史上最強のメダルコレクター、ダニエル・ディアス「パラリンピックは二つとない素晴らしい舞台」

パラリンピックで24個のメダルを獲得しているパラ水泳のダニエル・ディアス。4度目の東京でも金メダルを狙う
パラリンピックで24個のメダルを獲得しているパラ水泳のダニエル・ディアス。4度目の東京でも金メダルを狙う

2020年10月28日(水)で、東京2020パラリンピックまで300日となった。世界中のアスリートと同様に、パラリンピックで金メダル14個を獲得している水泳界のスーパースター、ダニエル・ディアス(ブラジル)も4度目の大舞台となる東京2020大会を目指し、日々トレーニングを続けている。ディアスに、トップであり続けるための原動力や大会への思いなどを聞いた。

障がいのない子からお手本と言われて

ディアスは、驚異のスイマーだ。地元で行われた前回のリオデジャネイロ2016を含む3大会で、男子パラ水泳史上最多となる24個のメダルを獲得。パラリンピック以外でも、パラパンアメリカン競技大会で33個のタイトル、世界選手権で40個のメダルを手にしている。全部並べたら、とてつもない数だ。

ディアスはまた、トップアスリートであると同時に、夫であり父であり、そして向上心あふれるアスリートたちのロールモデルでもある。そんな彼は、目指す東京2020パラリンピックでどんなレガシーを残したいのか。

「リオでのことですが、ある障がいのない子どもが、僕を大きな目標にしていると言ってくれたんです。それを聞いてとても感激しました。どこにも障害のない子が自分のことを目標、お手本にしている。スポーツをしていたから経験できたことです。その子は障がいではなく本質、つまり僕のできることで僕自身を評価してくれた。これこそがレガシーだと思います」

地元のリオ2016大会、100m自由形S5で金メダルを獲得。表彰式でパーソンズIPC会長と
地元のリオ2016大会、100m自由形S5で金メダルを獲得。表彰式でパーソンズIPC会長と

万全のコンディションで4度目のパラリンピックに

アテネ2004大会に出場した「パラリンピックのサメ」の異名を持つ母国の英雄、クロドアルド・シルバさんに触発されて水泳を始め、20歳のときに北京2008大会でパラリンピック初出場を果たした。

北京では初戦から快進撃を続け、男子100m自由形S5で初めてのパラリンピックメダル、しかも金メダルを獲得すると、たちまち注目の的になった。最終的には4個の金メダルを含む9個のメダルに輝き、北京2008大会で最多のメダルを獲得した選手として中国を後にした。

ディアスの活躍は留まることを知らず、ロンドン2012大会では金メダル6個、4つの世界記録樹立という偉業を達成し、母国開催のリオ2016大会では4個の金メダルを含む9個のメダルを手にした。

約12年もの間、ハイレベルの戦いを繰り広げてきたアスリートが今もなおベストを求め努力し続けられる理由は? 駆り立てるものは何なのか。ディアスの答えはシンプルだ。

「常に進化し続ける。さらなる高みへと到達できること、もっといい記録が出せることを証明してみせたいというのがモチベーションになっています」と32歳のアスリートは言う。

「本当に東京が待ち遠しい。パラリンピックに参加するのが楽しみ」と語るディアス
「本当に東京が待ち遠しい。パラリンピックに参加するのが楽しみ」と語るディアス

本来なら2020年9月6日、東京2020パラリンピックの閉会式が行われ、次のパリ2024大会へ向けた新たな4年間が始まるはずだった。しかし大会延期を受け、世界中のアスリートたちはさらに1年、トレーニングに集中することを余儀なくされている。

そんな中、ブラジルでも新型コロナウイルス感染症が蔓延。世界で最も深刻な被害を受けた国の1つとなり、多くの国と同様、感染拡大防止のため国中のトレーニング施設は3月半ばに閉鎖された。その中にはサンパウロにある障がい者スポーツ専用のナショナルトレーニングセンターも含まれていた。

ディアスにとって最も大変だったのはプールでのトレーニングができないことだった。

「まるで陸に上がった魚のような気がしました。ほかのトレーニングは続けていましたが、水泳選手にとって肝心なトレーニングはできませんでした」

しかし今はプールに戻り、東京2020大会のために準備を重ねている。

S5、SB4、SM5クラスで出場意向というディアスは、「今回が4大会目のパラリンピックですが、特別な思いでいます。世界中が困難に見舞われていますが、今大会はこの困難を乗り越えた証しになるはずです」と話した。

東京2020大会への意欲

東京2020大会へのカウントダウンが始まり、パラアスリートたちは、開会式が行われるオリンピックスタジアムに足を踏み入れるそのときを心待ちにしている。

6つの世界記録保持者であるディアスは、厳しいトレーニングを重ね、東京アクアティクスセンターのプールで最高の泳ぎをし、4年前のリオに続いて東京でも好成績を取りたいと意気込んでいる。

「僕にとってパラリンピックは二つとない素晴らしい舞台。出場できるのが信じられないくらいです」とディアスは言う。

「アスリートとしては多少冷静なくらいの方がいいのでしょうが、本当に東京が待ち遠しいんです。これまでに出場したパラリンピックのときも同じ気持ちでしたし、今回もそれは変わりません。パラリンピックに参加するのを楽しみにしています」

ディアスは、同じように東京2020大会を目指すパラアスリートたちへこうメッセージを送る。

「集中して練習に励みましょう。大会はもう目の前です。ベストを尽くしましょう。いつも笑顔を絶やさずに」

東京2020パラリンピックは2021年8月24日(火)から9月5日(日)まで開催される。