プレーバック・リオ 最強かつ最高の柔道家へ、大野将平が貫く美学

リオデジャネイロ2016オリンピックにおいて、日本は金12、銀8、銅21と計41個のメダルを獲得した。選手たちは何を思い、この大舞台に臨んだのか。今も記憶に新しい、感動と興奮に包まれたシーンを振り返る。

プレーバック・リオ 大野将平が男子73kg級で金メダルを獲得
01:40

柔道男子73kg級決勝結果

大野将平(日本)

(一本勝ち 小内巻き込み 3:15)

ルスタム・オルジョフ(アゼルバイジャン)

ストーリー

圧巻だった。「心・技・体」すべてにおいて圧倒的な強さを見せて、大野将平は男子73kg級を制した。前回のロンドン2012オリンピックで、まさかの金メダルなしに終わった日本男子柔道に、2大会ぶりの歓喜をもたらした。

「いつも通り冷静かつ大胆にやれた」という大野は、準々決勝を除いた4試合で一本勝ち。横四方固め、内股、巴投、小内巻き込みと決め技も多種にわたった。組んで、投げて、一本で勝つ。大野はまさに日本の柔道を大舞台で体現した。

「日本柔道はやはり重量級がピックアップされる。そういった面で悔しい部分がありました。中量級の僕でもインパクトのあるダイナミックな柔道、本当に強くて美しい柔道をできるんだということを証明したかった」

大野が見せたのは、柔道だけの強さではない。柔道家としての振る舞いも、まさに王者にふさわしいものだった。勝利を決めた瞬間、大野は喜びを表すこともなく、静かに一礼をして畳を去っていった。

「対人競技なので、相手を敬おうと思っていました。冷静にきれいな礼もできたのではないかと思います。日本の心を見せられる場でもあるので、気持ちを抑えられたと思います」

ずっと目指してきたことを達成したとき、喜ぶのは人間として自然なことだ。しかし、勝者がいれば敗者も必ず存在する。彼らもそこにたどり着くために多大な努力を積み重ねてきた。そんな相手にリスペクトを示すために、感情を表出させないのが大野の美学でもある。

ただ、表彰式を終えて日本代表の井上康生監督や、母校・天理大学の穴井隆将監督に会うと、気が緩んだのか涙を見せた。「今までのことを思い出して泣けてきました。ここまで長かったけれど、あっという間でした」と、ストイックな柔道家とは別の一面ものぞかせる。

初めて世界選手権を制した2013年から、大野は「心・技・体」で外国人選手にすべて勝ち、圧倒的な差を付けるということを目標としてきた。リオデジャネイロの地で大野が証明したのは、競技者としてだけではなく、柔道家としての圧倒的な力だ。

「金メダリストとしてふさわしい人間にもっと成長しないといけない。最強かつ最高の選手、子どもたちが憧れるような選手を目指したい」

頂点を極めても道はまだ続く。絶対的な存在、そして最強かつ最高の選手となるために。

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