デッドヒートに圧勝劇 パラリンピックの陸上100mをプレーバック!

ロンドン2012パラリンピックの男子100m T37 決勝、ファニー・ファン・デル・メルヴァ(南アフリカ)とその左を走る梁永斌ら
ロンドン2012パラリンピックの男子100m T37 決勝、ファニー・ファン・デル・メルヴァ(南アフリカ)とその左を走る梁永斌ら

わずか10秒余りの勝負。パラリンピックの陸上競技100mでは、世界チャンピオンを決める熱い戦いが展開されてきた。ロンドン2012、リオデジャネイロ2016の2大会の決勝から、まばたきする間もないくらいの珠玉の決勝レースを振り返ってみよう。

デッドヒートに圧勝劇 パラリンピックの陸上100mをプレーバック!
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ロンドン2012大会 女子 T35

中国の劉萍は、2011年にニュージーランドで行われた世界選手権のチャンピオン。また2005年8月には世界記録となる15秒64を出していた。ロンドンでライバルと目されたのは、17歳の新鋭のオクサナ・コルソ(イタリア)だった。コルソは直前に行われたヨーロッパ選手権で、同クラスの100mと200mを制していた。

レースは3レーンを走る劉が好スタートを見せ、みるみるリードを広げていく。コルソも必死に食い下がるが、その差は歴然だった。結果は劉がコルソを半秒突き放す15秒44で優勝。同時に自身の持つ世界記録も更新する圧勝劇で、200mとの2冠に輝いた。

ロンドン2012大会 男子 T37

最後まで分からない競り合いだった。南アフリカのファニー・ファン・デル・メルヴァは、北京2008大会の金メダリストで2連覇を狙った。そんな前回王者に立ち向かったのが、2010年に国際大会デビューの梁永斌(中国)だ。

4レーンにファン・デル・メルヴァ、5レーンに梁。隣り合った2人は、スタートからお互いに譲らないデッドヒートを繰り広げる。ゴール手前で一瞬、ファン・デル・メルヴァが遅れるが、フィニッシュラインでは体を前に押し出して倒れようにゴールした。タイムはともに11秒51。しかし写真判定の結果、わずかな差で軍配はファン・デル・メルヴァに上がり、王者が意地を見せた。

リオ2016大会 女子 T36

パラリンピック2大会連続出場となったヤニナ・マルティネス(アルゼンチン)。ロンドン2012大会ではメダルにあと一歩届かない4位に終わった。そこからの4年間、ヤニナは着実に力をつけた。自身3度目の出場となった2015年の世界選手権で自己最高となる銀メダルを獲得し、パラパンアメリカン競技大会では金メダルをつかんだ。

迎えたリオ2016大会の決勝は、中盤まで横一線の混戦状態。そこから抜け出したのがヤニナだった。フィニッシュ手前でライバルたちを突き放し、最後は両手を挙げてゴールした。アルゼンチンに初のパラリンピック金メダルをもたらすと、表彰台で笑顔を弾かせた。

ロンドン2012大会 男子 T13

他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せたのは、アイルランドのジェイソン・スミスだった。スミスは北京2008大会の100mを10秒62の世界新で制覇。2011年には健常者の世界選手権への出場も果たし、決勝進出とはならなかったものの、確かな足跡を残した。

そんなスミスはロンドン2012大会の予選で、いきなり自身の世界記録を塗り替える10秒54をたたき出す。決勝ではスタート直後から飛び出し、一気に100mを駆け抜けた。終わってみれば2位と半秒以上の差をつける10秒46で、再び世界新をマークし2連覇を達成した。

リオ2016大会 男子 T38

ニューヒーローの誕生である。リオでは、北京2008大会とロンドン2012大会を連覇していたエバン・オハンロン(オーストラリア)の3連覇が有力視されていた。オハンロンはロンドンで世界記録10秒79をマークし、それ以降は破られていなかった。

そこに待ったをかけたのが、中国の胡鑑文だった。2015年の世界選手権チャンピオンである胡はスタートから飛び出した。オハンロンも必死に食らいつくが、なかなか差は詰まず、胡が逃げ切った。胡は10秒74の世界新記録を樹立し、初めてのパラリンピックでの金メダル。リオ2016大会で金メダル107個と力を見せつけた中国選手団の一員として存在感を示した。