ボッチャ

Photo by Buda Mendes/Getty Images
Photo by Buda Mendes/Getty Images

6球を投げ合い、無数の戦略を駆使する頭脳戦

東京2020パラリンピック 22競技紹介動画

競技の見どころや、競技特有のルール・クラス分けなどがわかる動画です。観戦計画を立てる時の参考に、観戦前の予習に、ぜひご覧ください。

東京2020パラリンピック 22競技紹介:ボッチャ

競技紹介アニメーション「One Minute, One Sport」

ボッチャのルールや見どころを1分間の手書きアニメーション動画でご紹介します。ボッチャに詳しい人も、そうでない人も、まずは動画をチェック!

One Minute, One Sport ボッチャ
01:23

競技概要

イタリア語で「ボール」を意味するボッチャは、脳原性疾患による四肢麻痺など、比較的重い障がいのある人のために考案されたパラリンピック特有の球技。最初にジャックボールと呼ばれる白いボールを投げ、続いて赤と青の各6個のボールを投げたり、転がしたりして、目標となるジャックボールにいかに多くのボールを近づけるかを競う。

ルールの類似性から、「地上のカーリング」とも呼ばれるが、的となるジャックボールの位置が毎回変わり、また途中で弾いたりして動かすこともできる点が特徴だ。将棋やオセロのように戦略性も高く、一発逆転もあり最後まで目が離せない。

【クラス分けと競技種目】

男女の区別はなく、障がいの内容や程度などにより4クラス(BC1~4)に分けられ、1対1の個人戦、2対2のペア戦、3対3のチーム戦がある。さまざまな障がいの選手に対応するため、クラスによってルールがアレンジされている。例えば、ボールを手で投げることが難しい選手は足で蹴ったり、競技アシスタントのサポートを受けたり、滑り台に似た勾配具(ランプ)を使って転がしたりすることなどが認められている

種目

  • 個人 BC1(混合)
  • 個人 BC2(混合)
  • 個人 BC3(混合)
  • 個人 BC4(混合)
  • チーム BC1/BC2(混合)
  • ペア BC3(混合)
  • ペア BC4(混合)

競技の魅力、見どころを紹介

緻密な戦略と正確なショットを競う球技 一発逆転の大技もあり、最後まで目が離せない

古代ギリシャの球投げを起源とし、6世紀のイタリアで競技としての原型が考案され、20世紀に入って重い障がいのある人も参加できる形に整備され、普及した。重度脳性麻痺者、もしくは同程度の四肢の重度機能障がい者を対象とし、ニューヨーク1984大会から競技となった。現在、団体戦(チーム戦、ペア戦)3種目、個人戦4種目の合計7種目が実施されている。

バドミントンコート大(12.5メートルx6メートル)の平面のコートを使い、2人(または2チーム)で対戦し、それぞれ赤か青の6個のボールを投げる、転がす、足で蹴るなど各選手ができる方法で白いジャックボールに近づけ、6個ずつの試技を終えた時点で、ジャックボールに最も近い色の選手(チーム)が勝ちとなる。さらに、ジャックボールを円の中心とし、ジャックボールに最も近い敗れた側のボールとを結んだ半径内にある勝利側の球の数1個につき1点が得点として加算される。6個ずつの試技を「1エンド」として、個人・ペアは4エンド、チームは6エンドで1試合として、エンドごとの得点の総計で勝利選手(チーム)が決まる。

ボールは選手個人が所有する「マイボール」。規定の範囲内(重量275グラムプラスマイナス12グラム、周長270ミリメートルプラスマイナス8ミリメートル、転がり具合がテストに合格)で、好みの硬さを組み合わせ、使い分けている。ただし、大会前には必ず競技備品検査が行われ、検査に適することができなかったボールは試合に使用することができない。

BC3クラスは手足に障がいがあり、ランプと呼ばれる滑り台のような勾配具を使う。ランプは選手の障がいがさまざまなので、形の規定はなく、試合状況に応じて部品を継ぎ足して高さや長さを調整することもできる。ただし、全体のサイズは1メートルx2.5メートル以内でなければならない。手でボールを押し出せない選手は頭部や口に補助具(リリーサー)を装着して投球する。

また、BC1クラス、BC3クラス、脚蹴りで競技をするBC4クラスの選手については1人につき1人のアシスタントが競技をサポートできるが、その役割はクラスごとに規定がある。たとえば、BC3クラスでは、選手の指示を受けてランプの高さや位置、コースを調整したり、ボールを丸めたり、選手がプッシュする位置にボールを置くなどの役割を担うが、競技中、コートを見ることは禁止されている。

ボッチャの戦略は無数ともいえ、新たな戦法も日々生まれている。球種は大きく分けて、目標に近づける「アプローチ」、他の球に当てて飛ばす「ヒット」、他のボールを押して近づける「プッシュ」の3種類。アプローチでは1得点だが、ヒットは相手のボールを弾くので逆転にもつながり、プッシュは当てながら自身のボールを残すので2得点も可能。力の加減がポイントになる。はじめに最終的な得点方法をイメージし、1投球ごとに積み上げていく。障がいによっては3種類の投げ分けが難しい選手もいるが、それぞれが得意球を磨き、勝利を目指す。

ミスショットだと思ったら、実は戦略上の重要な一手である可能性もあり、最後までストーリーが読めない展開が見どころだ。選手のイメージを想像し、次の攻め手を予想しながら観戦すると面白さが増し、双方の戦略を探り合う楽しさもある。

東京2020大会に向けた展望

ヨーロッパからアジアへと変化する勢力図。王者タイの連覇なるか?

パラリンピックへの出場は世界各地で開かれる国際ボッチャ競技連盟(BISFed)公認のオープン大会でランキングポイントを重ねたり、パラリンピック前年の各地域別選手権で優勝することなどが主な条件となっている。

以前はヨーロッパ諸国が強かったが、近年はアジア勢が力をつけている。現在の最強国はタイで、リオデジャネイロ2016大会では7種目中、金メダル2個を含む全5個のメダルを獲得した。他に、香港や韓国からも金メダリストが生まれている。

注目選手の1人は、ワッチャラポン・ボンサ(タイ)だ。1990年、脳原性まひで生まれたボンサは13歳でボッチャをはじめる。ロンドン2012大会でチームBC1/BC2のメンバーとして初の金メダルを手にする。14年世界選手権もチーム戦で金メダルに輝き、リオデジャネイロ2016大会ではチーム戦2連覇を果たす。さらに、個人戦でもチームメイトを下し、初めて頂点に立った。強豪国タイのエースとして、東京2020大会での連覇に期待がかかる。

<日本>
日本は北京2008大会でパラリンピックに初出場して以来、3度目となるリオデジャネイロ2016大会で、チームBC1/BC2で初めて銀メダルをつかんだ。決勝戦では強豪タイに4-9と食い下がる健闘を見せた。冷静で正確なショットが持ち味の杉村英孝と、みなぎる闘志とパワーが魅力の廣瀬隆喜を軸に、若手選手たちも着実に成長し、世界での存在感も増している。母国で迎える東京2020大会で、「火ノ玉JAPAN」旋風の期待が高まる。

トリビア

(2020年3月24日現在)