東京2020公式アートポスターインタビュー GOO CHOKI PAR 困難を乗り越える人の姿は美しく、カッコいい

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アートポスターは、近年のオリンピック・パラリンピックにおいて欠かすことのできない存在になっています。東京2020大会でも、国際的に活躍するアーティストやデザイナーに文化的・芸術的レガシーとなる独創的なポスターを制作していただきました。石井伶さん、飯高健人さん、浅葉球さんの3人で活動するデザインユニットGOO CHOKI PARは、メインモチーフを「前に進む人」とし、躍動する人の姿を描きました。GOO CHOKI PARの3人が作品に込めた思い、伝えたいメッセージとは。

作品のコンセプト

ポスターでは前に進む人の姿を描かれました。そこに込めた思いは?

飯高健人さん(以下、飯高)
人間が前を向くポジティブな姿勢や気持ちを描きたいと思い、そのシンボルとして前へと進む人の姿をメインに据えました。障がいや国籍、性別と様々な違いがある中、それを受け入れ、困難を乗り越えていこうとする人の姿は美しく、カッコいい。その姿を表現しました。

制作にあたって、みなさんはパラリンピック競技を実際にご覧になったと聞いています。

浅葉球さん(以下、浅葉)
パラ卓球を観に行きました。車いすの選手が機敏に回っていて、そのチェアワークに驚きました。健常者の卓球とは腕の使い方とかも全く違っていて、とても印象的でしたね。

飯高
パラ陸上の大会を観戦した時、家族や仲間が応援に来ている光景を見て、選手は一人で戦っているわけではないんだなと気づかされました。そこにいる人々のドラマや人生を想像すると、すごく感動する瞬間でしたね。スポーツ観戦自体が久しぶりだったのですが、緊張感や高揚感、何より迫力に心を動かされました。

石井伶さん(以下、石井)
実際に競技を見て、スポーツの持つポジティブな力をポスターでも表現できればと思いました。大会の主役である選手を自分たちのポスターで華やかに彩りたいと、制作への気合いが入りましたね。

どのような過程を経て作品は完成しましたか。

飯高
コンセプトは早い段階で決まり、まずはメインの「前に進む人」の形をつくるところからスタートしました。合宿のように案を持ち寄り、何十と様々な形を検証しながら、少しずつ形を変え、微調整をしつつ、最終的にみんなで「躍動的ですごくいいね」と一致したのが、今の形です。

浅葉
通常の制作でもそうなのですが、ベースの形は全員でつくって、大枠が決まったら、3人で順番に手を加えていきます。今回のポスターはバージョン30くらいまでいきましたね。3カ月くらいかけて制作しました。

石井
みんなで手を加えながら、日本的なカラーリングや、余白によって生まれる美しさにもこだわりました。今までで一番いい作品ができたと思っています。

制作のこだわり

デザインユニットということで、普段はどんな流れで作品づくりをされていますか。

飯高
僕らは3人の力をミックスさせ、一つの作品に昇華させていくやり方をしています。例えば、絵画なら一人が一つの絵を仕上げていくと思うのですが、僕らは3人で一つの絵を塗り重ねていくようなイメージです。言わば、GOO CHOKI PARという一つの人格が育っていくような感じですかね。

そこで大切にされているキーワードは?

浅葉
自分たちは美術家ではなく、グラフィックデザイナーなので、「伝える」ことを大切にしています。今回のポスターは、東京2020パラリンピックとステークホルダーを繋ぐ役割があるので、大会名やエンブレム、22の競技名を要素として入れています。

石井
まだ世の中に出ていない表現をしたいと思っています。グラフィックデザイン界には、シンプルなものが多い中、少しでも新しい表現を3人で作りだしていきたいですね。

飯高
時代に合わせないぞ、という気持ちはありますね。今のグラフィックはデジタルが主流ですが、自分たちはデジタルとアナログの垣根をそんなに意識していないんです。デジタルな表現も、しっかり手を加えていけばすごくフィジカルな存在になると考えています。今回も素材を実際に描き、スキャンしてパーツとして取り入れたり、CGのパーツを組み合わせたりしていますが、表現手法の境界がないのが自分たちの強みかもしれません。

今回のポスターで取り入れた新しい表現はありますか。

浅葉
エアブラシを初めて使いましたね。吹き付けることによって、独特の質感が出るのですが、スポーツの持つスピード感や瞬発感を表現するのに、マッチしたなと思っています。

スポーツへの思い

みなさんが好きなスポーツや、大会で楽しみにされていることをそれぞれ教えてください。

浅葉
スケートボードを中学1年生から専門学校を卒業するくらいまでの約10年やっており、オリンピック競技になればいいのにと思っていたので、とても楽しみです。また私の名前の由来でもある卓球にも興味があります。

飯高
最近、浅葉のお父さんが主宰する社会人チームで卓球をしました。久しぶりに汗を流す機会となり、すごくおもしろく、楽しかったのもあって今、卓球にハマっています。また4歳の娘と室内用のミニ卓球もしていますね。娘は卓球の試合を見たことはありませんが、東京2020オリンピックを見たときにどう感動するのかな、とワクワクしています。

石井
僕は小学校から高校を卒業するまでやっていた、サッカーが楽しみですね。また東京2020大会では、やはりパラリンピックに注目したいです。開会式を見てテンションを上げ、いろいろな競技を観戦できたらいいなと思っています。

全てのパラリンピック競技のポスターも独自に作られたそうですね。

飯高
競技それぞれの特徴もそれぞれ魅力的であり、それも描きたいなという気持ちが強くなった結果です。パラリンピアンたちが前を向き、未来に向かってポジティブに進む姿を感じてほしいです。

東京2020公式アートポスターインタビュー GOO CHOKI PAR

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