テニス
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Before they were stars: 16歳のラファエル・ナダル、輝きを放ち始めた原石
世界に名を轟かせるアスリートにも、「スター」になる前の時代がある。飛躍の時に備えて、その逸材たちは、どのような日常を送っていたのか。偉大なるスターの若かりし頃を垣間見る。
16歳のラファエル・ナダル
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全仏を12回制した「クレーキング」
「僕の野望? できる限り高くまで行くことかな」
キャリアをスタートした時こう語っていたナダルは、現在、地球上で最も成功を収めているテニス選手の1人だ。全くの無名選手から英雄へと成長し、34歳の今、テニス史上最高の選手の1人とみなされるまでになった。
特にクレーコートでめっぽう強い。その圧倒的な戦績から「クレーキング」「赤土の帝王」という異名を持つ 。
ナダルのテニス人生における輝かしい実績の1つは、そのクレーコートで行われる4大大会の1つ、 ローラン・ギャロス(全仏オープン)の12回の優勝だろう。この偉業によりナダルは全仏オープン史上最強の男子テニス選手となった。
4大大会(グランドスラム)は19回優勝。1位に君臨する友人でライバルのロジャー・フェデラーの記録にわずか1回劣っているだけだ。
そればかりではない。ナダルはオリンピックの金メダルを2つ手にしている。北京2008大会のシングルスと、マルク・ロペスと組んだリオデジャネイロ2016大会の男子ダブルスだ。リオでは開会式でスペイン選手団の旗手も務めた。
「いつかナダルはほぼ無敵の存在になるだろう」
元テニス選手で、現在ナダルのコーチを 務めるカルロス・モヤ氏はかつて、当時16歳で世界ランキング112位だったナダルについてこう言った。目の前にいる少年が輝きを放ち始めた未来のスターであることに、モヤ氏はすでに気づいていたのだ。
4大大会を19回制したナダル。東京2020オリンピックでも金メダルの有力候補
刺激を受けた2人の叔父
1986年にスペインのマナコルで生まれたナダルは、幼いころからテニスとサッカーに夢中だった 。
ナダルの成長には2人の叔父が大きな影響を与えた。1人は最初のコーチであるトニ・ナダル氏。もう1人はプロサッカー選手でラ・リーガのRCDマヨルカとFCバルセロナでプレーしたミゲル・アンヘル・ナダル氏だ。ミゲル氏はバルセロナではラ・リーガ優勝5回、スペイン代表としてFIFAワールドカップ出場3回を含め、62キャップを記録している。
若きナダルは2人の叔父から大きな刺激を受けたが、やがてトニ氏の歩んだ道をたどることになる。
しかしサッカーに対する情熱も消えることはなかった。今もナダルはレアル・マドリードの熱烈なサポーターだ。全仏オープンで初めてタイトルを手にした時、ナダルに優勝トロフィーを手渡したのはレアルのレジェンド、ジネディーヌ・ジダン氏だった。不思議な縁を感じる。
ナダルの今
これまで幾度となくけがをし、その時々でキャリアに影を落としてきたが、ナダルは今なお世界2位につけている(2020年6月現在)。大会に出れば常に優勝候補の1人で、東京2020オリンピックでも金メダルの有力候補だ。
将来何が起ころうとも、ナダルのテニスに対する愛情が失われることはない。故郷マナコルにラファ・ナダルアカデミーを設立し、若者に一生に一度とも言えるようなチャンスを提供している。そこでは、数々の栄光でコートを彩ってきた最も偉大なテニス選手が見守る中でテニスができるのだ。