プレーバック・リオ 涙の金メダル、奇跡を生んだタカマツペアの絆と信頼

女子ダブルスで金メダルを獲得した松友美佐紀(左)と高橋礼華
女子ダブルスで金メダルを獲得した松友美佐紀(左)と高橋礼華

リオデジャネイロ2016オリンピックにおいて、日本は金12、銀8、銅21と計41個のメダルを獲得した。選手たちは何を思い、この大舞台に臨んだのか。今も記憶に新しい、感動と興奮に包まれたシーンを振り返る。

プレーバック・リオ タカマツペアが奇跡の大逆転で金メダル獲得
01:24:33

バトミントン女子ダブルス決勝結果

松友美佐紀、高橋礼華(日本)

2-1(18-21、21-9、21-19)

カミラ・リターユヒル、クリスティナ・ペデルセン(デンマーク)

ストーリー

まさに崖っぷちからの起死回生とも呼ぶべき大逆転劇だった。第3セットで16-19。あと2ポイント奪われたら、目指してきた金メダルは泡と消える。「本当に一瞬ですけど、ここで負けちゃうのかなと思った」と高橋礼華は振り返る。

ただ、追い込まれた状況でも、前向きな気持ちもあった。ペアを組む松友美佐紀は「たとえ負けるにしても、1回でいいから相手に「おっ」と思わせたかった。たぶんそれが良い方向に働いたと思うし、本当に楽しんで試合をやっていたので、最後は無心でした」と語る。

そして松友がこの追い詰められた場面で、冷静にネット際に落として1点を返すと雰囲気が変わった。冴えわたる連係からラリーで優位に立ち、攻撃的な姿勢で相手を翻弄していく。気づけば20-19と逆転に成功し、迎えたマッチポイント。最後は高橋のスマッシュを相手が返せず、5連続ポイントで一気に頂点に駆け上がった。

世界ランキング1位で臨んだこの大会は、危なげない戦いぶりで決勝に進出した。失ったゲーム数は準々決勝の1つのみ。初めて世界ランキングでトップに立った2014年以降、世界選手権では自らにプレッシャーをかけてしまい、結果を出せなかった。ただ、松友は「結果を出せなかった経験が私たちにとっては本当に大きかったと思います。毎年、世界選手権で負けてから、いろいろなことを勉強させてもらって今があるので、その経験のおかげだと思います」と明かす。

一方の高橋は、2人の連係に大きな自信を持っていた。「実力的には世界ランキング1位ではないと思いますが、コンビネーションに関しては世界一だと思っています。自分たちのプレーが出せれば大丈夫という気持ちでした」。絶体絶命の状況に陥った決勝でも、最後に逆転できたのは、これまで築き上げてきたコンビネーションがこの土壇場で発揮されたからでもある。

ペアを組んで約10年。高校の先輩と後輩だった2人はもともとシングルスの選手で、高橋が2年、松友が1年の秋に結成が決まった。チームでダブルスの主力と考えられていなかったため「余りもの同士のペア」(高橋)だったという。高橋が「まさか10年前はこうやって組むとは思わなかった。ダブルスがこんなに面白いというのも松友と組まなかったら分からなかったことなので、感謝したいです」と語れば、松友も「先輩とじゃなければ、この舞台には立てていなかった。世界で勝ちたいという目標を諦めないで持ち続けて、2人で頑張ってきて良かったなと思います」と、涙を見せた。

バドミントンの女子ダブルスは、末綱聡子、前田美順が北京2008オリンピックで4位と躍進し、ロンドン2012オリンピックでは藤井瑞希、垣岩令佳が銀メダルを獲得。そしてリオ2016オリンピックで高橋、松友がついに悲願を達成した。日本バドミントン界における史上初の快挙は、先人たちの築いてきた歴史を受け継いだ「タカマツペア」の信頼と絆によって生まれたものだった。

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