カヌー(スプリント)

Photo by Ryan Pierse/Getty Images
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スピード勝負のスプリント。パワー、技術、戦略も求められる水上の戦い

競技紹介アニメーション「One Minute, One Sport」

カヌーのルールや見どころを1分間の手書きアニメーション動画でご紹介します。カヌーに詳しい人も、そうでない人も、まずは動画をチェック!

One Minute, One Sport カヌー
01:23

競技概要

数千年昔から海洋や湖沼、川などで移動や輸送、狩猟道具として使われ、人類の生活に根付いていたカヌー。スポーツとしての起源は19世紀中盤にイギリスで芽生えてからだ。それを法廷弁護士で冒険家のジョン・マクレガーが自身の著書を通して広め、レースなどスポーツとしてのカヌーの普及と発展に寄与したという。1866年にイギリスのテムズ川で最初のカヌーレースが行われている。1924年には国際カヌー連盟(IRK)が設立され、1946年に現在の国際カヌー連盟(ICF)に改組された。

流れのない静水で行われ、複数のカヌーが一斉にスタートして着順を競うカヌースプリントは、2009年以前はフラットウォーターレーシングという名称で、オリンピックではパリ1924大会で公開競技として実施され、ベルリン1936大会から正式競技になった。その時は男子のみで1000mと10000mの9種目が行われていた。

ロンドン1948大会からは女子のカヤック種目が追加され、ローマ1960大会からは10000mがなくなって最長が1000mまでの種目になっている。

日本のカヌー競技は、ベルリン1936大会に出場したボートの選手団が、ドイツ製のカヤック艇とカナディアン艇を持ち帰ったのが始まりで、1938年には日本カヌー協会(現 日本カヌー連盟)が設立された。

種目

  • カヤックシングル(K-1)200m(男子/女子)
  • カヤックシングル(K-1)1000m(男子)
  • カヤックシングル(K-1)500m(女子)
  • カヤックペア(K-2)1000m(男子)
  • カヤックペア(K-2)500m(女子)
  • カヤックフォア(K-4)500m(男子/女子)
  • カナディアンシングル(C-1)1000m(男子)
  • カナディアンシングル(C-1)200m(女子)
  • カナディアンペア(C-2)1000m(男子)
  • カナディアンペア(C-2)500m(女子)
Photo by Matthias Hangst/Getty Images
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2016 Getty Images

競技の魅力、見どころを紹介

迫力のスタートダッシュ、熾烈極まるゴール前の順位争い

カヌースプリントのカヌーには、甲板がなく片膝を立てて漕ぐカナディアンと、座って漕ぐカヤックがあり、カナディアンは片側にブレード(水かき)が付いたパドルを使う。カヤックは両側にブレードが付いたパドルを使う。両側のパドルで漕ぐカヤックは足元のラダー(舵)で微妙に操作して進むが、カナディアンはラダーがないため、漕ぎで方向をうまく操作しなければいけない難しさがある。また、後ろ向きに漕ぐボートとは違って前向きに水面を進む。

東京2020大会で行われる種目は、男女カヤックシングル200mと男子カヤックシングル1000m、女子カヤックシングル500m、男子カヤックペア1000mと女子カヤックペア500m、男女カヤックフォア500m。またカナディアンはこれまで男子種目のみでシングル、ペアとも1000mだったが、今回は女子もシングル200mとペア500mが行われ、全部で12種目になる。

競技は幅9mのレーンに並んだ各艇が発艇音で一斉にスタートする。準決勝まで終えた段階で上位8艇がA決勝に、9位から16位がB決勝に進出してそれぞれの順位を競う。

カヌースプリントの大きな見どころは、パワーあふれるスタートダッシュの迫力だ。静止状態からトップスピードまで、水しぶきをあげながら一気に加速する様子は、見ていて爽快感がある。ロンドン2012大会から行われている最短距離の200mは、男子カヤックで30秒あまりの勝負で、水上のF1とも言われる種目だ。

500mと1000mは、戦略に合ったペース配分や、ライバルを見据えた駆け引きが必要になり、ゴール前の順位争いも熾烈になる。またペアとフォアは、無駄のない統率された漕ぎが勝利への鍵となる。その息の合わせ具合にも注目だ。

東京2020大会に向けた展望

強豪国が揃うヨーロッパ、新たに押し寄せるグローバル化の波

リオデジャネイロ2016大会では、女子は4種目中3種目でハンガリーが優勝。男子は6種目中3種目でドイツが優勝し、他の3種目もウクライナ、イギリス、スペインだったように、ヨーロッパが伝統的に強い競技だ。だが近年は中国の男女や、ブラジルの男子、ニュージーランドの女子が力を付けてきている。

2019年の世界選手権では、男子はカナディアンシングル1000mでブラジル、カナディアンペア1000mで中国が優勝。女子はカヤックシングルの200mと500mでニュージーランド、カナディアンペア500mで中国、カナディアンシングル200mでアメリカが優勝と徐々にグローバル化してきているのが現実だ。

個々の選手を見れば、ロンドン2012大会から正式種目になったカヤックシングル200mは、ロンドンのエドワード・マッキーバーに続いて、リオデジャネイロ2016大会ではリアム・ヒースが優勝と、イギリスが2大会を制している。リオ王者のヒースは、2019年の世界選手権でも優勝していて、オリンピック連覇を狙う選手だ。

またカナディアンシングル1000mでロンドン2012大会とリオデジャネイロ2016大会を連覇している、伝統の強豪国ドイツのセバスティアン・ブレンデルは、国際大会で28個の金メダルを獲得した絶対王者といえる選手。東京でもその強さを見せてくれるはずだ。

女子はカヤックシングル200mでロンドン2012大会とリオデジャネイロ2016大会を連覇しているニュージーランドのリサ・キャリントンが注目の選手だ。世界選手権でも同種目は9連覇中と強さを見せつけている。

さらに2019年世界選手権のカナディアンシングル200mを17歳で優勝したのは、アメリカの新星ネヴィン・ハリソン。東京2020大会に向けてさらなる成長が見込まれる期待の選手だ。

<日本>

日本はこれまでロサンゼルス1984大会で、男子カナディアンシングルが6位、男子カナディアンペアが8位。北京2008大会では女子カヤックペア500mで5位、カヤックフォアでは6位。ロンドン2012大会では男子カナディアンシングル7位という結果を残している。

前回のリオデジャネイロ2016大会に日本勢は出場できなかったが、東京2020大会では、2019年の世界選手権で男子カヤックフォアの松下桃太郎、藤嶋大規、水本圭治、宮田悠佑が、アジア最上位となり、出場枠を獲得し代表に内定している。

その他の種目も、2021年春に実施予定のアジア選手権での優勝による大陸枠での出場が見込まれる。

トリビア

(2020年3月24日現在)