日本男子バスケ界にとって大きなきっかけになる。篠山竜青選手×辻直人選手

東京2020オリンピックで行われる「バスケットボール競技」。
男子日本代表がオリンピックに参加するのは、モントリオール1976オリンピック以来となります。
大会に向けて同じチームで汗を流す、日本代表の司令塔・篠山竜青選手、2013年から日本代表としてプレーする辻直人選手に、日本男子バスケットボール界の今、そして大舞台にかける思いを伺いました。記事と動画でたっぷりとお届けします!

前編「初めて会ったのは高校生。辻選手だけしか知らない日本代表での篠山選手」
後編「2人にとってオリンピックとは?東京2020大会で叶えたいこと」
*動画は前編・後編の2本となります。

前編 「初めて会ったのは高校生。辻選手だけしか知らない日本代表での篠山選手」
06:42

競技のできない時間が、改めて「バスケットボールが大好き」だと思わせてくれた。

篠山竜青選手(以下、篠山)
昨シーズン、すごく手ごたえのあるシーズンだったんですけど、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でリーグが途中で中止になってしまいました。シーズンは続けられないだろうな、夏のオリンピックも厳しいだろうなというのは、ある程度覚悟していました。

辻直人選手(以下、辻)
(東京2020大会が)延期となって「あーやっぱり今年はないのか」という感じでした。僕の場合は大きなケガをしていたので、1年延期になり、もう1回やり直せる期間ができたので個人としては、プラスに捉えることができました。

篠山
練習を再開したときにはホッとしましたし、ここまでバスケから離れることは今までなかったので、新鮮な気持ちで向き合えました。


本当、初心に戻ったというか、バスケができてすごく楽しいと心から思えたのは何年振りだろうかと……。そう考えたら、自粛期間でバスケから離れましたけど、なんだかんだバスケのために出来ることをやっていましたし、改めて「自分はバスケが好きなんだ」と再確認できたいい期間だったのかなと思います。

2016年に日本代表に初招集された篠山竜青選手(左)
2016年に日本代表に初招集された篠山竜青選手(左)
Tokyo 2020

コートでは見せないお互いを知り尽くしているからこそ、日本代表でも2人の連携プレーが生まれている。

篠山
初めて会ったのは高校生。1年間に何回も練習試合をしていたので、マッチアップするような関係でした。でもそんなに印象がなかったです。


第一印象は「はっやー」と思っていました。ただ、ドリブル左だけやなーと。左はめっちゃ速いです(笑)。

篠山
今もあんまり変わってないけど……。同じチームになってからは楽しいし、自分がポイントガードで辻がシューティングガードでリズムが合って、いてほしいところにいるのは最初から感じていました。


チームに入ってきたときから一番頼りになって、全てを受け止めてくれる人です。プレー面でも代表を経験されて、より一層頼れるようになりました(笑)。

篠山
でも日本代表に行くと僕が人見知りなので、同じ部屋にしてもらっています。こう見えても、新しいコミュニティーに入っていくのが苦手なので、初めて(代表に)呼ばれたときは苦しかったです。代表のムードメーカーである辻の後ろにずっとくっついて、辻がお風呂に行かないと僕も行けず、食堂にもどんなにお腹が空いていても一緒じゃないと行きませんでした。


僕が「めし行きます?」って言ったら、もう準備していて。「めちゃ腹減ってたやん」って感じです(笑)。

篠山
さすがに今は緊張せずに行けるようになりましたよ。最初は前日の夜ぐらいからお腹痛くなっていましたけどね。意外と人見知りです(笑)。

後編 「2人にとってオリンピックとは?東京2020大会で叶えたいこと」
06:30

オリンピックは「別物」。出るというよりも見て楽しむものだった。

篠山
(オリンピックは)バスケを見るより、日本人の活躍や普段見ないスポーツを見るというのが正直なところです。どんな4年間が積み重なっての活躍なのか、世界が盛り上がるので「スポーツの祭典というのはこういうものだな」「スポーツっていいな」と見ていました。


バスケよりは、競泳や陸上を自分自身すごく力みながら見ていました。競泳はゴール手前で、息継ぎしないでラストスパートするじゃないですか。自分も息止めて見ていました(笑)。

篠山
今までだと男子日本代表がバスケでオリンピックに出ることは縁のない話でしたね。それぐらい、僕たちが学生の頃には世界からも遠ざかっていましたし、自分が日本代表になりたいという漠然とした夢はありましたけど、代表としてオリンピックに出るということは想像できなかったですね。


その前の段階、アジアで勝てるかどうかという話でした。オリンピックを目指すというのはなかったです。

篠山
(東京2020大会は)一昨年くらいから意識しましたかね? ワールドカップ予選で、ワールドカップに出場さえすれば、オリンピック出場枠がもらえるという話が出てきた時からです。予選は「なにがなんでも突破しなくちゃいけない」と、やっと自分の視界にオリンピックが入ってきた感じです。


正直、予選で最初に負けがついた時にもオリンピックのことを最初に考えましたし、やっぱり日本のバスケットボール界の将来を考えた時に、オリンピックに出るか出ないかで変わる。その責任は僕たちにあると、すごく意識しました。そこに、八村塁選手が代表として新たに加わって予選突破できた時に、オリンピックというものをより一層みんなが意識したと思います。

篠山
1回見てもらった人にはわかると思うんですけど、やっぱり見ていても絶対楽しいスポーツです。オリンピックというスポーツの祭典で、日本にもバスケがあることを知って欲しいのが一番ですね。バスケを知らない人に何か心に残るようなシーンや、魅力を伝えられる大会にできれば、バスケの未来につながっていくと思います。


勝つことや金メダルには、まだまだ日本のバスケは達していないですが、日本が競技力を認められて出場枠を勝ち取ったことや、これだけ世界の舞台でも戦えているという姿を見て欲しいです。初めて日本のバスケ見る方にも、「こんなに楽しいスポーツなんだ」ということを知ってもらいたいです。

2013年から日本代表として世界と戦う辻直人選手
2013年から日本代表として世界と戦う辻直人選手

東京2020オリンピックで堂々と世界の強豪と戦うため。あと1年、ここから日々積み重ねていく。

篠山
ワールドカップを経験して「世界で戦うためには足りないところはたくさんあるな」と気づきました。もっともっと自信を持って、気持ちだけでもオリンピックの舞台で堂々と世界の強豪と戦えるように、日々積み重ねていかないといけないと思います。その結果、余裕を持って東京2020大会に臨めるようになると思うので、メンタル面を強くして、大会まで向かっていきたいと思います。


ワールドカップはけがで経験できなかったんですけど、外から「この選手はここで圧倒されているな」とか違う目線で見ることが出来ました。実際に選手は色々な重圧がかかっていますが、自分はフレッシュに恐れ知らずの気持ちで、チームをプラスに持っていけるのではないかと思います。そこをアピールしながら、日本のために東京2020大会では出来ることを思いっきりやりたいなと思います。