プレーバック・リオ 日本体操界に新たな歴史を刻んだ5つの才能たち

リオデジャネイロ2016オリンピックにおいて、日本は金12、銀8、銅21と計41個のメダルを獲得した。選手たちは何を思い、この大舞台に臨んだのか。今も記憶に新しい、感動と興奮に包まれたシーンを振り返る。

プレーバック・リオ 男子団体総合で日本が3大会ぶりの金メダル獲得
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体操男子団体総合決勝結果

1位:日本 274.094点

2位:ロシア 271.453点

3位:中国 271.122点

ストーリー

「仲間と取る金メダルはやっぱり全然違いますね。うれしいを超えちゃっています」

全6種目に出場した内村航平は、そう言って喜びを爆発させた。内村はロンドン2012オリンピックの個人総合で金メダルを獲得していたが、団体総合では2大会連続2位と悔しい思いをしていた。リオデジャネイロ2016オリンピックでは「団体での金」に重きを置いて、その目標を公言し続けていただけに、感無量の様子だった。

終わってみれば日本が強さを見せた結果となったが、決勝の序盤までは暗雲が漂っていた。予選はまさかの4位通過。予選を首位で突破し、決勝は日本が得意とするゆかからのスタートをもくろんでいたため、早くもプランが狂った。決勝でも苦手とするあん馬とつり輪で得点を伸ばせず、2種目を終えた時点で5位とやや出遅れた。ただ、幸運だったのはライバルと目された中国もゆかとあん馬でミスが出て、6位に沈んでいたことだ。そして日本は第3種目の跳馬から勢いづいていく。

内村と白井健三が大技を決めて高得点をマークすると、第4種目の平行棒で田中佑典が15.900点という全選手中2位タイの得点をたたき出し、流れを決定づけた。予選ではあん馬でミスを犯し、「チームに迷惑をかけてしまった」と悔やんだ田中だが、自身も「100点」と評する会心の演技で日本を救った。

鉄棒でも安定した演技を披露し、首位で迎えた最終種目のゆか。白井が全選手中唯一の16点台をマークし、加藤凌平も無難にまとめて内村へつなぐ。金メダルを決める演技を託されたエースは、15.600点という白井に次ぐ得点でその期待に応えた。

内村、加藤、田中、山室光史の4選手はロンドン2012オリンピックのメンバーでもある。銀メダルという結果にそれぞれ忸怩(じくじ)たる思いを抱えていたが、見事にそれを払拭してみせた。内村に次ぐ5種目に出場した加藤が、ミスのない演技でオールラウンダーの強さを発揮。白井、田中は得意種目で高得点をマークし、チームを勢いに乗せた。山室は日本が苦手とするあん馬とつり輪に出場し、同学年の内村からも「すごく支えになる選手」と評されるように、チームを盛り立てた。

アテネ2004オリンピック以来、3大会ぶりとなる金メダル。チーム最年少19歳(当時)の白井が「人生で一番心臓に悪い日だったけど、そのぶん達成感も大きいし、間違いなく断トツで幸せな日になった」と喜べば、加藤も「本当にいろいろと胸に迫ってくるものがあって、幸せだなと思った」と微笑んだ。

日本の体操界に新たな歴史が刻まれた2016年8月8日。その日は5つの異なる個性と才能が融合し、偉大なチームが誕生した瞬間としても人々に記憶されていくことだろう。

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