令和の大嘗祭に麻織物を献納、誇り胸に走る 徳島県ピックアップランナー 藤本高次さん

藤本高次さん
藤本高次さん

藤本高次さん

藤本高次さんの住む美馬市木屋平(こやだいら)地域は、徳島県のほぼ中央部に位置し、標高1,500メートル級の名峰に囲まれた閑静な山村です。

旧木屋平村だった1955年頃に6,500人を超えていた人口は、地域産業の変動などによって多くの家庭が村を出て、現在は当時の1割に満たない約570人まで激減しました。

この地域には、古くから天皇の御代替りに行われる儀式である大嘗祭(だいじょうさい)に欠かせない「麁服(あらたえ)」と呼ばれる麻の織物を、皇室に調進してきた歴史があります。

大きな歴史を途絶えさせてはいけないと、大勢の地域の人の賛同によってNPO法人を設立。2017年7月から特別な許可を得て、麻畑の整地や竹矢来の組み立てなどを行い、播種後は24時間体制で麻畑を管理しています。

藤本さんは皮剥から糸に紡ぐまで困難な作業を住民の力を借りて行い、令和元年となった昨年、「麁服」を大嘗宮(だいじょうきゅう)へ献納しました。

地域の宝である「絆」「自然」「歴史文化」を、地域の代表者として聖火に乗せて全国に発信していきます。

※聖火ランナー応募時(2019年夏頃)にご提出いただいた志望理由をもとに構成しております

木屋平地域の良いところはどのようなところですか?

住民の多くが60歳以上の高齢者の地域ですが、活性化のために精力的な活動をしています。環境保全を目的に始めた川の清掃には毎年多数の人たちが参加し、5月の恒例行事として定着しています。その成果として、水質日本一の勲章がついています。

伝統として引き継がれてきた「麁服」について教えてください。

麁服は天皇即位に伴う大嘗祭の儀式で悠紀殿(ゆきでん)、主基殿(すきでん)に祀られる麻の織物です。鎌倉時代の亀山天皇から光明天皇まで6代の天皇に奉仕した文献が残っています。大正天皇の大嘗祭で復活し、現在まで続いています。

「麁服」とご自身が関わりを持たれたのはどんなきっかけでしたか?

もともと歴史に興味があり、麁服のことも勉強を続けていました。折から、2016年に現在の上皇陛下の御譲位の意向があり、地域に与えられた大きな歴史を継続し、また次世代につなぐ必要を強く感じて大事業に関わる決意を持ちました。

今後は木屋平地域に、どのように貢献していきたいですか。

私たちの地域は自然と文化に恵まれたところです。麁服の歴史と日本一の清流 穴吹川、西日本第2位の高峰 剣山が間近にあります。今後この3点を結ぶ観光ルートを確立し、豊かな自然を発祥できる地域づくりを心がけたいと思います。

聖火リレーを通じて伝えていきたいこと、意気込みを教えてください。

麁服調進事業と東京オリンピックが重なり、奇跡的に聖火ランナーに選ばれました。歴史的大事業を完遂した誇りと65歳の高齢者が夢のランナーに選ばれたことが、孫たちに語り継がれる走りをしたいと思います。