自転車競技(トラック)

傾斜のある屋内走路で己の限界に挑む! スピード感のある短距離の勝負は圧巻!

東京2020パラリンピック 22競技紹介動画

競技の見どころや、競技特有のルール・クラス分けなどがわかる動画です。観戦計画を立てる時の参考に、観戦前の予習に、ぜひご覧ください。

東京2020パラリンピック 22競技紹介:自転車競技

競技紹介アニメーション「One Minute, One Sport」

自転車競技のルールや見どころを1分間の手書きアニメーション動画でご紹介します。自転車競技に詳しい人も、そうでない人も、まずは動画をチェック!

One Minute, One Sport パラ自転車競技
01:28

競技概要

パラサイクリングと呼ばれる自転車競技がパラリンピックの正式競技に加わったのは、ニューヨーク/ストークマンデビル1984大会 から、トラック競技がアトランタ1996大会からになる。

自転車競技にはトラックとロードがあり、それぞれ複数の種目が行われる。トラックはオリンピックと同様にすり鉢状の傾斜がついた自転車専用競技場「ベロドローム」が舞台。オリンピックやパラリンピックをはじめとする大きな世界大会は1周250mのベロドロームで開かれる。屋内で走るため、風など天候の影響が少なく、トップ選手は時速60㎞を超えるスピードで駆け抜ける。

パラリンピックの自転車は、参加する選手の障がいにより、使用する自転車が異なる点が最大の特徴だ。選手自身のポテンシャルを最大限に発揮するために自転車の乗車技術、走行技術を磨く。

トラック種目は、一般的な競技用2輪自転車を使用するCクラス、2人乗りのタンデム自転車を使用するBクラスに大別され、「タイムトライアル」、「パーシュート」、「チームスプリント」が実施される。

Cクラスは、四肢の切断や欠損、または筋力低下、可動域制限、運動失調、アテトーゼなど、運動機能に障がいがある選手のクラスで、できるだけ公平に競い合えるようにするため、障がいの程度によってさらに細かくC1、C2、C3、C4、C5に分けられる。個人種目は男女別、チーム種目の「チームスプリント」は男女ミックスで競う。

Bクラスは、視覚障がいがある選手のクラスで、晴眼のパイロットとタンデムに同乗して行う。選手の見え方による細分化はなく、B1、B2、B3の選手が同一のクラスで競う。

種目

トラック

  • C1-2-3 1km タイムトライアル(男子)
  • C1-2-3 500m タイムトライアル(女子)
  • C1-5 チームスプリント(混合)
  • C4-5 1km タイムトライアル(男子)
  • C4-5 500m タイムトライアル(女子)
  • C1 パーシュート(男子)
  • C2 パーシュート(男子)
  • C3 パーシュート(男子)
  • C4 パーシュート(男子/女子)
  • C5 パーシュート(男子/女子)
  • C1-2-3 パーシュート(女子)
  • B 1km タイムトライアル(男子/女子)
  • B パーシュート(男子/女子)

競技の魅力、見どころを紹介

会場が一体になって観客も熱狂! 限界に挑む選手たちの姿に手に汗握る!

トラック種目の2種の自転車のうち、Cクラスは切断やまひなど四肢の障がいを対象とし、障がいの程度の重いほうからC1~C5の5つに区分される。使用する2輪自転車は競技用を使用するが、安全性の確保を目的に、選手の障がい特性に合わせた最小限の改造も認められている。

例えば上肢障がいの選手はハンドルの形を変えることができたり、ひざ下切断の選手は義足をペダルに固定できたりするというわけだ。

Bクラスは視覚障がいを対象とするが、他の競技のように見え方の程度に応じたクラス分けはなく、ひとつのクラスで競い合う。2人乗りのタンデム自転車は、前方にパイロットと呼ばれる晴眼の選手が乗ってハンドル操作やコース取り、レース状況に応じた判断を行い、後方に視覚障がいの選手が乗る。両者のペダルは連動しているため、ピタリとリズムを合わせて漕げば、2人の力を合わせた最大限のパフォーマンスが発揮できる。コーナーでの体重移動や息の合ったスピード緩急、ペダリングなど、2人の高いコンビネーションは必須。日ごろの練習の積み重ねが重要となる。日頃の練習の積み重ねが重要になる。

トラック種目は、残存機能をフル活用して限界ギリギリまでスピードを出す選手たちの迫力のパフォーマンスが見ものだ。己の限界に挑戦する選手たちの姿に引き込まれるように観客もヒートアップ。観客席と選手との距離感も近く、会場全体が一体となって盛り上がることができるのもトラック種目観戦の楽しみだ。

種目は3つ。

「タイムトライアル」はそれぞれが最大限のスピードで走り、計測したタイムで順位を決める。Bクラスでは時速60㎞を超える迫力を味わえ、コンマ一秒を争う激しいバトルに見るものも手に汗握ること間違いない。Bクラス男女及び男子Cクラスは1㎞、女子のCクラスは500mを走る。

「チームスプリント」は男女混合の1チーム3人で構成し、空気抵抗による減速を避けるため縦列になりながら1人が一周ずつ先頭を走る。周回ごとに1人ずつ隊列から離脱していき、3周目を走った選手のタイムで優劣を競う。公平さを保つため、性別、クラスごとに点数が決められていて3人の組み合わせは定められた上限のポイントを超えてはならない。各国のチームワークも見どころだ。

個人追い抜きとも呼ばれる「パーシュート」は、予選の計測タイム上位4組が決勝に当たる、順位決定戦に進む。予選1位と2位が金メダルを競い、同じく3位と4位の選手で銅メダルをかけて対戦する。ホームストレッチ、バックストレッチからそれぞれが同時にスタートして先にフィニッシュするか、対戦相手を追い抜いた選手が勝者となる。男子Bクラス、男子C4~C5は4㎞、それ以外の種目は3㎞で競う。

東京2020大会に向けた展望

強豪は欧米とオセアニアと中国。健常との垣根がなくなり、より一層ハイレベルな争いに

圧倒的な強さを発揮しているイギリスをはじめ、オーストラリアや中国が活躍するトラック種目。近年、オリンピックとパラリンピックチームの強化体制の統合が進んでいることで各国のトレーニング環境が整い、競技レベルも上がっている。

例えばBクラスでは、視覚障がいのある選手の競技パートナーが不可欠だが、そのパイロットを健常のトップ選手が務めることも珍しくない。

リオ2016大会ではロンドンオリンピックのケイリン種目で銅メダルを獲得したテーン・ムルダーがトリスタン・バングマ(オランダ)のパイロットを務め、見事タイムトライアルで金メダルに輝いた。

日本でも、2009年にUCIによってプロ選手のパイロット起用が解禁された後のロンドン2012大会以降、トップ級の選手が参加するようになり、ロンドン2012大会ではS級競輪選手の伊藤保文、リオ2016大会ではガールズケイリンの田中まいがパイロットとして出場し、好成績を残した。現在は、中距離のアジアチャンピオン倉林巧和が木村和平のパイロットとして活躍している。

一方、健常のレースに出場し、第一線で活躍を続ける選手もいる。

生まれつき左手先端欠損のサラ・ストーリー(イギリス、女子C5)は、トラック、ロードともに絶対的な強さを誇る。元は水泳の選手で4度のパラリンピックで5個の金メダルを獲得していて、2005年に感染症を患ったことをきっかけに自転車競技に転向。北京2008大会からトラック、ロード合わせて金メダル9個を獲得した。地元イギリスで開催されたロンドン2012大会でも4個の金メダルを手にし、大会を象徴する選手としてその名が刻まれている。

東京2020大会では果たしていくつのメダルを獲得するのか。2児の母になっても輝き続ける自転車大国のスターに注目だ。

アジア地域では中国がトラック競技で抜群の存在感を放っており、警戒すべき存在であることに変わりはない。

団体種目のチームスプリントは、リオ2016大会で世界記録を打ち立てて優勝したイギリスを中国やスペインらが引きずり下ろせるか。

<日本>

トラック種目で日本はこれまで視覚障がいの葭原滋男(B)、高次脳機能障がいの石井雅史(CP4)、両足義足の藤田征樹(C3)など複数のメダリストを輩出している。現在、日本パラサイクリング連盟(JPCF)の強化指定選手、同育成選手を中心に競技力強化が行われており、男女ともに若手の育成も進められている。ロンドン2012大会、リオ2016大会ではトラック競技の表彰台を逃しているが、東京2020大会やその先で活躍が見込まれる選手も現れつつある。

トリビア

(2020年3月24日現在)