藤田慶和「子どもたちに、プロラグビー選手から夢を」 私がSNSで発信する理由

新型コロナウイルス感染症拡大防止のための自粛やステイホームで思うような活動ができないながらも、東京2020大会への歩みを止めることなくトレーニングを続け、SNSで思いを発信しているアスリートがいる。彼らは今、何を考え、なぜ発信し続けているのか。

今回は、男子15人制日本代表としてラグビーワールドカップ2015イングランド大会を経験し、7人制日本代表として東京2020オリンピック出場を目指す藤田慶和選手に近況やSNSを通じて伝えたいこと、大会への思いなどを語っていただいた。

人を明るくさせるのには、アスリートが向いている

まず「子どもたちに夢を与えたい」というのが、僕のプロ選手としてのひとつの夢です。そのためにSNSでは、子どもたちに「プロ選手ってこうなんだよ」ということを発信できればと考えています。この自粛期間には投稿を増やしました。それはコロナの影響で暗くなった世の中が、アスリートによる情報発信で、少しでも明るくなればと思ったからです。アスリート同士でコラボして、メッセージを伝えたり、歌を歌ったり。直近では子どもたちにオンラインでラグビーを指導し、体を動かしてもらうといった活動をしています。思い描いたことが少しずつ形になってきているのではないでしょうか。

歌は昨年、話題になった(ラグビー日本代表のチームソングと言われる)「ビクトリーロード」を歌いました。これはラグビー界から、医療に従事されている方や困っている方に何か明るくなれるものを送ろうと廣瀬俊朗さん(元ラグビー男子15人制日本代表キャプテン)が主導して企画したもので、僕も加わりました。いいものができたのではと感じています。

他に「エアロビチャレンジ」というものも行いました。友人であるバスケットボールの田渡凌選手から始まったもので、投稿してみると「エアロビ面白かったよ。あれは笑った」という反響もあり、やって良かったと思います。アスリートは人を明るくさせることに向いているのではと感じました。

View this post on Instagram

#エアロビチャレンジ

A post shared by Yoshikazu Fujita 藤田慶和 (@yoshikazu15) on

またYouTubeを使った動画配信にもチャレンジしています。これは冒頭でも述べた子どもたちに夢を与えたいという思いを実現させるための試みの一つです。身近にチームがないといった理由で、子どもたちがトップアスリートと触れ合う機会は限られているのが実情です。そんなみんなに向けて、7人制日本代表のことや、プロ選手の練習内容を伝え、夢を持ってがんばっている子どもたちの手助けになればと始めました。

オンラインスクールで恩返し

先日行ったオンラインでのラグビースクールも、僕の思いが形になったものです。開催したのは大阪府東大阪市と福岡県ということで、(全国大会を戦った)花園ラグビー場や、(出身校の)東福岡高等学校と、育ててもらった土地に少しでも恩返しができたかなと感じています。でも、これは初めての試みだったので、「子どもたちにオンラインで自分のやりたいことが伝わるのか」とかなり不安でした。

当日は、ハンドリングスキルなど家の中で継続してやっていけば、グラウンドに出たときに生かせるメニューを教えましたが、ちゃんと伝わったようで、みんな笑顔になってくれていましたね。終わった後には「このようなことをしていただきありがたいです」「子どもたちも前向きにがんばれそうです」といったコメントをいただきました。やってよかったと実感しています。これから僕も日本代表として、子どもたちの思いも背負ってプレーしなければいけないと気持ちを新たにしました。

自粛期間は家でできるトレーニングや、人の多くない早朝や夕方の時間帯にランニングをして過ごしました。意識したのは、オリンピックで戦う他の国の選手と差をつけられるよう、工夫することです。自粛が明けて長いシーズンを戦う上では、しっかりとした土台が欠かせません。体力面の強化であったり、一番先に崩れてきそうな筋肉を鍛えたりと、シーズン中に問題が出ないように強化しています。世界と戦う上で準備は欠かせません。いい形でワールドラグビーセブンズシリーズを戦い、東京2020オリンピックにつなげたいです。

世界のコロナの状況が落ち着くことが第一ですが、その上で、今自分たちのできることを全力でしたいと考えています。それは「三密」を避けるといったことで、みんなで取り組んでコロナが終息すれば、すごく楽しい時間が待っているはずです。終息は一人の力だけでは厳しいと思います。やはり一人ひとりの意識改革がなければ、そこには向かわないと思うので、今は大変かもしれませんが、「一人ひとりの行動で世の中は変えられる」ということを伝えたいです。

「一日一生」を大切にメダルへ

2021年に延期となりましたが、東京2020オリンピックは僕にとって特別です。リオデジャネイロ2016オリンピックは、直前でバックアップメンバーとなり、すごく悔しい思いをしているので東京に懸ける思いは人一倍あります。リオに行ったとき、東京ではチームとしても、個人としても笑顔で終わりたいと心に誓いました。だからこそ、悔いが残らないよう毎日を過ごしていきたいです。

目標は7人制日本代表としてメダルを獲ることです。そこに向けて準備をしていきたいですが、個人的にはあまり先を見ないように意識しています。オリンピックへのプロセスが充実していないと、いい結果は得られないですし、階段を一段一段、上っていった先にメダルという結果がついてくるはずです。

僕が大切にしている言葉に「一日一生」というものがあります。この言葉は9年間も続く「千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)」という修行をされた方が、テレビ番組でおっしゃっていたものです。先ばかりを見るのではなく、一日一日積み重ねたことが達成につながったのだといいます。僕がオリンピックに向かう姿をそれと重ね合わせて一日一日、人生を懸けるつもりでやっていきたいです。

ラグビーを日本の文化に

昨年のラグビーワールドカップ2019日本大会で、世間の方々にラグビーというものを知っていただけたのは、すごく嬉しいことです。この流れを7人制日本代表が受け継いで、日本にラグビーというものを文化として根付かせたいという思いがあります。

7人制ラグビーは15人制に比べて認知度が低い面もありますが、1試合14分とスピーディーですし、何より初めてラグビーを見る人にとっては、「すごい」「うまい」「強い」といったことを感じやすく、ルールを知らなくてものめり込むきっかけになるのではないでしょうか。まずは見てもらえれば楽しさが分かると思います。

「相手を抜いていくランニングを見てほしい」と話す藤田慶和選手
「相手を抜いていくランニングを見てほしい」と話す藤田慶和選手
(c)JRFU

みんなで笑うため、今は協力を

メダルを獲るという目標を達成して、最高の東京2020大会にしたいですね。そのためには僕自身、チームに貢献する、持ち味を発揮するということが大切だと思っています。特に僕が見てほしいプレーは、アタックが得意なので、相手を抜いていくランニングです。また司令塔のポジションでチームをマネジメントすることが多く、僕のパスやアシストで、チームが得点を奪いに行く姿も見せたいですね。

東京2020大会を実現させるにはアスリートだけではなく、日本を含め世界中の方々の行動や、意識改革が必要だと思います。待ちに待った世界的イベントをみんなで作り上げていくという意味でも、今の過ごし方が大切です。コロナが終息して大会が開催されたとき、世界のみんなで肩を組んで笑って楽しめるように、協力しあっていきましょう。

私がSNSで発信する理由

奥原希望「ファンの皆さんや子どもたちの力になりたい」

山田恵里「誰かの勇気になれるように、感謝を伝えたい」

柳田将洋「若い世代の未来のために、経験を伝えたい」