柳田将洋「若い世代の未来のために、経験を伝えたい」 私がSNSで発信する理由

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新型コロナウイルス感染症拡大防止のための自粛やステイホームで思うような活動ができないながらも、東京2020大会への歩みを止めることなくトレーニングを続け、SNSで思いを発信しているアスリートがいる。彼らは今、どんな思いで過ごしているのか、なぜ発信し続けているのか。

北京2008以来のオリンピック出場となる東京2020オリンピックで、ワールドカップ4位(2019年)を上回りメダル獲得を目指すバレーボール男子日本代表キャプテン、柳田将洋選手に近況やSNSを通じて伝えたいこと、大会への思いなどを語っていただいた。

バレーボールを未来のある競技に

僕はプロのバレーボーラーとして活動しているので、競技ができないというのは難しい状況ですが、自粛期間中は「自分のできることをポジティブにやっていく」というシンプルなマインドで、部屋でできるトレーニングに取り組んでいました。自分が去年けがをしたときや、大きな災害が起きて競技ができなくなった時にも思いましたが、今回も、当たり前のように競技をできるのがいかに幸せだったかと改めて考えさせられました。新型コロナウイルス拡大というこれまでとは別の状況で、自分の行動一つで人の命が危険にさらされてしまう。行動に責任を持たなければという気持ちも強くなりました。

そのように過ごしながら、「僕たちアスリートは自分の競技ができなくなったらすべてが終わってしまうのか」と自問自答して、「やっぱりそれだけじゃない。僕たちが積み上げてきた価値や経験は絶対になくならないものだから、人に生かしてもらう機会はきっとある」と自分にできることを常に探していました。その一つとして、オンライン配信のコンテンツ(競技のスキルや知識、経験を発信していく「Yanagida Masahiro Academy “Garden”」)を立ち上げました。

プロ選手として、「バレーボールを若い世代にとって未来のある競技にしたい」「もっと発展して大きな競技にしていきたい」という思いが強いので、そのために僕が今できることは、やりたい希望のある人たちにどれだけ自分の経験や知識を提供できるかというチャレンジだと思います。しっかりとその目標を達成したいです。

第1回目の後、Instagramのダイレクトメッセージで、「ありがとうございます」「すごくためになります」と お礼をいただきました。そういうコメントを見るとやっぱりうれしいですね。僕のモチベーションになっています。受け手の期待に応えたい思いもありますし、僕自身が発信していきたいことを前に押し出してやっていきたいとも思っています。

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これから新しく Yanagida Masahiro Academy “Garden” がスタートします! ここは僕がバレーボールのスキルや色々なテーマをオンラインで直接伝えていく場所になります。 Garden = 庭 はたくさんの人の気づきや発見の場所になってほしい、academyでありながら自分の希望するものを気軽に手に取れるような、まるで近くの庭に遊びに行くような、そんな場所にしたいという想いからこの名前をつけました。 早速第1回目に向けて準備を進めています。 テーマは『スキル編 サーブ』 オンライントークの中で、僕自身の映像なども交えながらテーマに沿ってインタラクティブに進めていきます。 もちろん質問だったり気になるところを直接聞く時間もたくさん作って、オンライントーク中にコミュニケーションが取れるプログラムにしています。 オンライントークなので、人数に制限があります。日時なども詳しくは下記URLをチェックしてみてください。 皆さんの参加をGardenでお待ちしております。 https://dpstore.thebase.in/

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オンラインならではの難しさを感じながらもチャレンジ

スキルについては、いつもならバレーボール教室で直接、手取り足取り教えてあげられるのですが、オンライン配信では自分が話したり図で説明したり、いわゆる言語化をしなければなりません。感覚でやっていた感じが強いので、改めて言葉で伝えようとした時に、「こうしたら全然伝わらないな」「こうしたら違う伝わり方をしちゃうな」と気づいて、時間をかけて伝え方を考えました。言語化する難しさをすごく感じましたね。

また、サーブを正しく打つにはどうすればいいかということについても多く話しますが、僕が一番話したいのは、自分の経験で、これまでどういうことをやってきて今こういうプレーができているのかということです。それを伝えるのが一番重要だと思っています。他のサーバーに出てもらって意見交換もしてみたい。そこで違いが一つ生まれて、「それだったらどういう対処法ができるだろうね」という話になるだけで裾野が広がると思います。チャレンジしながら、皆さんにまず「そういう考え方もあるんだね」というマインドになってもらえたらうれしいです。

SNSでアスリートの新しい可能性も

SNSにはすごく可能性があると思います。感じているのは、僕らアスリートは体を動かすことが基本ですが、SNSやオンライン配信にチャレンジすることで「別の面が鍛えられるのでは」ということです。スキルや経験をうまく言語化できるようになれば、指導者になる、コーチングするのに役に立つ、その事前練習になるのではと思いながら話していました。SNSを使うことでアスリートの新しい可能性が見えてくるのではと思います。

もちろん他の競技との繋がりも考えています。例えば、話すテーマを「プロ契約」「海外でのプレー」「リーダーシップ」などにして、お互いの考えを話したり意見を出し合ったりしたいですね。僕の「Garden」のイメージである、「たくさんの人の気づきや発見の場所、academyでありながら自分の希望するものを気軽に手に取れるような、まるで近くの庭に遊びに行くような、そんな場所」に来てもらって、話を聞いてもらいたいと思います。

僕はSNSでガンガン繋がるタイプではないですが、いろんなサイトを見ていてリスペクトする部分があるので、その真意にも興味があります。興味があるということは(SNSに対して)自分の意見があって、それとの違いに興味があるのかなという自己分析もあります。それをテーマに話すのも面白いと思いますし、見てくれる人が新しい発見をしてもらえたらいいですね。僕も勉強になるんじゃないかなという希望もあるので、いろんな可能性を見出しながらポジティブに探究心を強く持って続けていきたいと思います。

「オンライン発信はチャレンジ。ポジティブに探究心を強く持って続けていきたい」(写真:アミューズ提供)
「オンライン発信はチャレンジ。ポジティブに探究心を強く持って続けていきたい」(写真:アミューズ提供)

東京2020オリンピックが延期になって

新型コロナウイルス感染症拡大というのはとても残念なことで、その危険なウイルスによって悲しい思いをしている方も多いと思います。僕自身も東京2020オリンピックをゴールに考えて、プロ契約をして海外でプレーすることも含め、3シーズンをしっかりと踏めてきていたので、1年延期になり少し残念な気持ちはありましたが、延びたことで「もう1年間自分が成長して臨める」というポジティブな思いもあり、今シーズン日本のチームでプレーすることに決めました。

新型コロナウイルスを乗り越えた未来の僕たちが振り返った時に、「こういうことがあったから今この結果が得られたんだね」と、そういう話ができるくらいに成長してオリンピックで結果を出したいと思います。僕だけではなく日本代表選手全員がそう思っていると信じていますし、僕も負けないようにポジティブな行動を選択していきたいです。

フランクフルト(「ユナイテッド・バレーズ」ドイツ1部リーグ)でのシーズンの後半には(守備の)エリアを任されたので、僕が理想とするサーブレシーブをして打ってという両立に手ごたえを感じました。代表の練習が再開したらそのイメージを思い出しながらさらに確立していきたいと思います。国内リーグでも強力な外国人選手のサーブを受けなければならないシチュエーションがたくさん出てくると思いますし、そこで、いろんなチャレンジをすることがまた成長に繋がるはずなので、きっちり結果を残していきたいです。また、僕は日本代表のキャプテンという役割でもあるので、チームをまとめられるように努めたいですし、バレーボーラーとしてもレベルの高い選手でありたいと考えています。

東京でも1つになって戦う日本代表を見せたい

東京2020オリンピックでは、全員が戦える準備ができた姿を見せたいと思います。それができていれば自ずと結果もついてくると思いますし、僕らも結果に満足できると思うので、この1年で全員がコンディションをしっかり整えなおして、強豪国相手に戦える準備をしっかりとしたいです。2019年のワールドカップの結果(4位)には誰も満足していません。あの結果が自分たちに火をつけました。誰もがその悔しさを忘れないでもう一度コートに集まってくると思うので、そういった雰囲気をチーム全体から感じられるのはいいことだと思っています。

チームが1つになるのはなかなか大変です。1人でも欠けたら1つになれない。そういう意味では、ワールドカップのハードなスケジュールを全員が同じ方向を向いて1つになって戦えたことは、キャプテンとしてうれしく思いました。東京2020オリンピックへ向けても1つになってやっていきたい。自分としてもベストな調整をしてオリンピックを迎えられるように、自分自身にしっかりと向き合いながらポジティブに頑張っていきたいと思います。

1つになって戦えたワールドカップ「東京2020オリンピックへ向けても1つになってやっていきたい」
1つになって戦えたワールドカップ「東京2020オリンピックへ向けても1つになってやっていきたい」
(c)JVA

私がSNSで発信する理由

藤田慶和「子どもたちに、プロラグビー選手から夢を」

奥原希望「ファンの皆さんや子どもたちの力になりたい」

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