聖火で3度の感動、二人三脚で走るパラリンピアン 愛媛県ピックアップ聖火ランナー 矢野繁樹さん

矢野繁樹さん(写真左)
矢野繁樹さん(写真左)

矢野繁樹さん

聖火を肌で感じながら、地元愛媛を走りたい。

矢野繁樹さんは陸上競技の視覚障がいクラスで3度パラリンピックに出場し、「聖火」から3つの感動を得ました。

まだ視力のあったアトランタ1996大会の開会式で、聖火が灯る瞬間を見た時の、武者震い。

4×100mリレーで銀メダルを獲得したシドニー2000大会の閉会式で、聖火が消えた瞬間の静寂と達成感。

全盲となり、聖火を見ることのできなかったアテネ2004大会で、心に灯した聖火とともに、完全燃焼したこと。

聖火が選手に与える影響は大きなものであると感じました。だからこそその聖火を、今大会の選手へと繋いでいきます。

現役引退から10年を経て、現在は4年前から障害者と健常者が共に競技力を高め合う「愛アスリートクラブ」に所属し、障害者の大会だけでなく、マスターズや一般の競技大会へ出場するようになり、矢野さんには再び走ることで喜んでくれる人、仲間がたくさんいます。

オリンピックの聖火ランナーとして参加することで、共生社会を目指す地域の光になりたいと思っています。

※聖火ランナー応募時(2019年夏頃)にご提出いただいた志望理由をもとに構成しております

パラリンピアンを目指そうと思われた理由を教えてください。

同じ障害のある陸上競技好きの兄の背中を追いかけて競技を続ける中で、共に世界で実力を試したくなりました。

開会式の雰囲気に圧倒されましたが、聖火が不安をかき消し、一瞬にして「よしっ、やってやる」という心のスイッチを入れてくれました。

メダルを獲得されて見た聖火は、それまでの聖火とどのように違って見えましたか?

ずいぶんと長く燃えていた気がして、聖火が消えた時、心のスイッチが切れ…ほっとしました。

一瞬でこれまでの練習や試合の様子が浮かび、確かな達成感と終わったという空虚感が交錯していました。

全盲となって臨んだ最後の大会で、心に灯した聖火とはどのようなものでしたか?

競技を始めるきっかけとなった兄がアトランタ1996大会で引退し、「完全燃焼」という言葉を残しました。

その言葉が忘れられず、完全燃焼すべく、最後の大会に臨みました。聖火が消えた時、思い残すことがない清々しい気持ちの自分がいました。

1996年と比べてパラスポーツや生活環境で変わったことがあれば教えてください。

課題は尽きないものの、社会の障害理解はずいぶんと進んでいると思います。「困った時はお互いさま」の街のやさしい雰囲気がとてもありがたいです。

スポーツや音楽には大きな力があります。「一緒に楽しめる機会」を増やすことが大切だと心から思います。

メダリストとして、盲学校の先生として、聖火ランナーとして伝えたいことはどんなことですか?

伴走者の瀧本さんとの競技は、いつも「二人三脚」。それは生活上でも同じ。

その関係は、サポートするサポートされるというものではなく、共に同じ目標に向かうパートナーです。

ひとつの「小さな共生社会」がここにあると思います。