 春樹(奈良女子大学長)
■講演
「1964年東京オリンピックはどのようにして成功したのか」
石坂 友司(奈良女子大学 准教授)
「2020年大会に向けて~オリンピック大会に参加して~」
朝原 宣治(オリンピアン 陸上 北京大会銅メダル)
「2020年大会概要について」
雜賀 真(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会CCO・総務局長)
■意見交換
  • ・コーディネーター
    真田 久(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与/筑波大学 教授)
  • ・アドバイザー
    來田 享子(中京大学 教授)
    朝原 宣治(オリンピアン 陸上 北京大会銅メダル)
    雜賀 真(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会CCO・総務局長)

主催者挨拶 布村副事務総長

みなさん、こんにちは。今日はほんとに満席の状態で、たくさんお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。連携大学巡回フォーラムin奈良、13回目の巡回フォーラムをこれから始めさせていただきます。私たちは、昨年の1月から組織委員会を発足し、まず大会を目指しておりますが、3つの広がりをもった大会にしたいと考えています。1つは、スポーツの祭典ではありますが、リオが終わってからは、文化活動、文化プログラム、教育活動、あるいは経済的な側面から環境の多様性、と大きなテーマ、たくさんのテーマを実現させようと思っています。2つめは、地域的に、東京の大会ではありますが、オールジャパンで、被災地の復興も含めて、日本の良さを世界にアピールしていきたいと考えています。3つめは、大会が終わったあと、何が日本の社会に残せるか、と、例えば、皆様方にボランティアとして活躍頂いて、新しいボランティア文化が日本に根付く、それから、パラリンピックを通して、バリアフリーの社会ができるとともに、心のバリアフリーもずっと溶けて、新しい共生社会ができる、そんな様々な願いを込めて、大会の準備をしようとしています。今日は、2020年のオリンピックは、こんな大会にしたらいいのではないか、2020年のパラリンピックはこんな工夫をして大会を盛り上げたらいいのではないか、というご提案を皆様方からいただきたいと思います。2020年を盛り上げるために、皆様方のお力をお借りしたいというお願いをして、最初の御挨拶とさせていただきます。今日はありがとうございます。

挨拶をする布村副事務総長

共催者挨拶 今岡大学長

スポーツは私たちにとってどのような意味を持っているのか、ということはあまり考えたことがないかもしれません。オリンピックの意義とパラリンピックの意義も、また違います。少し立ち止まってじっくり考えてみると、人間をどのように教育していったら良いか、私たちがどのように成長していったらいいか、といった大きな問題をくんでいることになります。ちょうど今、奈良は、この時期、正倉院展で物凄く賑わっております。本学から北に向かって5分ほど歩きますと1300年前の聖武天皇と奥様の御陵がございます。二つの夫婦の陵が並んでいるのはここ以外無いそうです。非常に仲が良く、皇后さまである旦那さまが亡くなった後に、旦那さまが使っていたものを見ると悲しくてしようが無い、思い出されてしようが無い、泣けるということで東大寺に収めたそうです。1300年の時空を超えて私たちが見ることができます。こういう物を観る時に聖武天皇って、こんな気持ちでこういう生活を送っていたのだな、と想像するとより深い理解に至ると思います。これと同じように、オリンピック・パラリンピックを観るとき、オリンピックを考えたクーベルタン、パラリンピックを考えたグッドマン、この理念を想像することで、より豊かな経験になると信じております。本日ご参加の皆様にとって、東京オリンピック・パラリンピック2020が実り豊かになることを記念して、私の挨拶に代えさせていただきます。今日はどうもありがとうございます。

挨拶をする今岡大学長

講演

「1964年東京オリンピックはどのようにして成功したのか」石坂 友司(奈良女子大学 准教授)

今、ご紹介いただきましたように私は1964年の東京オリンピック、あるいは1940年の開催されなかった東京オリンピック、の歴史的な研究を続けてまいりました。最近では98年の長野オリンピックがありましたが、長野オリンピックが10年、15年経ったあと、地域はどのようになっているのか、そういうテーマからも研究を行っております。本日はお時間をいただきましたので1964年の東京オリンピックがどのように成功したのかといった所を、人や組織の観点から少しお話をさせていただきたいと思います。まずは東京オリンピックの熱戦ということで、真っ先に思い出されるものを少し確認していきたいと思います。まず、東洋の魔女と呼ばれた女子のバレーボールです。大松監督という『鬼の大松』監督の指導の下、今見ても信じられない感じですが、2年間缶詰め状態の中で練習をして金メダルを取ったという競技でした。続きまして、マラソンの種目についてご紹介をしたいのが、アベベ・ビキラという選手です。もともとは1960年のローマ大会を裸足で走って優勝した有名な選手です。日本の選手としては円谷幸吉選手が有名だと思います。64年大会が残した遺産、これは最近レガシーという言葉で表現されるわけですが、例えば東京の風景を一新したといわれている、関連道路や新幹線、あるいは首都高速道路といったものがこの時期に開通しております。それから、代々木の競技場あるいは駒沢の競技場というものがこの時期に作られております。当時IOCの会長をしていたアベリー・ブランテージは次のような形で東京大会の賛辞を送っています。『あらゆる国際的催しのうちで最大のオリンピックを史上初めてアジアにもたらし、それは例を見ない正確さと特色で運営したことによって、日本は全世界に対して持てる力を発揮したのである。日本はもはや世界でナンバーワンのオリンピック国民である。』このように、大会が上手くいった成功の背景には様々なプロフェッショナルが関わっていたことが知られています。こちらは建築家の丹下健三さんです。こちらは、最近注目されることになりましたグラフィックデザイナーの亀倉雄策さんです。60代くらいの方とお話をしていると、64年大会の思い出は、小学校でテレビ観戦をしたこと、とおっしゃいます。その思い出が非常に色濃く残っているといいます。私も授業の中で話をしていますが、オリンピックと出会う時ということがあると考えています。オリンピック選手たちと出会うときや、あるいはオリンピックとはどのようなムーブメントなのかということを考える場所というのが必要で、この巡回フォーラムがその意味では、オリンピックと出会う、あるいはオリンピックを考える上では非常に良いイベントではないかなと思っております。

講演する奈良女子大学 石坂 友司准教授

「2020年大会に向けて~オリンピック大会に参加して~」朝原 宣治(オリンピアン)

みなさん、こんにちは。今日は、ご紹介いただきました様に、オリンピアンということで、1996年アトランタオリンピックから2000年シドニーオリンピック、2004年のアテネオリンピック、最後の北京オリンピックと4回オリンピックに出場した話をします。これは北京オリンピックの選手村の選手の部屋です。何の変哲のない普通の部屋なのですが、オリンピック大会期間中に分譲されていまして、分譲マンションの一室を僕たち選手が寝泊まりしているということなんです。大体2週間近くは選手村にいます。そこで食事もしますし、散髪屋さんもあります。もちろん洗濯も出来ますし、ゲームセンターもあったり、お土産屋さんがあったり、一通りそこで暮らせることは暮らせるのですが、一週間もしてくると、凄く飽きてきてしまいます。一回目のオリンピックの時はおとなしく選手村で過ごしていたのですが、二回目からは選手村は面白くなくて、常に外に飛び出して、ご飯食べに行ったりしていました。それは自由です。そのような時にボランティアの方にすごくお世話になっているのです。基本的には英語を話すボランティアの方が多いです。北京オリンピックの時は、流暢な日本語を話す通訳の方がチームにいらっしゃいまして、この方の知識によって、選手村での生活が充実するかどうか、あるいは外に出てどこにご飯を食べに行ったらいいか、聞いた時に的確な答えを出してくれるかどうかで、国の印象が変わってしまったり、その大会の印象が変わってしまったり、それくらい大事なポジションだと思います。なので、観光だけではなく、いろいろな細々とした質問や選手の持っている選手村での問題、そういうことを聞かれるかもしれないので、本当にしっかりと答えられるようなボランティアさんがいてくれると、もしかしたら、競技に影響してくるというぐらい、重要なものだったのではないかと思います。ロンドンの時もボランティアの方が非常に丁寧で、道を聞いたり、いろいろな質問をしましたが、すごく親切に接してくれました。そういうことも、オリンピックが盛り上がる大事な要素だと思います。

講演する朝原宣治さん

発表

■これまでの成果と今後の展開について

これまでの成果と今後の展開について

1. 山形県「2020年東京大会に向けた山形県と県内大学との連携した取組みについて」

県内のオリンピック機運の醸成、人材育成のために「『山形から考えよう。2020年に向けて私達にできること』東京オリンピック・パラリンピック連携大学山形シンポジウム」を開催いたしました。自治体が主催して行う2020年東京大会関係のシンポジウムでは、全国で初のケースだったと聞いております。会場は山形大学で、大学生、高校生を中心に行政や競技団体の関係者など150名が参加しました。大学と県、各連携大学の間で、繋がりを持つことができました。また、事前キャンプ誘致に向けた実績を作りたい、ノウハウを蓄積したい、という目的で、世界陸上北京大会において、ポーランドチームの受け入れを行いました。シンポジウムでのつながりを活用しながら、県内の大学生にボランティアといして参加いただきました。今後も大学生や若年層を中心として、オリンピック・パラリンピックの理解を深め、人材の育成、地域での盛り上がりなどを作っていきたいと考えております。

山形県の取り組みの成果を発表する男性

アドバイザー 中京大学 來田教授より

以前、フォーラムで山形県さんとお会いした時に、「何をやったらいいのかわからないが、折角だから」と担当の方がおっしゃられていたのを記憶しております。そして、本日拝見したような成果を出されていて、正直、感動しました。ポーランドの受け入れが文化交流の形に発展し、最終的に、国際社会で活躍する人が、この中から育っていくのだろうと思います。イベントをやってみたいと思ったときに、自分の地域にはこういうことができる人がいると気づくと同時に、こういうことができる人がいないと気づきます。それが新しい人を育てる力にもなるかもしれません。社会に残るレガシー、そういったものが山形から始まっていくのだと思いました。

2. 京都外国語大学「外国人観光客への観光案内を実施して~2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて~」

京都市交通局の依頼で、京都外国語大学は、京都駅前バスターミナルで、外国語交通案内ボランティアをしています。ただ観光地までの道を案内するのではなく、その道なりにある建造物やお店の知識を伝えることで、観光客に楽しんでいただくことを心がけてます。そして、観光客の方を案内することによって、自分自身も日本の文化を深く意識するようになりました。また、日本での生活や文化に関する質問が多く、外国語を話せることよりも外国語を使って何を話せるのかが大事だと強く感じました。言語はコミュニケーションを取るための道具にすぎないので、その道具をうまく使うために様々な知識を身に付けることが今後のおもてなしに繋がるのではないかと考えています。この活動が発展し続けられるように今後の後輩にも期待しています。

大学の取り組みについて発表する学生たち

アドバイザー オリンピアン 朝原 宣治さんより

実際に、外国の交通機関はすごく難しいです。学生さんたちが案内をするというのは素晴らしいと思います。東京にはオリンピックで多くの方が来られますが、観光ということを考えると京都と奈良は二大都市だと思います。できれば土地の文化や、あるいは食の素晴らしさ、知識を持ちながら通訳ができれば、外国人を迎える本当に素晴らしい機会になって、学生さん達も良い経験が積めるのではないかと思います。

取り組みについてコメントする朝原宣治さん

意見交換

1. 2020年大会に向け、学生が計画をしている活動について

積極的な人は、ボランティアに参加すると思います。しかし、興味はあるけど、積極的でない人、外国人へのボランティアは敷居が高いと感じる人もいると思います。大会には、外国人だけでなく、地方からも土地勘のない日本人が来ます。例えば、そのような日本人に対する案内ボランティアもあるのではないでしょうか。多くの人が、ボランティアの経験が出来れば、社会に進出する自信を作るきっかけになるのではないかと思います。(奈良女子大学附属中教育学校・学生)

大学生の活動について、たくさん聞かせていただきましたが、実際には、今の大学生は2020年には社会人になっています。今の大学生の方々が社会人になった時に、どうオリンピックに関わってもらうかについても、考えた方が良いのではないかと思いました。または、私達、高校生が自主的に参加できる活動や、もっとIOCや組織委員会に企画の段階で意見を言える機会がほしいと感じています。(奈良女子大学中等教育学校・学生)

大学では、食物栄養学科に所属しており、将来的には、管理栄養士の資格を持って、スポーツ選手の栄養管理に携わりたいです。現在は、どのような形で、栄養士の方がスポーツ選手とかかわっているのかお話を伺ったり、実際にオリンピックに係わったことのある、栄養士の方々と話をする機会を設けていただければ良いなと思いました。(奈良女子大学・学生)

アドバイザー オリンピアン 朝原 宣治さんより

東京大会に向けて、トップアスリートに関わる栄養サポートをしようとすると、ものすごい競争率になると思いますが、もちろん、そこに携われたら、その分、やりがいもあると思います。ぜひ、頑張ってください。

2. 2020年大会に向け、自治体や大学が計画をしている活動について

京都では、世界との交流の中で新しい文化を創造していくことを意識した『京都文化フェア』(仮称)を、オリンピックに向けたこれからの4年間でやっていこうと、今、基本構想を策定しています。従来的にイベントをやるのではなく、新しい試みを加えていきたいと考えています。特に、若い方々が、自ら考えて作ったものを世界の人に見てもらいたいと思います。是非とも多くのアイデアをいただいて、京都・関西からオリンピック・ムーブメントを盛り上げていきたいです。(京都府・職員)

私は京都大学の体育会本部に所属しております。毎年スポーツ大会を開催していますが、年々、参加人数が減少傾向にあります。参加している人を見ても、もともとスポーツをやっている人が多く、やっていない人を巻き込むかがいかに難しい問題だと実感しています。今回の発表を見て、そばにいる人の行動にすごく影響を受けるのだと感じました。地元のプロスポーツ観戦や活動を良く知ることで、身近な存在となり、スポーツに興味を持ちやすくなるのではと思いました。(京都大学・学生)

クーベルタンが何故オリンピックをやったのか、なぜ嘉納治五郎がオリンピックに必死になったのだろう、ということをテーマに、シンポジウムをやろうと思っております。そして、なぜ2020年に東京でオリンピックという世界的なイベントをやらなくてはいけないのかということの国民的なコンセンサス、それを作る努力が欠けているような気がしています。我々は大学人なので、そういったことを問い詰めていきたいと思っています。また、オリンピックはクーベルタンが始めたといいながら、クーベルタンが書いたものが日本語になっていません。関係者の協力を得て、クーベルタンの書物の翻訳・出版の活動をやっています。今日は盛大になってよかったなと思いました。(奈良女子大学・小路田副学長)

まとめ 筑波大学 真田教授

貴重なご意見をありがとうございます。これまでのフォーラムでも、クーベルタンの書物をきちんと回収し、日本語として再出版しようというご意見が出ておりました。私どもも、それを認識したうえでやっていきたいと思います。同時に嘉納治五郎についても、逆に英語にして、世界に発信しようと考えているところです。高校生から大学生、自治体の方、それから研究に携わっている方から多様なご意見をいただきました。フォーラムを行うことで、まず大学と自治体の連携が図られていくだろうと考えられます。更に、様々なスポーツ団体との連携も図られていきます。メディアの方々や地域の地元企業との連携もこれから出てくるのではないかと思われます。大学にはもちろん高校や中学もあるわけで、それらを含めたコンソーシアムをそれぞれの地域で作り、お互いに人材を共有し、考えを共有し、何らかの形でオリンピック・パラリンピック・ムーブメントに関わっていく、高まっていくことが非常に重要になっていくのかなということを、本日は、実感した次第です。

総括をする筑波大学 真田教授