北澤豪×加藤健人 2020年につなぐパス 第3回 「日本代表への招集。 その時・・・」

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3月5日は東京2020パラリンピック競技大会の2000日前。 これを記念して、サッカー元日本代表の北澤豪氏とブラインドサッカー日本代表の加藤健人選手の対談を5回に分けてお届けします。

第3回 「日本代表への招集。 その時・・・」

海外に行って初めて聞いた国歌 —加藤選手にとって、ブラインドサッカーに出会ったことは、自分の人生において大きな出来事でしたか? 加藤  ブラインドサッカーがなかったら今の自分はないと思います。一番大きかったのは、夢や目標を持てたこと。目が見えなくなって、何をやっていいのかわからなくなってしまった自分にとっては、やりたいことができたのはすごく大きかった。しかも、自分がずっとやってきた、大好きなサッカーだったので。

—そして2007年にブラインドサッカーの日本代表に初選出されました。 加藤  北京パラリンピックのアジア予選で初めて選んでいただきました。サッカーをやっていた頃から、日本代表になるのは夢だったので、海外に行って初めて国歌を聞いた時は鳥肌が立ちました。あの経験は今でも忘れられません。 北澤  僕も初めてグラウンドで国歌を聞いた時は「すごいことだな」と思いましたね。ただ、日本代表になっても最初はどんなものなのかわからなかった。加藤くんはどうだった? 加藤  初出場したアジア予選では、何もできませんでした。気持ちの面でまだまだ日本代表としての心構えができていなかったと思います。試合にもあまり出られず、悔しい気持ちが強かったですね。それから、日本代表にふさわしい選手にならなければという自覚が生まれました。

—北澤さんはブラインドサッカー日本代表の立ち上げから関わってきましたが、日本代表があることが選手たちの目標になっていると感じますか? 北澤  日本代表ができることで色んなものが引っ張られて、そこに向かう環境が整う。だから、昨年東京で開催されたブラインドサッカー世界選手権では感動しましたよ。ここまできたかと。

感謝の気持ちだけじゃなくて、結果やプレーで返していきたい —日本代表に選ばれたことは、プレーをするうえでのモチベーションになりましたか? 加藤  やっぱり応援してくれる人がいるというのは大きかったですね。2011年に仙台でブラインドサッカーのアジア選手権が開催されたのですが、応援してくれる人の声を聞いた時に「このままじゃダメだ」と強く感じました。そこから自分自身もちょっと変わったかなと思います。 北澤  確かに、代表への応援は、代表になれなかった人の気持ちを託されている感じはすごくする。他人の夢も背負ってプレーしなきゃいけないとか、他人の夢を実現するために戦うのが代表なんだなって。正直、日本代表でワールドカップ予選を戦っていた時は、サポーターにブーイングされたり、バスに椅子を投げつけられたりして、腹が立つこともあった。でも今思えば、それだけの想いを背負っていたんだなと感じますね。

—東京でのブラインドサッカー世界選手権を見させていただいて、すごくカッコいいなって思ったんです。ピッチに立って、日本を背負ってプレーする姿が。 加藤  ブラインドサッカーをやって応援していただく中で、自分が必要とされていることを感じました。自分としてはブラインドサッカーに出会って、応援してくれたり必要としてくれている人に、感謝の気持ちだけじゃなくて、結果やプレーで返していきたいと思っています。 北澤  2013年にブラインドサッカーの日本代表とブラジル代表が埼玉で試合をしたときに、視覚に障がいのある子どもたちを招待したんです。そこでお父さんと子どもが、「こういうプレーをやっていこう」と話していた。加藤くんたちは、そういう子どもたちの目標になっているんだよね。 加藤  そういう風になれたらとは思いますし、今も自分の活動の一つとして、埼玉の盲学校でブラインドサッカー教室を開いて月に2回くらい一緒にプレーしています。盲学校に行っている子は、運動する機会が少ないので、ボールを蹴ることの楽しさなどを伝えていけたらなと思っています。

第4回 「スポーツが与えてくれるもの」 につづく...

第1回「2人のサッカー少年」 第2回「ブラインドサッカーとの出会い」

東京2020パラリンピック競技大会 22の競技 東京2020パラリンピック競技大会では、ブラインドサッカー(5人制サッカー)を含む22の競技が実施されます。 全22競技については、 こちら

ブラインドサッカーとは? ブラインドサッカーは5人制で行われる、フットサルに似たスポーツで、パラリンピック競技大会の正式競技です。フットサルと大きく違う点は、ゴールキーパー以外のフィールドプレイヤー4人が、アイマスクをしていることです。ボールには鈴が入っており、選手たちは鈴の音と自分たちが攻撃するゴールの後ろで指示を出すコーラーというガイドの声で状況を判断しプレーします。 ブラインドサッカーについてもっと知りたい方は、 こちら

(日本ブラインドサッカー協会提供)