Photo by Ryan Pierse/Getty Images
Photo by Ryan Pierse/Getty Images

回転、跳躍、着地。難易度も完成度も求められるシビアな闘い

競技紹介アニメーション「One Minute, One Sport」

体操競技のルールや見どころを1分間の手書きアニメーション動画でご紹介します。体操競技に詳しい人も、そうでない人も、まずは動画をチェック!

One Minute, One Sport 体操競技
01:28

競技概要

器械を用いて身体で演技を行い、技の難度や美しさ、安定性などを基準に審判員が判定を行い、得点を競う採点競技。男子は「ゆか・あん馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒」の6種目、女子は「跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆか」の4種目が行われ、それぞれの器具の特性を活かした演技で構成される。なお、女子のゆかは音楽に合わせて演技が行われるのが特徴だ。

体操競技の歴史は古く、オリンピックでは第1回のアテネ1896大会から実施されている。当初は男子のみだったが、アムステルダム1928大会からは女子体操競技も行われている。かつては規定演技と自由演技の総合得点で競われていたが、アトランタ1996大会を最後に規定演技は廃止され、現在は自由演技のみで競技されている。

採点方法は長年にわたって10点満点制が採用され、モントリオール1976大会において「白い妖精」と呼ばれたナディア・コマネチ(ルーマニア)が、史上初めて10点満点を出した選手として有名だ。だが選手の得点が極めてわずかな範囲に集まってしまい明確な差がつけられず、些細な誤審でメダルの色が変わる事件が起きたことを発端に10点満点廃止が議論されるようになった。そして2006年から、技がどれだけ難しいのかを得点化したDスコア(技の内容など演技価値点)と、演技の完成度を得点化したEスコア(演技の美しさや出来栄え点)の合計得点を争う上限のない採点方式となって、現在に至っている。

種目

  • 団体(男子/女子)
  • 個人総合(男子/女子)
  • 種目別ゆか(男子/女子)
  • 種目別あん馬(男子)
  • 種目別段違い平行棒(女子)
  • 種目別つり輪(男子)
  • 種目別平均台(女子)
  • 種目別跳馬(男子/女子)
  • 種目別平行棒(男子)
  • 種目別鉄棒(男子)

競技の魅力、見どころを紹介

大会ごとに進む技の高難度化 熟練の技術と精神力の強さが試される

体操競技の各種目には多くの技があり、それぞれの技や運動の難しさの程度は難度で表され、配点は難度により異なる。どの高難度の技を取り入れるか、様々な難度の技をどう組み合わせて構成し安定した演技をするかに選手の技量やメンタルの強さが試され、得点に反映される。

最大の見どころは、なんといっても体操競技ならではの非日常的なアクロバティックな技や、洗練された美しい動きだ。体操競技は動きそのものが勝敗につながるため、演技時間は短いが、気を抜ける動きは一つもない。その中で、男子はそれぞれ特徴的な動きを示す6種目において力強さと豪快さを、女子は4種目で優雅さと華やかさを楽しめる。

競技は、最初に予選が行われる。団体総合、個人総合、種目別のそれぞれの決勝進出をかけて予選で演技することになるが、各選手、各種目で行った1演技の得点によって予選を通過するかどうかが決められる(ただし、跳馬種目別の権利を得ようとする選手のみ跳馬を予選で2演技行う)。団体総合は、各国1チーム(東京2020大会では4名)で演技を行い、合計得点でメダル獲得を目指す。個人総合は、すべての種目(男子は6種目、女子は4種目)を1人の選手が演技して、合計得点を競う。種目別では、各種目の得点上位の選手が決勝で激突する。すべて予選の得点は加味されず、決勝での得点により順位が決められる。

また体操競技では、技の名前に、その技を最初に成功させた選手の名前が付くことも特徴だ。国際体操連盟(FIG)の定める国際大会で、過去に実施されたことのない新技を事前に申請したうえで発表し成功すると、その技の通称として実施した選手の名前が会議を経て技名として認定される。ロサンゼルス1984大会で森末慎二が発表した平行棒の「モリスエ」など日本人選手の名が付く技も多い。

東京2020大会に向けた展望

アメリカ・ロシア・中国・日本が中心か 選手が繰り出す完成度の高い高難度の技に注目

かつて圧倒的な強さを誇ったのは日本の男子。ローマ1960大会からモントリオール1976大会まで、団体総合5連覇を成し遂げ、個人総合でも東京1964大会からミュンヘン1972大会まで3大会連続で日本選手が金メダルを獲得している。その後はソビエト連邦・東ドイツが名を馳せたが、現在では、男子は日本・中国・ロシアなど、女子はアメリカ・ロシア・中国などが強豪国として知られている。

近年において、男子団体総合では、シドニー2000大会以降の5大会で、中国が3回、日本が2回金メダルを獲得しており、頂点を競う2強の存在が際立っている。女子ではアメリカが団体総合で連覇を果たし、個人総合でも4大会連続で金メダルを獲得している。

演技の難しさのみが上限を撤廃されている関係で、多くの高難度の技に挑戦する選手は多いが、ミスのあった選手が上位になってしまう矛盾も起こり、現在ではその完成度も非常に厳しく見られるようになった。トップを目指す選手たちは、完成度の高い高難度の技を発表するため、日夜努力をしている。

<日本>
日本の体操男子がローマ1960大会からモントリオール1976大会まで団体総合で5連覇し世界の頂点に君臨した頃は、まさに「体操ニッポン」「お家芸」と謳われた。その後、停滞した時期もあったが、アテネ2004大会の団体優勝で復活を遂げてからは高いレベルを維持し、リオデジャネイロ2016大会では金メダルに輝いた。圧倒的知名度を誇る内村航平は、全種目を確実にこなすオールラウンダーであり、3大会連続出場のオリンピックでは個人総合2連覇を含む7つのメダルを獲得している。東京2020大会でも、円熟のベテラン勢と、白井健三ら台頭する若手の活躍が期待される。
女子は、東京1964大会の団体総合で銅メダル。リオデジャネイロ2016大会では48年ぶりに入賞(4位)を果たし、近年健闘が目立つ。

トリビア

(2020年3月24日現在)