Photo by Adam Pretty/Getty Images
Photo by Adam Pretty/Getty Images

限界を越え続ける最速スイマー達

0.01秒の極限の闘い

競技紹介アニメーション「One Minute, One Sport」

競泳のルールや見どころを1分間の手書きアニメーション動画でご紹介します。競泳に詳しい人も、そうでない人も、まずは動画をチェック!

One Minute, One Sport 競泳
01:33

競技概要

一定の距離を決められた泳法(自由形、背泳ぎ、平泳ぎ、バラフライ)で泳いでタイムを競う競泳。リオデジャネイロ2016大会では個人種目とリレー種目を合わせ、男女で32種目がプールで行われた。東京2020大会では、800m自由形(男子)、1500m自由形(女子)、4×100mメドレーリレー(混合)の3種目が新たに加わり、種目数は35となる。

それぞれの泳法はもちろん、スタートの飛び込みから水中動作、ターンに至る一連の加速、水の抵抗を極力受けないためのテクニックも重要である。4泳法のうち自由形は、どのような泳法で泳いでもルールとしては問題ないが、現在は最も速いクロールで全員が泳ぐ。

プール以外では、北京2008大会から正式種目に採用された10kmマラソンスイミングだけが、海や川、湖など、プール以外で行われる。オープンウォータースイミングとも呼ばれる。

種目

  • 50m自由形(男子/女子)
  • 100m自由形(男子/女子)
  • 200m自由形(男子/女子)
  • 400m自由形(男子/女子)
  • 800m自由形(男子/女子)
  • 1500m自由形(男子/女子)
  • 100m背泳ぎ(男子/女子)
  • 200m背泳ぎ(男子/女子)
  • 100m平泳ぎ(男子/女子)
  • 200m平泳ぎ(男子/女子)
  • 100mバタフライ(男子/女子)
  • 200mバタフライ(男子/女子)
  • 200m個人メドレー(男子/女子)
  • 400m個人メドレー(男子/女子)
  • 4×100mリレー(男子/女子)
  • 4×200mリレー(男子/女子)
  • 4×100mメドレーリレー(男子/女子/混合)

競技の魅力、見どころを紹介

水の抵抗を極限まで減らす技術と加速のパワー 泳ぎの美しさと迫力が見もの

最も速いクロールで争われる自由形は、世界の男子トップ選手であれば、50メートルを約21秒で泳ぎ切るという、圧倒的なスピードと迫力が魅力。背泳ぎは仰向けの体勢で、しなやかに腕を使い、水面を滑るようにして進んでいく。バタフライは、蝶が飛ぶような美しさとダイナミックなフォームで魅せる。4泳法のうちで唯一、水をかいた腕を水中で前へ戻す平泳ぎは、水の抵抗との戦いをいかに制するかがポイントだ。

タイムが拮抗する世界最高峰の舞台で戦う選手たちは、泳力、体力の向上に加え、キックのタイミング、腕の向きなどを微妙にチェックし、細かい技術を磨き上げる。さらに、どのようにペースを配分するかという戦術も注目のポイントとなる。例えば予選では前半から飛ばして圧倒的なタイムで決勝に進んだ選手が、決勝ではあえて前半はペースを抑えて余力を残しておき、後半にスパートをかけるなどの作戦も、見どころの一つとなる。

1人で4泳法を泳ぐ個人メドレーには、高い総合力が求められる。選手によって得意種目が異なるため、泳法が変わるたびに順位の変動が見られることもある。抜きつ抜かれつのスリリングなレース展開は見応え十分だ。個人メドレーは、バタフライ〜背泳ぎ〜平泳ぎ〜自由形の順番で泳ぐ。

リレー種目では、前の泳者がタッチする瞬間と、次の泳者の足がスタート台から離れるまでの「引き継ぎ」の時間をどう縮めるかが重要になる。メンバーの合計タイムが上位であっても引き継ぎ次第では順位を落とすことがあり、また、引き継ぎ時にフライングをしてチームが失格することもある。メドレーリレーは、個人メドレーとは異なり、背泳ぎ~平泳ぎ〜バタフライ〜自由形の順番で泳ぐ。各泳法のトップ選手らでチームが組まれ、オールスター対抗戦のような華やかな盛り上がりを見せるのもこの種目だ。新種目の4×100mメドレーリレー(混合)は、男女2人ずつの4人でチームを組むが、どの泳法を男女どちらが泳ぐかはチームが自由に決められる。男子と女子が同時に泳ぐこともあり、大きな順位変動や逆転があり得る。

Photo by Al Bello/Getty Images
Photo by Al Bello/Getty Images

東京2020大会に向けた展望

マルチスイマーとスペシャリストの二分化が世界記録更新に拍車をかける

競泳の技術革新は今なお進んでおり、オリンピックではロンドン2012大会、リオデジャネイロ2016大会ともに決勝で世界記録が7回更新された。

象徴的なのは100m平泳ぎだ。北京2008大会で北島康介が初めて58秒台に突入。体を伸ばし水の抵抗を極限まで減らす美しいストリームラインや、息継ぎの後の頭の位置を低くする動作などで効率を追い求めるとともに、ストローク(水をかく動作)数の少ない北島の泳ぎが世界の主流となりつつあった。
それをアダム・ピーティー(イギリス)が大きく変える。テンポが速くパワフルな泳ぎ、言い換えればストローク数が多くキックが力強い泳ぎで驚異的なスピードを実現させ、リオデジャネイロ2016大会で57秒13の世界新記録を樹立して優勝した。
自由形や背泳ぎ、バタフライにおいても、大会ごとに新しいテクニックが生み出されており、技術力の進化が競泳の記録の進歩を促しているのである。

近年ではスペシャリストよりも多種目で活躍する選手が増えた。マイケル・フェルプス(アメリカ)やライアン・ロクテ(アメリカ)、カティンカ・ホッスー(ハンガリー)らが知られている。彼らが得意とするのは個人メドレーだ。一方、先に挙げたピーティーのようなスペシャリストも活躍している。マルチに活躍する選手、そしてスペシャリストとの二分化は、これから先の水泳界に大きな変革を起こしていくことになるだろう。

<日本>
リオデジャネイロ2016大会では、萩野公介が400m個人メドレー(男子)で日本選手団第1号となる金メダルに輝き、さらに52年ぶりとなる4×200mリレー(男子)での銅メダル獲得にも貢献した。かつて日本にはスペシャリストが多かったが、近年では萩野や瀬戸大也のような多種目で活躍する選手が登場。小学生の頃から4つの泳法を指導されることが背景にある。また1964年東京大会以降あまり日本が得意としてこなかった自由形にも、強い選手が育ってきた。選手層の厚みも増しつつあり、競泳での日本のメダルはますます増えることだろう。

トリビア

(2020年3月24日現在)