ドーピング・コントロール・オフィサーインタビュー 鈴木靖さん

鈴木靖さん

クリーンな大会運営を行う上で重要な役割を担う検査員(ドーピング・コントロール・オフィサー)。
今回はサラエボ1984大会のスピードスケートに出場したオリンピアンで、現在はJADAのアスリート委員であり、現役の検査員でもある鈴木靖さんに、検査員のやりがいや魅力についてお伺いしました。

検査員の魅力①アスリートや関係者、仲間との出会い

まず、検査員の魅力について教えてください

出会いですかね。アスリートもそうですけど、各競技団体の方とか関係者の方と出会うのも楽しいですね。人間との出会いっていうのはひとつ、自分自身も大きくなるというか、成長だと思います。
いろんな競技会に行って、検査を通じてコミュニケーションをとっていきますが、その検査がすべて順調に終わって、最後、「ありがとうございました」と言うときに、アスリートの方に関しては、アンチ・ドーピングについて理解して頂けたんじゃないかな、と思います。そこで輪が広がったんじゃないかなと思っていますし、そこがやりがいですね。
一度、一生懸命検査チームで対応をして検査が終わった後、関係者の方から「鈴木さん、今度飲みに行こうよ」と誘われたことがありました。それってすごい、嬉しいですよね。そういうところなんです。それが本当に理解して頂いたなというところなので、そういった出会いが、私達検査員のやりがいかなと思っています。

検査員の魅力②アスリートが目的に向かう時間を共有できる

他にも魅力はありますか?

アスリートが目的に向かって一つひとつの時間を大切に過ごしています。その時間の一部に私たちは入ることになります。その時間を共有しているという素晴らしさ。例えばある選手が金メダルを獲りました。その時、その選手と数時間でも一緒にいたことがある、選手のメダルへの道の過程の中で、時間を共有したことがあるというのはとても嬉しいところです。そこも魅力ですよね。

検査をする上で心がけていることはありますか?

心がけているのは笑顔とあいさつですね。あと、選手や関係者など、協力していただいている方へのリスペクト(尊敬)。大会期間中に検査をするということは、競技や表彰など時間が決まった中で動いているわけです。でも、尿というのは、「3時になったら出してね」というわけにもいかないので、なかなか時間が延びたりして、その辺の理解をして頂くというのが非常に苦しいですね。表彰は当然優先してやって頂くのですが、選手は表彰の前に(尿を)出しておきたい、その後もインタビューなどやると1時間くらいかかってしまうので耐えられないとか、選手の気持ちも考えないといけないので、「今こういう状態なので、あと5分ください。」とか、そういう形で大会関係者に理解をいただくというのもよくあります。

検査員に向いていない人はいない

検査員にはこんな人が向いている、などはありますか?

スポーツ好きなら、個々はどんな性格でもいいんです。実は、検査(ミッション)を行うのは個人ではなくチームとしてやっていかなければなりません。そのチームを成立させるためのコミュニケーション能力があれば、私は個々がどんな素質を持っていようが、個性を持っていようが、構わないと思います。

検査員にこれからなろうとしている人は、自分にできるのか不安もあると思います。そういった方達の不安を取り除くために、何かアドバイスはありますか?

検査員に向いていない人というのは、いないと思います。JADAを中心とした家族の中にチームがあって、その家族の中にいるという安心感、何かあれば絶対にバックアップしてくれるという安心感の中、要するに家族ですよね。
シャペロンと検査員の違いって、検査について知っているかいないかの違いだけで、ドーピング検査というひとつのミッションを行うのは同じだと思うんですよね。だから、シャペロンだから、検査員だからじゃなくて、そこも含めてチームでやるので、やはり同じチームの方とコミュニケーションがとれる方とかですね。
具体的には、そんな難しいことは何もなくて、Aと言ったことをちゃんとAと言える、Aと言ったことをBと理解するようなひねくれたところのない、ちゃんとした話の出来る人であれば全然OKだと思います。

特別な知識はない方がいい。不安なんて全く無い!

検査員になるために特別な知識は何か必要でしょうか?

特別な知識は、ない方がいいと思います。余計な知識があるとそれを言ってしまったり、自分の知識って、どうしても出したくなる場面ってあるじゃないですか。それってダメなんですよ。だから、ない方がいいです。

これまでのお話をお聞きしていると、これから応募される方に対しては、「どうぞ来てください!」といったところでしょうか?

不安なんてまったくありません!と言っていいと思います。

オリンピック・パラリンピックに携わることは、人生の中の大きな出来事になる

これまで検査員としても数多くの大会を経験されて、オリンピックやパラリンピックで他の大会と違いを感じることはありますか?

オリンピック・パラリンピックと他の大会は大きく違うんじゃないでしょうか。検査員とは違う例になりますが、私の知人がおじいちゃんと話していたときに「札幌オリンピックのスタジアム、俺が作ったんだよ」と言ったみたいなんです。もちろん、工事・設計のひとりのスタッフとして携わったようなのですが、それを聞いた知人は、「うちのおじいちゃんが...」と、自慢げに皆に言って回っていたんです。ひとりのスタッフがオリンピックの建設に携わっただけなのに、その家族が皆それを誇りに思っている、っていうくらいオリンピックは力がある。これが、スタッフとして実際に運営にいくとなると、これはすごいことだと思います。人生の中の一つの大きな出来事になると思うんです。なので、その一瞬を体験してほしいなと思っています。

本当に楽しそうに検査員の魅力を語ってくれた鈴木靖さん。ドーピングコントロールはチームで動くため、それは家族のような存在で、守られている安心感をすごく感じている、興味のある方はぜひ応募してほしい!とおっしゃっていました。

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公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)公式サイト(別ウィンドウで開く)

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