地域巡回フォーラム 首都圏ブロック大会 in 東京(東京藝術大学)

概要

日時:平成27年7月26日(日) 13時~16時45分
会場:東京藝術大学 奏楽堂
主催:公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
共催:国立大学法人 東京藝術大学
参加者数:470名

参加大学(76大学)

■茨城県
茨城大学、筑波技術大学、筑波大学
■栃木県
宇都宮大学、宇都宮短期大学
■群馬県
群馬大学
■埼玉県
埼玉大学、埼玉県立大学、駿河台大学、国際学院埼玉短期大学
■千葉県
千葉大学、植草学園大学、亀田医療大学、川村学園女子大学、神田外語大学、城西国際大学、放送大学、麗澤大学、和洋女子大学、植草学園短期大学
■東京都
お茶の水女子大学、電気通信大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京海洋大学、東京藝術大学、東京工業大学、東京大学、東京農工大学、一橋大学、首都大学東京、青山学院大学、亜細亜大学、桜美林大学、学習院女子大学、共立女子大学、國學院大學、駒澤大学、実践女子大学、順天堂大学、上智大学、女子美術大学、成蹊大学、創価大学、拓殖大学、中央大学、帝京平成大学、デジタルハリウッド大学、東京音楽大学、東京経済大学、東京女子体育大学、東京電機大学、東洋学園大学、東洋大学、日本体育大学、武蔵野大学、明治大学、明星大学、立教大学、立正大学、杉野服飾大学短期大学部、帝京短期大学、貞静学園短期大学、新渡戸文化短期大学
■神奈川県
横浜国立大学、横浜市立大学、鎌倉女子大学、洗足学園音楽大学、東海大学
■山梨県
山梨県立大学
■宮城県
仙台大学
■愛知県
中京大学、東海学園大学
■大阪府
大阪経済大学
■香川県
香川大学
■沖縄県
沖縄県立芸術大学
フォーラムの様子 フォーラムの様子 フォーラムの様子

参加自治体・行政

■国
内閣官房
■茨城県
茨城県、取手市
■栃木県
栃木県、宇都宮市
■群馬県
群馬県
■埼玉県
埼玉県、さいたま市
■千葉県
千葉県、千葉市、市川市、市原市、印西市
■東京都
東京都、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、板橋区、足立区、葛飾区、八王子市、立川市、府中市、調布市、町田市、日野市
■神奈川県
神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市、小田原市
■青森県
青森県、三沢市 
■福島県
福島県、郡山市
■静岡県
静岡県
■滋賀県
滋賀県
■京都府
京都府
■宮崎県
宮崎県

学生運営ボランティア

首都大学東京、駒沢大学、順天堂大学、東京医科歯科大学、東京音楽大学、東京経済大学、東洋学園大学、武蔵野大学、明治大学、帝京短期大学、中京大学

フォーラムの様子 フォーラムの様子 フォーラムの様子

プログラム

第1部
■主催者挨拶
武藤 敏郎(東京オリンピック ・ パラリンピック競技大会組織委員会事務総長)
■共催者挨拶
宮田 亮平(東京藝術大学長)
■講演
「芸術とオリンピズム」和田 浩一(フェリス女学院大学 教授)
「フィギュアスケート競技における芸術性」河合 彩(オリンピアン/元フィギュアスケート・アイスダンス代表 長野大会出場)
「アートとスポーツ」 日比野 克彦(東京藝術大学 教授)
第2部
■演奏
解説:松下 功(東京藝術大学 副学長・演奏藝術センター教授)
指揮:日髙 剛(東京藝術大学 器楽科准教授)
東京藝大ウィンドオーケストラ"東京・札幌・長野、そして東京へ"
古関 裕而 作曲 東京オリンピック・マーチ
山本 直純 作曲 札幌オリンピック・マーチ 「白銀の栄光」
松下 功  作曲 長野オリンピック・マーチ 「信州民謡パラフレーズ」
■「2020年大会概要について」
雜賀 真(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会CCO・総務局長)
■意見交換
  • ・テーマ(1) 2020年大会に向け大学ができること
  • ・テーマ(2) 2020年大会と日本の芸術・文化
  • ・コーディネーター
    真田 久(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与/筑波大学 教授)
  • ・アドバイザー
    日比野 克彦(東京藝術大学 教授)
    來田 享子(中京大学 教授)
    河合 彩(オリンピアン/元フィギュアスケート・アイスダンス代表 長野大会出場)
    雜賀 真(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会CCO・総務局長)

主催者挨拶 武藤事務総長

本日は青森からも、南は沖縄からも来ていただいているということで、まさにオールジャパン体制で、このフォーラムが開かれていることを大変嬉しく思っております。
私ども組織委員会は、昨年の1月に発足し、現在は、約390名の職員が5年後のオリンピック・パラリンピックに向けて、一生懸命に準備を進めております。職員は、東京都、スポンサーの各企業、国、地方公共団体からそれぞれ集まっており、こういったメンバーがワンチームとなって、我々の夢のために働くということは、大変なことですけれども、素晴らしいことでございます。
大会の準備状況としては、競技会場の見直しが順調に進み、ほぼ全容が明らかになりました。また、東京大会では、今までになかった種目を追加して行うということが決まっておりますが、まもなく、その追加種目についても、私どもからIOCに対して、正式に提言する予定です。その他、様々な準備が順調に進んでおり、IOCの方々からは、極めて順調に準備をしてくれている、と評価をいただいているところでございます。
また、我々は、オリンピックとパラリンピックを等しく扱うようにしたいと考えております。障害者スポーツというものは以前からありましたが、パラリンピックという名が付いたのは1964年の東京大会からでありまして、同じ場所で再びパラリンピックが開かれるということは、世界で初めてです。
大学連携については、現在、全国の大学及び短期大学を合わせた数の約7割、具体的には777の大学・短大が、我々と連携協定を結んでいただいております。今回のフォーラムは、全国を9ブロックに分けて実施してきた地域巡回フォーラムの一巡目の最後となり、東京藝術大学が会場ということで、「2020年大会と日本の芸術・文化」をテーマとしています。この2020年大会が、スポーツの祭典として成功させることはもちろん、それを超えて、芸術・文化・教育・テクノロジー・街づくり等々の幅広い分野に広がることが実現できれば、後世に大きなレガシーを残すことができるのではないか、2020年で終わることなく、その後の日本社会に大きな影響を与えることができるのではないか、しかも日本国内ばかりでなく、これを世界に発信することによって、日本の芸術・文化を世界に理解してもらう、そういう場にできれば、と考えております。

主催者挨拶をする武藤事務総長

共催者挨拶 宮田学長

ロンドンの文化プログラムを勉強する機会が何度かありまして、これならできるなと同時に、これを超えたいなというものがいくつかありました。新しいものを作っていく、スポーツだけではなく、国そのものを作るという意識、それは皆さんにしかできないことです。同時に、学生の皆さんは、ちょうど2020年の時には、社会人になっているかもしれません。今、学生だから考えられることを社会人になって後輩にどう伝えていくか、自分のレガシーを後輩に伝える、これはとても大事なことです。伝承者であってもらいたい。一生に一回しかない、そのチャンスのために、みんなで力を共に合わせていきたいと思います。
その中の一つとして、この上野があります。上野は、近代文明を文化として発信する拠点でありました。ぜひともこの上野を大いに利用していただきたい。生かすも殺すも、すべてはあなた方の手にかかっております。皆さんに楽しみを与えると同時に、皆さんから楽しみをいただく、この連携が大事です。文化プログラムが成功する鍵は、そういうところにあるのかなと思います。みんなの力で心ときめく、それを大事にしたいと思います。

共催者挨拶をする宮田学長

講演

「芸術とオリンピズム」 和田 浩一(フェリス女学院大学 教授)

オリンピック憲章の中に、文化プログラムという項目があり、オリンピック大会の組織委員会は、少なくともオリンピック村の開村中は、文化イベントのプログラムを催すものとする、つまり、オリンピックとパラリンピックがやっている期間中は、文化イベントをやりなさい、とルールとして決められています。
スポーツと芸術が結婚することによって、人間性が回復できる、人間性が回復できるということは、要するに人を痛めつける、戦争に向かわせるような方向性を修正していくと、このような期待をクーベルタンはこの二つの結婚に求めていたのではないでしょうか。
クーベルタンはスポーツ側から芸術を招待しました。次は、皆さん、ここにいる芸術に関心の高い学生または教職員の皆さんが、ぜひスポーツの側を招待していただきたい。芸術家に招待された時、スポーツ側の人間がそれに応えるだけの力を持っているのか、そういう知性、芸術性を持っているのか、これが2020年大会に向けて問われている、問われなければならない1つの課題じゃないかなと思います。

講演する和田浩一 フェリス女学院大学教授

「フィギュアスケート競技における芸術性」 河合 彩(オリンピアン)

表現するために必要なこととして、まず感性、感受性、こういった部分を磨いていくことがとても重要だと思っています。ジャンプに割く時間と同じくらい、音楽を聴く時間、それから音楽を感じて動く時間、あとは氷の外で舞台を観に行く、美術館に行く、といったアートに触れる時間が大事です。そのほか、表現するためには、柔軟性と筋力、スケーティングスキル、そして振り付けが重要です。素晴らしい振付師は何が違うのかと考えた時に、一番はスケーターにインスピレーションを与えることができるかどうか、ここに尽きると思います。
採点方法としては、まず技術面の点数を付け、更に表現も細かく分解して評価されています。それがファイブコンポ―ネンツと呼ばれるもので、スケーティングスキル、要素のつなぎ、動作・身のこなし、振り付け・構成、曲の解釈です。フィギュアスケートは、他のスポーツと違って、はっきりと何センチ飛んだから何点出るとか、何秒で終わったから早いとか、そういったわかりやすい競技ではないので、表現や芸術の部分を細かく分けて採点することになります。ただ、私が思うことは、確かに昔と採点方法は変わりましたが、不思議なことに、当時、金メダルを取った人たちが今のルールでやったとしても同じ順位になるのではないか、ということです。そう考えると、今のフィギュアスケートは、「表現」ということをうまく数字にすることができているのかなと思います。

講演するオリンピアン 河合彩

「アートとスポーツ」 日比野 克彦(東京藝術大学 教授)

アスリートとアーティスト、スポーツとアート、身体性と芸術性というものが両極端で相反するものだという常識を変えていきたいと思っています。
サッカーのスーパープレイヤーは何に優れているかというと、イメージを形にする、イメージを伝える、というスキルが高い。そして、芸術の世界では、自分の手に持っている道具にイメージを伝えて、形にしていく。足でボールを操るか、手で道具を操るか、アスリートもアーティストも、イメージで形を伝えていく、ということでは同じだと思います。
アスリートとアーティスト、それぞれの表現の場であるスタジアムとミュージアムをつなぐプロジェクトとして、マッチフラッグプロジェクトというものがあります。マッチフラッグの意味するところは、対戦する2つのチームの旗を1つにミックスして、両チームのサポーターが一緒に作って、互いに応援し合うというものです。一緒に旗を作ることによって、試合の会場であるスタジアムをミュージアムにしていこう、制作現場であるミュージアムをスポーツのサポーターたちが集まる場にしていこうというプロジェクトになっています。
このように、スポーツとアート、互いにイメージを伝える、互いをイメージすることによってコミュニケーションを取っていくというアートコミュニケーションが、最近とても重要なこととなっています。身体と身体が、同じ時間、同じ空間に共存して、交流するというのがスポーツのいいところ。見えないものを想像して、相手の気持ちを思いやって伝えるというのがアートのいいところ。この2つの、両者のポイントが重なったところの、アートコミニュケーションというものが、とても重要になっています。

講演する日比野克彦 東京藝術大学教授

意見交換

■「2020年大会に向け大学ができること」
  • ・授業で「トランポリン競技をどのように盛り上げていくか」というテーマでグループワークを行っています。その中で、トランポリンがある施設に行って実際に体験をしてきましたが、その施設自体もまだまだ知られていないということがわかりました。今後、私たち学生が連携し、そういったあまり知られていないスポーツの施設を建設することを呼びかけるなどして、オリンピックが終わった後、子どもたちがやりたいと思った時にその競技ができるようになったらいいなと思います。(実践女子大学・学生)
  • ・世界において日本・東京がどういう場所で、どういうことが出来得る国かということをあらためて考え直すチャンスだと思っています。(東京藝術大学・学生)
  • ・オリンピックが終わった後、どのようなことが残せるのかを考え、学生を集めて団体を立ち上げました。もちろん施設などは残りますが、それ以外でもボランティア活動など、マインドといったものが残ると思います。例えば、外国人ともっと交流を持とうという機運など、そういったものをどのように盛り上げていくかが重要だと思います。それを実際に学生たちの力を使ってやっていくことが、オリンピックに向けてできることではないかと思います。具体的には、清掃活動や国際交流イベントをどんどん立ち上げていくことが大事ではないかなと思っています。(千葉大学・学生)

アドバイザー 中京大学 來田教授より

先ほど、あまり知られていないスポーツを継続していくための場所の確保やネットワーク作りについて意見を言ってくださった方がいらっしゃいました。オリンピックやパラリンピックの中には特定の競技が入っていますが、先日のアジェンダ2020を見ても、IOCはこれからワールドゲームズとも手を結ぼう、マスターズゲームズとも手を結ぼうと、より多くの人たちが関わっていくことを強く望んでいると思います。追加の競技が入るということもその延長線上にありますので、あまり狭めて考えず、オリンピック・パラリンピックだからこうでないといけないなどではなく、自由にアイデアを出す中で、東京の後の大会がより良くなるような発想をしていけば良いのではないかと思っています。

意見交換の様子
■「2020年大会と日本の芸術・文化」
  • ・私は建築装飾について研究をしており、日本の歴史や文化を発信するために、文化財を活用できるのではないかと思っています。お寺で見られる龍や獅子などの彫刻は江戸の文化ですが、あまり海外に知られていません。仏像などは海外に発信されていますが、そういった建築装飾は流動性がなく、知られざる日本の文化となっています。ですので、そういったものを海外から来られた方に見てもらい、色々な人に紹介できればいいかなと思います。自分の研究とも絡めながら、色々な発信の仕方をしていけたらと思います。(東京藝術大学・学生)
  • ・このオリンピックについては、一つのお祭りではなくて、未来へつながるものだと感じています。そして、それを引き継いでいくのは子どもたちだと思っています。将来この日本を背負う、もしくは世界を担う子どもたちのために、どのようなオリンピックを開いていくか、多くの人たちを招き、日本を知ってもらうということが必要ではないかと思います。選手はもちろんのこと、その家族、大会役員、色々な人たちがこの日本を訪れます。子どもたちにとっても、例えば、その国を調べる、その国の選手を調べるなど、色々な学習をする機会が多くあると思います。また、子どもたちと選手の交流なども積極的に行っていきたいと思います。そういったことを行うことで、子どもたちに夢を持ってもらえるのではないかと思います。(東京学芸大学・職員)

アドバイザー オリンピアン 河合彩さんより

選手という立場で少しお話をさせていただきたいと思います。私が出たのは98年の長野大会でしたが、その時に、例えば別の国の選手、それから街ですれ違った外国からのお客様に「日本っていい国だね」と言われることがありました。長野の人たちは、英語を話せなくても、外国の方が道に迷っていたら何とか助けようとしてくれたそうです。また、フィギュアでは、日本で大会をすることを好む選手がすごく多くて、その理由の一つとして、応援のマナーがすごく良い、本当に気持ち良く競技をすることができるから、と言われています。それを聞いた時、日本の選手は何を思うのかと言うと、「あー、日本人で良かった」ということです。もしかしたら、応援してくださる皆さんは私たち選手を誇りに思ってくださるのかもしれませんが、選手たちも、皆さんの行動を誇りに思う場面がたくさんあります。ですので、ぜひ皆さんもオリンピックまで、そしてその後もずっと、一人一人が日本代表というつもりになって、何か行動を一つ起こしていただけたら、本当に素敵な大会になるのではないかなと思いました。

意見交換の様子
  • ・日本には、お祭りという素晴らしい文化があります。お祭りには、盆踊りや屋台があり、盆踊りはみんなで一緒に踊れる一体感があります。また、他にも、日本の文化には生け花、三味線、和太鼓などもあり、お祭りでも和太鼓をやりますが、そういったお祭りと他の文化という二つの物を融合させた一つの空間を作りたいなと思っています。それをきっかけに、東京から世界へ日本の文化を発信していけたらと考えています。例えば、そういったお祭りを来年のリオ大会の期間中に開催し、2020年に向けて毎年定期的に続けていければと思います。初めは在日の外国人の方や大学にいる留学生の方を招いて楽しんでもらい、それをSNSなど通じて海外にいる友人などに広げてもらうことで、翌年に開催した時には、その情報を知った海外の方たちが日本に来てもらえる、そういったことを繰り返していくイメージです。また、このお祭りを東京中の大学生の有志が集まった組織で企画、実施することを考えています。(武蔵野大学・学生)
  • ・自分が日本という国に生まれて、意外に知らないことが多く、再認識するため、発信するためには、私たち日本人が、全国の文化を知るきっかけということも必要だと思います。幼稚園や学校によっては、地域・地元の文化を大事にしていて、そういったものを教育の一環として取り入れているところもある一方、取り入れていないところもあるなど差があります。そういった差をなるべくなくせるように、東京から発信することも大事だとは思いますが、中心となっているところが盛り上がっているのは当たり前のことなので、逆に離れた九州や四国なども盛り上がっていけるように、各地元の文化を再認識して発表する場を設けられたらなと思いました。それを認識して外国の方に伝えることや、外国の方から「日本はこういうところがいいね」と言われたことが衰退しないように大事にできたらなと思います。(実践女子大学・学生)
  • ・障がい者スポーツについて、足立区は色々な体験プログラムを行っています。特に2月を障がい者スポーツ月間と定めて、今年は車椅子バスケットボールやゴールボールの体験会を開催しました。健常者の方も、実際に車椅子に座ってゴールを決めてみるなど、体験することが障がい者スポーツの理解、ひいては心のバリアフリーに非常に有効だと考えています。(足立区・職員)
  • ・京都府では、スポーツは東京なら文化は京都で頑張ろうということで、先般、基本構想案をまとめたところです。文化庁が4年間で20万件の文化イベントと言っていますので、おそらく京都で1万件くらいはできるかなと思います。もちろん国際的な発信も考えていかなければなりませんが、何よりも京都の人が京都のことをあらためて知ってもらうということも考えていきたいなと思います。京都は1200年以上の歴史がありますので、その中から、1つでも2つでもレガシーにつなげていければと考えています。(京都府・職員)
アドバイザー 東京藝術大学 日比野教授より

スポーツと文化は何が違うのかと言うと、スポーツというのは自分事なんです。自分が走る、勝負がある、体力がつくなど、身体的であるから自分事なんですけれども、こと文化になると他人事になり、ちょっと身体から離れてしまいます。そこが客観性を持てるいいところでもありますが、もっと文化を自分事化する、自分から発信することが大事だと思います。文化というと、日本の文化イコール何々、というようなステレオタイプ的な話になりますが、文化というのはもっと日常の中の自分事であるべきだと思います。そこから何かが生まれるし、始まる。そして、自分を知ろうと思うと、当然歴史も勉強しなくてはいけないし、海外のことも知りたくなるかもしれない。ですので、結果的には歴史や海外について知ることになるのかもしれないけれども、一番初めの理由というのを自分事として考えることが大切です。どうしても文化というと日本の文化とか、歴史とか、海外との比較とか、日本を発信するブランディングとか、世間にある文化のフレーズに踊らされがちですけれども、そこから本当に新しいものが生まれてくるのか、という疑いから、その視点から始めないと、同じものの繰り返しになってしまうでしょう。ましてや学生の人たちがこれから10年後、20年後、50年後の日本の文化を築いていく時には、もっと今の自分たちでは感じられない日常があると思います。それは教科書に載っていないし、調べても出てこない。自分の日常は自分しか知らない。朝起きたら何をするのか、何を見ているのか、どのようなコミュニケーションを取っているのか、やはりそこからでないと文化は生まれてこないと思いますので、自分事として考えるということが一番大切なことではないでしょうか。
そして今日、オリンピックって、ちょっと魅力的で面白いなと思ったのは、様々なキーワード、話題が出てくるわけですよね。トランポリンの話が出てくる、そして文化財保存の話も出てくる。様々な話が出てきて、それらについて1つの土俵、1つのステージの中で話し合いができる。文化が生まれてくる時は、種々雑多なものが集まってきて、そこでその時代、その土地の物が生まれてくるのが文化です。オリンピック・パラリンピックという1つの大きなものに向かって、みんなが何かできるんじゃないか、何かできる気がする、というその感覚がオリンピック・パラリンピックの一番魅力的なものだと思います。具体的な会議、具体的な学会でもないけれども、色々なエリア、色々なジャンルの人たちが何かできるのではないか、これを機に出会える人たちによって次の他の物が生まれてくる、それが一番の魅力であり、その時に自分の日常から生まれてきた自分事として、その文化を提案していくということが大事なことかなと思います。

アドバイザー 組織委員会 雜賀局長

2点コメントさせていただきたいと思います。学生を集めてレガシーを考える団体を作ったという話がありました。こういった動きは、既に大学連携の中でいくつか出てきていますが、ぜひ進めていきたいと思っています。
もう1点、東京のオリンピック・パラリンピックの時には、色々な世界的な企業が来ます。ロンドン大会の時も、大会を支えた人たちが、場合によってはボランティア、場合によってはパートやアルバイトだったかもしれませんが、そういったところから就職につながったという事例があると聞いています。世界中、日本中の色々な企業がオリンピック・パラリンピックの時に、様々な企業活動をすると思います。その時には、今いる企業の人たちだけでは足りませんし、もっと新しいことをやりたいという企業はたくさんあるでしょう。その中で、学生の皆さんがそういったところに参加して、できれば就職につながっていけばいいなと思います。

まとめ 筑波大学 真田教授

レガシーについて、ロンドンでその後どのように続いているのかを調査しました。何が一番残ったのか聞いたところ、オリンピック・パラリンピックが終わった後、ロンドンの人々、あるいはイギリス国内であっても、みんなが笑って隣の人と話すようになったそうです。例えば、電車、地下鉄に乗っても隣の人同士しゃべらないというのがイギリス人だったそうですが、それが明るく、笑顔で話すようになったと。同時に、何となく自信を持つようになったと言っていました。オリンピック・パラリンピックを通して、日本でもそうした色々な形のレガシーが生まれてくればいいのかなと思います。
イギリスでは、若者の参画、コミュニティの参画、ということを色々と考えていたそうです。日本での大学連携が進んで行って、多くの若者がオリンピックムーブメントに参画していく、そういったことが様々なレガシーを残していくことになるのだろう、と同時にコミュニティのみならず、メディア、地元の様々な企業などがオリンピックムーブメントに参画していくことが、地域の活性化とともにレガシーとして残っていくことになるのではないでしょうか。

まとめをする筑波大学 真田教授