山田恵里「誰かの勇気になれるように、感謝を伝えたい」 私がSNSで発信する理由

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新型コロナウイルス感染症拡大防止のための自粛やステイホームで思うような活動ができないながらも、東京2020大会への歩みを止めることなくトレーニングを続け、SNSで思いを発信しているアスリートがいる。彼らは今、何を考え、なぜ発信し続けているのか。

北京2008オリンピックで日本ソフトボール界初の金メダルを獲得し、現在は日本代表キャプテンとして東京2020大会で指す山田恵里選手に近況やSNSを通じて伝えたいこと、大会への思いなどを語っていただいた。

SNSを通じて人と人のつながりを大切にしたい

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ソフトボールは日本リーグの前半戦が中止、所属チームも緊急事態宣言が出てから5月26日まで練習が自粛となり、自宅でトレーニングを行ってきました。4、5月に試合や練習ができないのは初めてでしたが、長年ソフトボールをしてきているので感覚はなくならないという思いがありましたし、練習が始まってもブランクは感じていません。すぐに試合ができる状態かなと思っています。試合がない分これから練習を積み重ねていけると思うので、後半戦で結果を出したいです。

SNSを始めたきっかけは、「ソフトボールをメジャーにしたい、有名にしたい」という思いでしたが、今はグラウンドでファンの方に会えない分、SNS上でいろんな人と交流をして人と人とのつながりを大事にしたいと考えています。当たり前だった日常が普通じゃなくなった今、「どういう状況でも前を向いて生きてほしい」という思いが強かったんです。SNSは人に何かを伝える場所。誰かが「明日から頑張ろう」と思ってくれるきっかけになればという思いで続けています。

12年待ちわびた舞台が1年延期。それでも前向きに

東京2020大会は1年延期になりましたが、日々オリンピックを意識しています。期待が大きいことは感じていますし、パリ2024大会ではソフトボールは行われません。ロサンゼルス2028大会でオリンピック競技に復活するためにも、日本が金メダルを取るということが重要との思いもあり、いろんなことを考えながらやっています。

ただ、昨シーズンはオリンピックを見据えて考えてすぎてしまい、海外のチームに研究されないように打ち方を変えたり、それで迷いが出て個人的な結果がよくありませんでした。今まで結果が出なかったという経験がなかったので、そうした状況でオリンピックを迎えるのは少し怖いと思っていました。その中で、3月にはオリンピック聖火が日本に到着して、本当に始まるんだという気持ちと、結果を出さなくてはいけないというプレッシャーもあり、ちょっとした不安もありました。しかし今は、これまでやってきたことが間違いではないと自信を持てたので、オリンピックまでもう1年準備できることはプラスだと思っています。

初めて自分と相手に向き合うことができた大切な期間

練習ができなかった期間は、来年を見据えて筋力トレーニングとイメージトレーニングを行い、準備をしていました。今までの経験からオリンピックで戦う相手をイメージして、打撃では、「どういう配球で攻めてくるか」「次はどういうふうに投げてくるか」など打席の感覚や配球を考え、守備では、「投手がどういうところに投げたらどのように飛んでくるか」といった技術的なイメージを確かめ、相手の分析をしていました。動画を見るのではなく、自分の頭に蓄積してきたものを改めて整理できました。

ずっとグラウンドにいたらできないことだったので、これからオリンピックに向けてどう強化していくのか、自分と相手に向き合う大切な時間になりました。結果を追求することや決めたことをやりきることの大切さをすごく学びましたし、今回の自粛期間でさらに自分と向き合うことができたので、オリンピックに向けて良い感じにつながってきています。

「自分と相手に向き合う大切な時間になった」と話す山田恵里選手
「自分と相手に向き合う大切な時間になった」と話す山田恵里選手

3度目のオリンピックへ

12年間は過ぎてしまえばあっという間でしたね。正直、北京2008大会が終わった後に辞めたいと思ったこともありました。ただ、オリンピック競技から外れてもソフトボールを続けている子どもたちがたくさんいましたし、リーグ運営についてもいろんな人が協力してくれていることを感じていたので、自分がやりたいやりたくないではなくて、子どもたちのために未来をつなぐこと、サポートをしてくださる人に結果で返したいという思いが強くなり、ここまで続けることができました。また、私たちが活躍することによってソフトボールが注目されて、再びオリンピック競技として復活し、夢や目標をもってソフトボールをしている多くの子どもたちにも、オリンピックという舞台を経験してほしいです。

多くの子どもたちにオリンピックの舞台を経験してもらえるよう活躍を誓う
多くの子どもたちにオリンピックの舞台を経験してもらえるよう活躍を誓う

金メダルで感謝を伝え、未来につなぐ東京2020大会に

東京2020大会は自分にとって競技を続けていくのか、違う道に進むのか、一つの区切りになると思っています。いろんな人が注目してくれるオリンピックで金メダルを取り、自分の地位や名誉のためではなく、今まで競技を続けてこられたことへの感謝を伝えたいと思っています。

そしてソフトボールの試合を見て、「明日から頑張ろう」「何かに挑戦しよう」という気持ちになってもらえたら、続けてきた意味はあると思えるので、誰かの勇気になれるように頑張りたいです。

大会延期で準備期間は延びましたが、その分、毎日どれだけ最善の準備ができるかが結果につながっていくので、「1日1日どうしたら金メダルを取れるか」を考えながら、東京2020大会まで過ごしていきたいと思います。

私がSNSで発信する理由

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