柔道

柔道

柔道のピクトグラム

パラリンピック競技

柔道

「はじめ」の合図とともに繰り出される大技。一瞬の勝機を逃さない、スピーディーな戦い。

競技概要

視覚障がい者だけで行われるパラリンピックの柔道。陸上競技や水泳のような障がいの程度に応じたクラス分けはなく、オリンピックと同様に男女別・体重別の階級制で行われる。アイマスクなどは使わず、全盲や弱視など見え方の異なる選手同士でも、そのまま対戦する。

ルールはオリンピックとほぼ同じだが、大きく違う点は試合の始め方。両選手が互いに相手の襟と袖をつかみ、組み合った状態から「はじめ」となる。組み手争いの時間がないため、試合開始から技の掛け合いになる。全力での激しい技の応酬により、選手の体力の消耗は激しく、集中力と持久力が必要だ。

開始早々に「一本」で勝負が決する試合もあれば、試合終了間際の形勢逆転もあり、最後まで目が離せない。

種目

  • 60kg級(男子)
  • 66kg級(男子)
  • 73kg級(男子)
  • 81kg級(男子)
  • 90kg級(男子)
  • 100kg級(男子)
  • 100kg超級(男子)
  • 48kg級(女子)
  • 52kg級(女子)
  • 57kg級(女子)
  • 63kg級(女子)
  • 70kg級(女子)
  • 70kg超級(女子)

ESSENCE OF THE SPORT/競技の魅力、見どころを紹介!

「組んでから始まる」柔道 息遣いや動きから相手の出方を察知する

柔道の選手

柔道は、男子がソウル1988大会から、女子はアテネ2004大会から、それぞれパラリンピックの正式競技となった。

選手の視覚障がいの程度は全盲(B1)~弱視(B3)まで3クラスに区分されるが、試合は障がいの程度でなく、体重別で競う。ただし、全盲の選手は、試合の最中に場外に出てしまった時に、場内中央へと戻る際の移動の介助が必要なこともあり、主審が全盲であることを認識しやすいように、柔道衣(白、青とも)の両袖外側に、直径7センチメートルの赤い円形のマークを縫い付けなければならない。

パラリンピックの柔道の特徴は、両選手が互いの襟と袖を決められた位置でつかみ、組んだ状態から試合が始まるというルール。ここがオリンピックの柔道と異なる大きなポイントだ。ただし、最初の組み方には手の位置などに細かい規定があり、一度組み合ったら、主審が「はじめ」を宣告するまでそのまま待つ。動けば、「指導」が与えられる。

組み手争いがないため、試合開始直後から一本狙いの大技が繰り出されることが多く、迫力のある試合が繰り広げられる。また、最初に組み合った状態から自分の得意な組み方に移行しながら技につなげていくという、微妙な持ち手争いも見どころの一つ。視覚からの情報を得にくい中で、相手の微かな動きや力の入れ具合、息遣いなどから出方を察知し、攻めを封じながら相手を崩し、自分の技を出すタイミングを探る。神経を研ぎ澄ませ、集中力を高め続ける気力のスタミナも問われる。

途中で両手が離れた場合は、「待て」がかかり、選手は組んだ状態に戻される。故意や不注意の場合には場外指導が与えられるが、オリンピックに比べて緩やかに適用されている。主審は選手が場外に近づいたら、畳の中央付近から「場外、場外」と声を出すことで選手に正しい方向を知らせる。もし場外に出た場合は、中央に戻って組み直しとなる。

コーチは試合中、コーチ席から選手に指示を与えることが認められているのも、オリンピックの柔道とは違う点だ。選手の目の代わりとなり、視覚からの情報を補うようなコーチングを行ってもよい。特に残り時間についての情報などは選手にとって重要だ。

オリンピックのパワー柔道の潮流は、パラリンピックの柔道にも同様に見られ、技をかけられた不利な体勢から、一気に巻き返す展開も最近では珍しくない。技の幅を広げるため、ブラジル発祥で寝技を主体とするブラジリアン柔術や、ロシア発祥で投げや関節技で一本を狙うサンボなどを練習に取り入れる選手も増えている。

OUTLOOK FOR THE TOKYO 2020 GAMES/2020年に向けた競技の展望

一本を狙う、より攻撃的な試合展開へ 瞬発力やパワーが求められる

柔道の選手

日本発祥の柔道は欧米にも普及・浸透し人気も高い。リオデジャネイロ2016大会では36カ国から129選手が出場し、うち18カ国が少なくとも1個のメダルを獲得した。

ウズベキスタンは金メダル3個を含む国別最多となる10個のメダルを獲得し、ロンドン2012大会での銀メダル1個から大躍進した。専用の練習施設の設立や育成プログラムの導入など、パラリンピック競技全体に対する国の厚い支援もあり、強化につながっているという。

2016年末、国際柔道連盟(IJF)が行ったルール改正により、パラリンピックの柔道のルールは、一部変更された。例えば、試合時間は男子が1分短縮されて男女とも4分間となり、技の判定基準が一本、技ありだけとなった。より攻撃的に「一本」を狙っていく柔道を目指した変更とされており、選手はさらなる瞬発力やパワーをつけ、これまで以上に試合開始直後から積極的に攻める戦略も必要となってくるだろう。

パラリンピック史上最も多くのメダルを獲得しているのは、男子100kg級のアントニオ・テノリオ(ブラジル)で、アトランタ1996大会から北京2008大会まで4連覇し、ロンドン2012大会は銅、45歳で迎えたリオデジャネイロ2016大会でも地元の大声援を後押しに、銀メダルを死守した。女子は中国のヤン・ヤンピンが70kg超級で北京2008大会から3連覇している。リオデジャネイロ2016大会では40歳という年齢とケガの影響が心配されたが、すべて一本勝ちで優勝と無類の強さを見せた。

<日本>
日本の男子は、柔道が正式競技となったソウル1988大会から連続出場し、毎大会1個以上のメダルを獲得している。リオデジャネイロ2016大会では60kg級の廣瀬誠が日本選手団のメダル第1号となる銀メダルを獲得。66kg級の藤本聰、100kg超級の正木健人の2人も、3位決定戦を制して銅メダルとなった。日本の女子も連続出場はしていたが、リオデジャネイロ2016大会で57kg級の廣瀬順子が3位となり、女子史上初めて表彰台に上がった。日本の柔道は毎大会メダルを獲得しているだけに、今後さらなる活躍が期待される。

TRIVIA/知られざる競技のヒミツ

Question

かつてオリンピック・パラリンピックの柔道では白の柔道衣同士で試合を行っていた。審判や観戦者が対戦する選手を区別しやすくするために、シドニー2000大会以降、白と青の柔道衣で試合を行っている。では、白と白で戦っていた頃は、対戦する選手を区別するためにどのような方法を採用していたのか?

Answer

A:白と赤の帯を締めていた。
選手は通常の黒帯の上に、それぞれ白と赤の帯を締めていた。審判や観戦者はその色で選手を判別していたが、より分かりやすくするために青い柔道衣が導入された。ただし、白い柔道衣同士で試合を行っている国内の大会では、今でも黒帯の上にそれぞれ白と赤の帯を締めて試合を行っている。

(2018年12月1日現在)

競技会場

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