モッコの物語 | しあわせはこぶ旅 モッコが復興を歩む東北からTOKYOへ
沢則行さんによるデザイン
又吉直樹 作
●おおきなおとが きこえています
はなびのような、カミナリのような、こうじのような、おおきなおと
●まどをあけてみると まっしろいゆきのせかいに
モッコのあしおとが ひびいているのでした
●とてもおおきなモッコが しろいいきをはきながら
ゆきのまちを あるいていきます
●モッコのあしおとにあわせて
ダンサーたちが ふしぎなおどりをおどっています
●モッコもまねしておどりますが
うごきが きみょうでみんながわらっています
●モッコのあしおとにあわせて
バンドがたのしそうにえんそうしています
●モッコもおんがくにあわせて
うたいますが かなりおんちでこまります
●モッコが川をとびこえると
おおきなあしおとといっしょに つよいかぜがふきます
●モッコのあしもとに「しんくう」ができて
くろいあなから いろんなものがみえました
●ほし、つき、おはな、おもち、らくだ、らくごか、くつはくときにつかうぼう、
ラッパー、おおもののよこにいるつうやくさん、ポッケにずっとあったふるいあめ、
あなたにはなにが見えますか
●「べんがろん ぐいっじぃな ぞぼいぞぼい!」
モッコのおなかのおとです
●「ずどずど ねででででぇー!」
モッコのあくびです
●モッコは しあわせをはこぶためにあるきつづけます
モッコは にんげんのことが だいすきです
●モッコが つりびとがさかなをつれたか
いわかげからのぞいています
●モッコがこどもたちとのサッカーでキーパーをしています
●モッコが献血しています
●モッコがコンビニのまえでヤンキーたちと
たむろしています
●モッコがキャッチセールスにつかまった
おんなのこをたすけようとしています
●おもいにもつをせおった たいへんそうなおばあさん
モッコは おばあさんごと てのひらにのせました
●だけど おばあさんは にもつをせおったままだから
おもさはあまり かわりません
●モッコは おっちょこちょいです
だけど なぜか おばあさんは えがおです
●モッコはいねかりをてつだいます
だけど しゅうかくしたより たくさんたべます
●「べべべんべべべべ ずぐずぐべろーん!」
モッコのあくびです
●「みゃんが みゃん が」
モッコのねごとです
●いまにもたおれそうなおおきな木があって みんなが意見をいいます
「きったほうがいい」「ささえよう」「こんなもんはほっとけ」「どこかにうりとばそう」
意見はバラバラですが なんとかしたいというきもちはおなじです
●モッコはたおれそうなおおきな木をひっこぬき そらになげました
おおきな木は宇宙までとんで ながれぼしになりました
そのながれぼしに みんながねがいごとをいいます
●「イルカとおよぎたい」「すべてのまんがをよみたい」「あくびのかおをみられたくない」「かぞくにあいたい」「あらそいをなくしたい」「みんながわらえるせかいがみたい」「ウインクがうまくなりたい」「れいぞうこのあまりものでなにかおいしいものをつくりたい」
ねがいはバラバラですが あしたをよくしたいというきもちはおなじです
●こどもたちが モッコとなかよくなりました
モッコはようしゃなくすもうでぜんいんたおします
●つぎのまちまであるくあいだ
モッコがこどもたちのはなしをきいてくれます
●うちゅうのはなし、はつこいのはなし、おかあさんのはなし、
えんぴつのうしろについている けしゴムのはなし
●わかれをおしんだ こどもたちがいいました
「ぼくたちのまちでいっしょにくらそ」
●モッコはあるきつづけます
「ちがーけしぎがみっちぃから いろんなえがおがみっちぃがら あるぎつづけんだ
でぎっごどしがしねえし すきなようにやるしかねえべ」
そんなことをかんがえながら
●でも モッコは ひゃくねんくらいとまっていることもあります
そのへんはあいまいなのです
●こどもたちが なきました
「はなれたくねぇ」となきました
●「みんなどモッコのおもいでは えいえんにみんなどモッコだけのもんだ
とおぐはなっちゃどしても みんながモッコをおもいだすとき
モッコは みんなだけのもんだ」
モッコはやさしいこえで いいました
●「なにいってんだ?」というかおをしている男の子
そんなことより 「モッコって、はなせんだ」とおどろく女の子
とにかく、みんなとモッコは ともだちです
●あっ そうだ さけぼう
「うぉぉ~!!!!!」
大きなモッコがさけびます みんなのために
●わかれた恋人どうしがモッコをみます けんかしていたひとたちがモッコをみます
みんなにみられたモッコは おおきなめであしたをみています
モッコはみんなをつないであるきます
●そのとき だれかがだれかをすきになり だれかがゆめをおいはじめ
だれかがじんせいをおえようとして だれかのいえにあらたないのちがうまれ
だれかがおおごえで わらいました
●モッコはあるきつづけます
ゆきがとけて はながさきはじめたまちを
モッコは あるきつづけます
終わり
はなびのような、カミナリのような、こうじのような、おおきなおと
●まどをあけてみると まっしろいゆきのせかいに
モッコのあしおとが ひびいているのでした
●とてもおおきなモッコが しろいいきをはきながら
ゆきのまちを あるいていきます
●モッコのあしおとにあわせて
ダンサーたちが ふしぎなおどりをおどっています
●モッコもまねしておどりますが
うごきが きみょうでみんながわらっています
●モッコのあしおとにあわせて
バンドがたのしそうにえんそうしています
●モッコもおんがくにあわせて
うたいますが かなりおんちでこまります
●モッコが川をとびこえると
おおきなあしおとといっしょに つよいかぜがふきます
●モッコのあしもとに「しんくう」ができて
くろいあなから いろんなものがみえました
●ほし、つき、おはな、おもち、らくだ、らくごか、くつはくときにつかうぼう、
ラッパー、おおもののよこにいるつうやくさん、ポッケにずっとあったふるいあめ、
あなたにはなにが見えますか
●「べんがろん ぐいっじぃな ぞぼいぞぼい!」
モッコのおなかのおとです
●「ずどずど ねででででぇー!」
モッコのあくびです
●モッコは しあわせをはこぶためにあるきつづけます
モッコは にんげんのことが だいすきです
●モッコが つりびとがさかなをつれたか
いわかげからのぞいています
●モッコがこどもたちとのサッカーでキーパーをしています
●モッコが献血しています
●モッコがコンビニのまえでヤンキーたちと
たむろしています
●モッコがキャッチセールスにつかまった
おんなのこをたすけようとしています
●おもいにもつをせおった たいへんそうなおばあさん
モッコは おばあさんごと てのひらにのせました
●だけど おばあさんは にもつをせおったままだから
おもさはあまり かわりません
●モッコは おっちょこちょいです
だけど なぜか おばあさんは えがおです
●モッコはいねかりをてつだいます
だけど しゅうかくしたより たくさんたべます
●「べべべんべべべべ ずぐずぐべろーん!」
モッコのあくびです
●「みゃんが みゃん が」
モッコのねごとです
●いまにもたおれそうなおおきな木があって みんなが意見をいいます
「きったほうがいい」「ささえよう」「こんなもんはほっとけ」「どこかにうりとばそう」
意見はバラバラですが なんとかしたいというきもちはおなじです
●モッコはたおれそうなおおきな木をひっこぬき そらになげました
おおきな木は宇宙までとんで ながれぼしになりました
そのながれぼしに みんながねがいごとをいいます
●「イルカとおよぎたい」「すべてのまんがをよみたい」「あくびのかおをみられたくない」「かぞくにあいたい」「あらそいをなくしたい」「みんながわらえるせかいがみたい」「ウインクがうまくなりたい」「れいぞうこのあまりものでなにかおいしいものをつくりたい」
ねがいはバラバラですが あしたをよくしたいというきもちはおなじです
●こどもたちが モッコとなかよくなりました
モッコはようしゃなくすもうでぜんいんたおします
●つぎのまちまであるくあいだ
モッコがこどもたちのはなしをきいてくれます
●うちゅうのはなし、はつこいのはなし、おかあさんのはなし、
えんぴつのうしろについている けしゴムのはなし
●わかれをおしんだ こどもたちがいいました
「ぼくたちのまちでいっしょにくらそ」
●モッコはあるきつづけます
「ちがーけしぎがみっちぃから いろんなえがおがみっちぃがら あるぎつづけんだ
でぎっごどしがしねえし すきなようにやるしかねえべ」
そんなことをかんがえながら
●でも モッコは ひゃくねんくらいとまっていることもあります
そのへんはあいまいなのです
●こどもたちが なきました
「はなれたくねぇ」となきました
●「みんなどモッコのおもいでは えいえんにみんなどモッコだけのもんだ
とおぐはなっちゃどしても みんながモッコをおもいだすとき
モッコは みんなだけのもんだ」
モッコはやさしいこえで いいました
●「なにいってんだ?」というかおをしている男の子
そんなことより 「モッコって、はなせんだ」とおどろく女の子
とにかく、みんなとモッコは ともだちです
●あっ そうだ さけぼう
「うぉぉ~!!!!!」
大きなモッコがさけびます みんなのために
●わかれた恋人どうしがモッコをみます けんかしていたひとたちがモッコをみます
みんなにみられたモッコは おおきなめであしたをみています
モッコはみんなをつないであるきます
●そのとき だれかがだれかをすきになり だれかがゆめをおいはじめ
だれかがじんせいをおえようとして だれかのいえにあらたないのちがうまれ
だれかがおおごえで わらいました
●モッコはあるきつづけます
ゆきがとけて はながさきはじめたまちを
モッコは あるきつづけます
終わり