Classic Finals 大逆転金メダルを呼んだロシアの決断

ロンドン2012オリンピックで活躍し、ロシアを金メダルに導いたエースのドミトリー・ムセルスキー
ロンドン2012オリンピックで活躍し、ロシアを金メダルに導いたエースのドミトリー・ムセルスキー

オリンピックの金メダルを懸けた一戦には、数々のドラマが存在する。そんな多くの人の記憶に残り続ける珠玉の一戦を紹介。今回はロンドン2012オリンピックのバレーボール男子決勝を取り上げる。

ロンドン2012 バレーボール 男子決勝 ロシア vs. ブラジル

バレーボール界において、ロシアは古くから強豪の一つとして数えられている。オリンピックの正式競技に採用された東京1964大会の王者は旧ソ連であり、そこから2大会連続の金メダルに輝いた。ロシアとなった後もアトランタ1996大会以降、常にオリンピックの舞台でベスト4入りを果たしている。そんな伝統国ロシアが旧ソ連時代のモスクワ1980大会以来となる金メダルを目指した一戦は、オリンピックのバレーボール史に残る好ゲームとなった。

予選ラウンドのプールBを3位で通過したロシアは、ポーランドとブルガリアをそれぞれ下して、シドニー2000大会以来3大会ぶりの決勝へと駒を進めた。その大一番でぶつかったのは当時、世界選手権3連覇中で、世界ランキング1位のブラジルである。対するロシアは同2位。オリンピックでも3大会連続の決勝進出で、アテネ2004大会以来の金メダルを狙う「南米の雄」との対戦は、まさに決勝戦と呼ぶのにふさわしい顔合わせとなった。予選ラウンドでは接戦ながらも3-0でブラジルが勝利。戦前の予想ではカナリア軍団に分があるように思われた。

試合は序盤から完全なブラジルペースで、ロシアは第1セットを19-25、第2セットも20-25で連続して落とす。そこで第3セット以降、ウラジミール・アレクノ監督は流れを引き寄せるべく、準備していた別の戦術へと変更する。それはその攻撃力を最大限に生かすため、ドミトリー・ムセルスキーをミドルブロッカーからオポジット(セッターの対角)のポジションに据えるものだった。この作戦が奏功する。ゴールドメダルポイントを2度握られ、崖っぷちに立たされたが、長身2m18cmを誇るムセルスキーの強烈なスパイクで跳ね返し、29-27の逆転で第3セットを取った。

これで完全に流れはロシアに移った。第4セットも25-22で奪い返し、セットカウントをタイにすると最終セットに入っても主導権を握り続けた。そして最後はこの試合で31得点と爆発したムセルスキーが決めて、フルセットまでもつれ込んだ熱戦に決着をつけた。たとえスタートの布陣が機能せず序盤で思ったような展開にならずとも、すぐさま戦術を切り替えることで生まれた大逆転劇。ロシアにとって32年ぶりとなる金メダルは、世界の頂点に立つためには軸となる戦術だけではなく、他のオプションも持っておくことが大切だということを示した。あふれる笑顔の裏側には指揮官の決断と準備、それに応えた選手たち、そして大エースの活躍があったことを忘れてはならない。

Classic Finals 大逆転金メダルを呼んだロシアの決断
52:00

※動画プレーヤー右下の字幕設定で日本語字幕付きをご覧いただけます。

ロンドン2012 バレー 男子 結果

金:ロシア(32年ぶり4回目)

銀:ブラジル

銅:イタリア

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