競技

障がいに応じた自転車で駆使する駆け引きが醍醐味。風雨の影響やコース状況を読み、長距離のコースを走破する!

東京2020パラリンピック 22競技紹介動画

競技の見どころや、競技特有のルール・クラス分けなどがわかる動画です。観戦計画を立てる時の参考に、観戦前の予習に、ぜひご覧ください。

東京2020パラリンピック 22競技紹介:自転車競技

競技紹介アニメーション「One Minute, One Sport」

自転車競技のルールや見どころを1分間の手書きアニメーション動画でご紹介します。自転車競技に詳しい人も、そうでない人も、まずは動画をチェック!

One Minute, One Sport パラ自転車競技
01:28

競技概要

オリンピックでは第1回のアテネ大会から正式競技として実施されている自転車競技だが、パラリンピックで採用されたのはニューヨーク/ストークマンデビル1984大会から。以来継続して実施されている。

パラリンピックの自転車は、屋外の道を走る「ロード」と屋内の自転車専用走路を使用する「トラック」に大別される。

屋外でレースを行うロードは、風や雨、暑さなど刻々と変化する自然の中で行われる。屋外の長距離コースで競われるため、スタミナを考慮したペース配分、ポジションの確保、ライバルを牽制して仕掛けるポイントなども勝敗を分けるカギとなる。

ロードでは「ロードレース」、「タイムトライアル」、「チームリレー」の3種目があり、選手は障がいの種類や程度、そして使用する自転車により4つのクラスに分かれてメダルを競う。

メダル数が多いのはロードで総計34個の金メダルを争うことになる。

クラス分けや使用する機材の違いはあるが、UCI(国際自転車連合)の規則に沿ってオリンピックとほぼ同じルールで行われている。

種目

  • H2 ロードレース(男子)
  • H3 ロードレース(男子)
  • H4 ロードレース(男子)
  • H5 ロードレース(男子/女子)
  • H2-3-4 ロードレース(女子)
  • C1-2-3 ロードレース(男子/女子)
  • C4-5 ロードレース(男子/女子)
  • B ロードレース(男子/女子)
  • T1-2 ロードレース(男子/女子)
  • H1 タイムトライアル(男子)
  • H2 タイムトライアル(男子)
  • H3 タイムトライアル(男子)
  • H4 タイムトライアル(男子)
  • H5 タイムトライアル(男子)
  • H1-2-3 タイムトライアル(女子)
  • H4-5 タイムトライアル(女子)
  • C1 タイムトライアル(男子)
  • C2 タイムトライアル(男子)
  • C3 タイムトライアル(男子)
  • C4 タイムトライアル(男子/女子)
  • C5 タイムトライアル(男子/女子)
  • C1-2-3 タイムトライアル(女子)
  • B タイムトライアル(男子/女子)
  • T1-2 タイムトライアル(男子/女子)
  • H2-5 チームリレー (混合)
Photo by Atsushi Tomura/Getty Images for Tokyo 2020
Photo by Atsushi Tomura/Getty Images for Tokyo 2020
2016 Getty Images

競技の魅力、見どころを紹介

舞台は起伏のある屋外のコース。相手との駆け引き、ポジション争いの末、コンマ一秒の争いを制するのは?

ロードでは、自転車ごとに異なるバイクコントロールテクニックを駆使し、選手によって得意不得意が明確に分かれるため大きな勝負所となる上り、繊細なスピードコントロールとコーナーワークが必要とされる下りといったコースの特徴をどう攻略できるかがポイントになる。

トラックにはなく、ロードのみ実施されるクラスもある。

Tクラスは、重度のまひなどで、ペダルを漕ぐ脚力はあるものの、一般的な2輪の競技用自転車には乗ることが難しい選手を対象とし、障がいの程度によってT1~T2のクラスに分類される。このクラスの選手は体幹の機能強度低下、平衡感覚の欠如、筋緊張、運動失調、アテトーゼなどによりバランスを取ることが難しいため、安定性の高い3輪自転車「トライシクル」を使用する。運動機能に制限がある中、ペダルに力を伝えるテクニックはもちろんのこと、車幅のあるトライシクルで失速せずにコーナーを曲がる技術の習得も欠かせない。

もうひとつのHクラスは、切断や脊髄損傷によるまひなどでおもに下肢に重度の障がいのある選手を対象とする。障がいの程度の重いほうからH1~H5の5つに細分され、手で漕ぐタイプのハンドサイクルを使う。一般的にH1~H4の選手は仰向けの状態で自転車に乗り、腹筋や背筋の筋力が安定しているH5の選手は上体を起こし前かがみに乗り込む。

トラック同様に、2輪自転車を使用するCクラス(切断、まひなどの四肢障がい)と、視覚障がいの選手が後方に乗る2人乗りタンデム自転車のBクラスも実施される。

一斉スタートで順位を競う「ロードレース」種目は男女別に行われ、クラスそれぞれに設定された長い距離を走る。先頭の選手が空気抵抗を受けるため、できるだけ他の選手の後ろで体力を温存しながらレース中に駆け引きを行い、勝負所で一気に仕掛ける。ラストの直線で激しく競り合った末、わずかな差で勝者が決まることもある。

「タイムトライアル」は1周8㎞のコースを男女やクラスごとに定められた周回を走り、個々の完走タイムで順位を決める。選手は時間差で一人ずつスタートし、全員がゴールした後に順位が決まるため、自らを追い込む強いメンタルと独走力も必要だ。

基本的には先着もしくは計測タイムが最も早い選手が勝ちだが、パラリンピックでは複数のクラスを統合して競技を行うことがあり、その場合、実際に計測したタイムにクラス間の障がいの程度を補正した係数をかけた「計算タイム」で順位を算出する。

「チームリレー」は1チーム男女混合の3名で編成され、一周2.7㎞のコースを各3周計9周して勝負する。実施されるのはHクラスで次の走者へリレーする際はタッチではなく、前の走者がラインを通過したら次の走者はスタートできる。

東京2020大会に向けた展望

プロ、二刀流…個性豊かな選手たち。圧倒的な存在感を放つスター選手のパフォーマンスに注目!

勢力図は自転車文化の盛んな欧米が上位を占め、とくにドイツ、オーストラリア、アメリカが強豪だ。

Cクラスでは、上記の他にもスペイン、ベルギー、イギリスなど欧州列強がひしめく。

アジア地域では、トラックで強さを誇る中国がロードでも力を上げており、東京2020大会での活躍が期待される。日本の杉浦佳子も地元開催の東京2020大会での金メダル実現には前を行く中国選手を破らなければならない。

Tクラスは、男子は中国、ドイツ、アメリカの選手が金メダル候補で、女子はニュージーランドやオーストラリアのオセアニア勢が有力。

Bクラスは、オランダ、ニュージーランド、アイルランドが東京2020大会の金メダルを狙う。

Hクラスのチームリレーでは、イタリアが強さを誇っているが、アメリカ、ドイツなど頂点をにらむ各チームの動向からも目が離せない。

プロとして活動するスター選手もいる。元F1ドライバーのアレックス・ザナルディ(イタリア、男子H5)はレース中の大事故で両脚を切断した後に自転車競技を始め、パラリンピックではロンドン2012大会で金メダル2個を含む3個のメダルを獲得。リオ2016大会でも同様に3つのメダルを手にしており、東京2020大会でもスポットライトを浴びる存在になることは間違いない。

Hクラスの選手は競技の掛け持ちも珍しくない。下肢欠損のオクサナ・マスターズ(アメリカ、女子H5)は、平昌冬季大会のクロスカントリースキー金メダリストだ。夏季大会はまずボートでロンドン2012大会に出場して銅メダル獲得後、自転車に転向。リオ2016大会はロードレース4位、タイムトライアル5位で東京2020大会ではさらなる飛躍が期待される。

メダルを量産してきた欧米のベテランが牙城を守るのか。それとも、列強を脅かす新勢力が現れるのか。楽しみは尽きない。

<日本>

自転車の盛んな強豪国の実力者に割って入り、メダリストを生んできた日本チーム。リオ2016大会で活躍した日本選手のうち、タイムトライアルで銀メダルを獲得した鹿沼由理恵(B)は競技を離れたが、リオ2016大会タイムトライアル銀メダリストの藤田征樹(C3)は第一線で活躍中。東京2020大会ではトラックも含め4大会連続メダルの偉業を果たせるか。さらに2018年に最も活躍したパラサイクリング選手としてUCI(国際自転車競技連合)から表彰された杉浦佳子(C3)は表彰台の常連で東京2020大会でメダルを獲る可能性が高い。

トリビア

(2020年3月24日現在)